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ギーブン王国

馬車で家出王子を保護。事情を聞くことに。

「失礼しました。王子の意見を伺えればと」

大人しくすることに。

「まだ誰が裏切り者か分からない。何人の者が陰謀に関わったかも判明してない。

だからすべて片が付いてからでないと戻れない。それは国王の命にも関わること」

らしくなく真面目な王子。だったら最初からそう言えばいいのに。


「それでは遅い! 遅すぎるの! 」

「どうしたのクレーラ? あなたらしくない」

「何でもないのコーコ。何でも…… 」

まずい。焦りから我を失う。

没落し田舎に引っ込んでから再び登用されるはずがない。

そもそも疑惑の者をあえて引き戻す必要などどこにも。

大体陰謀などどこにその証拠があると言うのでしょう?

王子が助かっても私が助からない。


「ははは! ただの気にしすぎだと思ってるであろう? 

しかしそうやっていくつもの国々が滅んで行った。

今国王が亡くなり王子の私まで捕らえられでもしたら国は乗っ取られてしまう。

しかも民に気付かれることもなくいつの間にか」

王子はそれを恐れているのだとか。まあないことではないでしょうが本当かな?

私たちをだまして都合よく動かそうとしている気もする。

王子は私たちを信用してくれるようですがその王子に信用がない。

どうしても全幅の信頼が置けない。

それでは協力など無理。


でも…… 王子はすべてを知っていた。

どうしよう? 助ける? 助けない?

一国民として王子を救うことは間違ってない。

どうせコーコは喜んで協力するでしょう。

私だけが強情を張っても王子を危険に晒すだけ。

だったらここは引き受けるのが正しい。


「今こそ国の一大事だ。君には悪いが我慢してもらう他ない! 」

「その一大事にあなたは宮殿を離れる。まさか国王を見捨てる気? 」

「それは…… 」

王子は答えない。答えようとしない。

「本当によろしいのですか? 

今王子が宮殿を離れたら敵に付け入る隙を与えることになりはしない? 

陰謀渦巻く宮殿内で国王に何かあったらどうするつもりなの?

自分だけ逃げるなど無責任にもほどがある」

「黙れ! これは王命だ! 」

どうやら国王も薄々は感じていたのだろう。

だから王子に離れるように命じた。

と言うことはもうここも平和ではいられなくなったのでしょう。

残念ですが仕方ありませんね。平和な世界などそう長くは続きませんから。


随分昔のこと。この辺りは元々大きな一つの国だった。

それが分離独立して小国がひしめき合うようになった経緯がある。

我が国もその小国の一つであり周りには数多の国が存在する。

一度は統一の機運も高まったがうまく行くことはなかった。

民たちを納得させるだけのカリスマがいなっかった。

無責任な民はいつしか私たちを導く救世主の存在を待ちわびるようになった。


現在そのような状況。きな臭い事件が周辺国で頻発している。

その最たる例がアンギーブン王国に滅ぼされたギーブン王国。

どうやらわが国も例に漏れずに陰謀が渦巻いてるらしい。

その第一段階に気付いたのが王子でその中心にいたのがお父様。

そう言うことになるのでしょう。


果たしてお父様は本当に陰謀に関わっている?

少なくてもそう疑ったからこそ王子が進言し国王が了承した。

王子が正しいの? お父様が正しいの? 分からない。

最期まで信じるのが娘であり家族でしょう?

「大体のことを話したつもりだ。

理解も納得もできないだろうがどうか協力して欲しい」

王子らしからぬ低姿勢。そう言えばこの人は前からそうだったような気も。


「それで王子。具体的に私にどうしろと? 」

「取りあえず匿って欲しい。陰謀を暴くまで行動を共にして欲しい」

随分勝手な言い草。何で私が憎き王子のお世話をしなければならない訳?

「ほらコーコ。王子がそう言うのですし協力してあげてね」

面倒だからコーコに押し付けることに。

コーコはお友だちですが遠くからやって来た身元が不確かなところがある。

でも決して裏切るような真似はしないと思ってる。

「王子の頼みとあっては聞かない訳には行きません」

コーコは決心したらしい。


「では私はお邪魔のようですからこれで」

遅れに遅れて闇が支配したころで到着。

これで明日から爵位詣を再開できる。


                 続く

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