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第51話 最強VS最凶

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第51話 最強VS最凶



「…痙攣が収まった…。

 本当に死んでしまったの…?」



自ら自分の腹を貫いた京は倒れたまま微動だにしない。



「…」



優が倒れる京に近づいた時だった。



「!…何…?

 京の体から…霊気を感じる…!

 弱々しいけど…とても邪悪な……」



スゥッ



「!」



優は何かに反応するかのように後ろに跳んだ。

だが、目の前に倒れる京に変化はない。



「…何かすごく危ない気がした…。

 一体なんだっていうの…?」



すると京の体が小刻みに震えだした。



「……くっくく!!」


「!…生きてる…!」



「…素晴らしい……まさかここまでとは…」



ザッ


京はゆっくりと立ち上がった。



「…やる気なのか…」


「呪い刀・紅霙…かなり厄介だったが、

 ようやくすべてを食らってやった…!」



ズブッ!

京は自分の腹に刺さっていた刀を抜いた。

すると、見る見るうちに傷口が塞がっていく。



「呪いを喰った事で俺の力は想像以上に上がったようだな。

 もうこの刀にも用はない。はぁあッ!!」



バキッ!!


京は紅霙に拳をぶつけて刀身を折った。



「さぁ…俺の力を感じろ……白凪優…」



京は霊気を全快にした!

その瞬間京を中心に凄まじい突風が巻き起こる!



「ぐっ…!」



なんて霊気…!

さっきとは比べ物にならない…ッ!



「くく…これだけの力に加え…

 俺は100%の霊王化身が使える……

 もはや勝負になるまい」


「ここで、あんたを止めなきゃ…沢山の人が不幸になる…。

 やっぱり避けられないのね…戦いは」



「そうだ…。

 もはや、どちらかの死をもってでしか、この戦いは止まらない!

 覚悟を決めろッ!!」


「私は勝つ…そして、あなたも救ってみせる!

 はぁああああッ!!」



優は霊気を高めた!



「何が救うだ…!!

 くっ…!それよりも、何だ奴のこの霊気は…!

 さっきまで見せていた力が限界ではなかったのか!?

 これでは…俺と変わらないではないか…!」



ドンッ!!


優は飛び出した!



体が軽い…!

一瞬で間合いに入れた!



「はぁッ!!」



ドガッ!!

優の蹴りが放たれた!

しかし、京の腕に攻撃は阻まれたようだ。



「!…ガードした!?」


「ふん…!当たり前だろ!

 はぁッ!!」



京は優の脚を掴むと、思い切り振り回し、勢いをつけて投げた!



「…っく…!」



空中で身動きが取れない優!



「くく…!滅びの波動を喰らうがいい…!

 冥王波ぁあッ!!!」



ドゥッ!!

吹き飛ぶ優に向けて放たれた漆黒の波動!

凄まじい速さで優へと向かっている!



「ぐっ!」



ドッガーーンッ!!



「はははッ!!

 並の一撃ではないぞ…!精神を蝕み…闇へと誘う!

 呪われろッ!!」



「…危なかった…。

 確かに物凄い威力だわ…ガードしなかったらヤバかったかも」


「な…なんだと…!?

 無傷……だと…?……馬鹿な!?」



咄嗟に霊気を高めたら霊気の防御壁が目の前に作られた…。

すごい…。


今の私は霊気の性質を切り替えるスピードも、

どの箇所にどれくらいの力を出すかとか…頭で思い浮かべるだけで実現できる…。


霊気を上げるスピードも一瞬な上、強力な一撃を放った際の

霊気の乱れがまるでない…。

常に安定して最高の一撃が打てる…。


霊力も相当に上がってるのか…底を感じない…!



それに…何もしていないのに、力が上がっていくこの感じは一体…?


これが…これが霊王の力…!

凄まじい…。


私だけではこの域に到達なんて出来っこなかった…莉都…莉那…ありがとう。

私はこの力で彼を倒す…。


それが皆を守る事に繋がるならば…力の使い方…間違っていないよね?



「さぁ…今度は私から行くわよ!」



両手に霊気を集中していく優!


ボゥッ!!



「ええ…!?何…これ…」



優は自分で出した狐火に驚いた。

今までのような淡い紫の炎ではない…薄く蒼い…それでいて力強い。

両手の炎は一つでも以前の両手で作り出した炎より大きく猛っている!



「ふん…!そのような、こけおどしが通用するとでも思っているのか?」


「通用しないかどうか、試させてもらうわ!

 いくわよ…!双…ッ炎玉ッ!!はぁああああッ!!」



優は両手の炎を掛け合わせ巨大な玉にして解き放った!


ドンッ!



「うわッ!」



あまりの衝撃に放った優が後ろにのけぞった!

だが炎の玉は上手く発射されたようだ!


京目掛けて飛んで行く!

しかし、若干スピードが遅いか…!



「ふんッ!確かに凄まじい霊気を感じるが…!

 当たらなければ意味はないぞ!!」



バッ!


京は余裕で上空に跳んで避けた!



「でしょうね…。

 そう避けるように仕向けたのよッ!」


「なに!?」



「弾けろッ!!」



優が叫んだ瞬間、巨大な炎玉が破裂した!

そして拳大のサイズの炎の玉が辺り一面に飛び出した!



「ぐぅッ!!」



ドドドドドッ!!

上空にも向けて炎弾は飛び掛る!


京は炎の弾幕に襲われた!



ドサッ!



「はぁ…はぁ…

(馬鹿な…!なんという霊撃力だ…!

 あんな小さい弾の一つ一つに、あそこまで凄まじい霊気が込められていたというのか…!)」



「凄い…京は完全に-の属性霊気を全快にして防いでいたのに…

 それを貫いてダメージを与えた…」



凄い力だ……。



「うぉおおおおおおおッ!!

 全力だぁあああああッ!!!!!」



黒い霊気が京を包み込む!

見る見るうちに髪の毛までが漆黒に染まって行く。



「く…!凄い……!

 あれが本家本元の霊王化身なの…!?」



「殺すぅううぁああッ!!」



バシュッ!!

京が弾ける様に飛び出した!



「!」



優が反応した頃には京の姿は目前まで迫っていた!

そして優の顔面に向けて京の掌が迫る!


スッ!


優は身をかがめ、なんとかそれをやり過ごした!



「!!」



しかし、続いて下から突き上げるアッパーが襲い来る!!

ドガッ!!!


優は自分の顎下に両手を置いてクッションに使ったが、

おかまいなしに京の強烈なアッパーが決まった!!


宙に浮く優の脚をすぐさま掴み、下に引っ張る!


優は勢いよく地面に叩きつけられた!

京の猛攻はまだやまない!


続けざまに優目掛けて漆黒の波動を放つ!!


ドッガーーーーン!!!



凄まじい爆音を上げ、あたり一面の地面が吹き飛んだ!!




「…何処だ?今の攻撃で終わりじゃないだろう?」



辺りは土煙が立ち上り視界が利かない。



「はぁッ!!」


「ぬ!!」



ドガンッ!!


煙に乗じて飛び掛る優だったが、京の反射神経はそれを上回った!

死角からの攻撃にも関わらず、逆にカウンターを浴びせられる優!


裏拳が優の顔面を貫いた!



ドッガーーーーン!!


再び爆音が上がる!

吹き飛んだ優が岩壁に激突したのだ。



「くく!…俺は強い…!!」




―――

――



土砂の中―――

――



「はぁ……はぁ…」



強い…!

あれが本気の京…!


余裕で倒せると一瞬でも思った私が甘かったわね…。

京の本気があそこまでとは…。


私の方は…

霊気の消耗は感じない…でも体力はそうでもないわね…。


傷は瞬時に治るけど…体が言うことを利かないし、反応も鈍ってる…。

このままだとヤバイのは私のほうだ。



何か対策を考えなくちゃ…。



「…?」



まただ…力が溢れてくる感じ。


私の霊気の最高値がグングン上昇している。

最高まで高めた状態でも、時間がたつにつれ限界を超えて行く。


これって何なのかしら…?


霊気を上げ続けて行ったら…どうなるの?



「試してみるか…!

 はぁああぁぁあああああああッ!!!」



優は霊気を上げ始めた。



―――

――



「…!霊気が高まって行く…。

 くくく!そうでなければな!!

 !!?……どういうことだ…?

 先程までの霊気を越えた…まだ上がっている…!」



ゴゴゴゴゴゴッ!!


優の霊気に反応して大地が揺れている。



「くっ…!!まだ本気ではないというのか…!?」



―――

――



とあるビルの屋上―――

――



「…これは予想外の展開だな。

 まさか"王の力"が覚醒したのか?」


「…だとしたら…あの子に勝ちは無くなったんじゃない?

 あの力はそこらの怨霊・妖魔相手に使うような代物じゃない。

 ましてや人間など」



「確かに凄まじい力ではある…が、まだ未完だろうな。

 せいぜい…お前と同等程度の力だろうな。

 亞砂(あすな)


「言ってくれるじゃないさ。

 私をあんま甘く見ないでくれる?

 いくらあんたでも口が過ぎると…殺すよ?」



凄まじい殺気が男に向けて放たれる。



「冗談だ。本気にするな。

 それよりも、移動するぞ。

 奴らの戦いも、もうじき終わる」


「決着がつくってわけね。

 どっちが勝つのさ?」



「決まっているさ…あえて言うことはないがね。

 まぁ、向こうについてから確かめるといい」


「けっ!天牙(テンガ)のケチ野郎!」



二人はビルから空を飛び移動を始めた。




―――

――



「く…まだ上がっている…!!

 一体何が…!!」



ピタッ…


大地の揺れが収まった。



「止まった…」



スタッ…


優は京の目前に降り立った。



「!……お前…」


「さぁ…はじめようか…」



優の雰囲気が明らかに違う。

髪の色・目の色が薄い緑色に輝いている。

さらに額には見慣れぬ紋様が浮かんでいる。


そして体には霊気の衣のような、何か普通ではない光を纏っている。



「くっ…!そんなこけおどしッ!!!

 食らえぇええッ!!!冥王波ぁああぁあああああッ!!!」



漆黒の波動が至近距離から優に向けて放たれる!

避ける素振りもなく波動は優に直撃した!!



ドッガーーーーーンッ!!



「ふん…!油断するからだ!馬鹿めッ!!」


「馬鹿…?」



黒煙から優は無傷で姿を表した。



第51話 完   NEXT SIGN…

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