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星のカモメは、月の方舟に夢をのせて

作者: 逢乃 雫

風のカモメの


白い翼が映える空は



追いかける


まなざしを青く染めて



風にさゆらぐ


波音のピアニッシモ



海岸通りの


銀杏並木に彩られた



金糸雀(かなりあ)色の


彼方にとけゆく



アプリコットの


夕陽を見つめながら




神楽月の空に


浮かぶ月は方舟のように



やさしい音色を


心の海へと響かせて



窓辺を照らす


シンビジウムの白い



花びらはふわりと


(そら)へこぎ出すように





月の窓辺に


星明かりはやわらかに



弓張月が浮かぶ


夜空を青く



東から照らす


光はリゲルの星



新たな季節を


奏でるように



踏み出す


光は宙を駆け抜けて




心の窓辺に


星明かりはあたたかに



地平線へと


太陽が溶けたあと



宙へ羽ばたく


ほうおう座の星々



青い空の彼方から


青い海の彼方から



飛び立つ


星の鳥の翼は


煌めくアンカーの星



宵時から暁時(あかとき)


光は宙を渡るように




遥かな道のりの


彼方には



また続いていく稜線も


きっとあるけれど



歩き出すから


見える景色も、きっと



そして


鳥は風に向かって


翼を広げるとき


空高く飛べるように



心は彼方へと


続く空に


想いを馳せながら



自分らしく


踏み出す一歩を




夜になれば


空に月と星が上り



朝になれば


空に太陽が上るように



言の葉もまた


言の羽もまた


こころを舞いゆくから



神楽月の道に


ちりばめられていく


望み葉とともに




宙に浮かぶ


月はやさしい音色を



心の海へ


響かせながら



見つめるまなざしを


青く染めて



星のカモメは


月の方舟に、夢をのせて



















11月下旬頃から咲くシンビジウムは、三日月や方舟はこぶねのような花びらで、名前はギリシャ語の「舟の形」に由来します。花言葉は「飾らない心」です。


ほうおう(鳳凰)座は、今の時期の南の地平線近くに鳥が翼を広げた姿で、紅い星・アンカー(アラビア語で「不死鳥」)が目印です。東の空にはオリオン座の青い星・リゲルがあります。


アンカーには「ザウラク」(アラビア語で「舟の輝く星」)の別名もあります。神楽月かぐらづきは11月、「望み葉」は、落ち葉のことを春への望みをこめて表す言葉です。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
とても情景が鮮やかな詩だと思いました。この詩をもしも、生のピアノの音を聴きながら読めばどのように感じ方が変わるだろうと思いました。あの、ピアノの音が醸し出す独特の静けさに浸って、この詩からますます多く…
2024/12/01 17:03 退会済み
管理
カモメが青空に向かって飛び潮騒と鳴き声が 重なりピアニッシモの旋律が聞こえてくるようでした。 三日月とカモメの翼が白い方舟にも重なり夢を乗せてゆくとても素敵なイメージに包まれました。 飾らない心で…
箱舟ってどこか包むような落ち着いた感じがします。 とはいえ本来箱舟は、最後の手段なのでわたしがそう感じているだけかもしれませんが^^; 季節、時間、空間が詩の中で調和がとれており、とてもロマンティ…
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