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第48話 真なる脅威

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第48話 真なる脅威



「はぁッ…はぁッ……!

(何だアイツは…人間ではないというのか…?

 この僕が逃げる…?許さないぞ…あいつめ…ッ)」



全力疾走で逃げる呪。



「逃がすかよ…くくく…!!

 はぁッ!!」



ドンッ!!

爆発音を上げ、灰閻が走り始めた。


二人の距離の差がドンドン埋まっていく!

途轍もない速さだ。



「追いついたぜ…!」


「く…!」



呪のスピードに合わせて並走する灰閻。



『!!いけない…!前に人がいる!!

 避けるんだ!』


「しゃらくせぇえッ!!」



ドガッ!!



灰閻は前方にいた人間をなぎ払って走り続けた。

恐らく今の一撃ではねられた二人は命を落としただろう。



『く…ッ!!貴様ッ…!!』


「黙ってろよ一騎…今いいところなんだ…はは…

 最高に楽しい狩りだぜ…」


「くソッ!!」



並走する灰閻に対して霊気を放つ呪!

顔面に当るも、まるで動じる様子もなく、減速無しに並走を続けている。



「半端な攻撃は俺の怒りを買うだけだぞ…くく!」


「…はぁッ!!」



呪は一気にブレーキをかけ、減速した。

狙いは一気に切り返して、突き放そうという魂胆だったのだろう。


しかし…



キキィイッ!!


「無駄無駄無駄ぁああッ!!

 んなもんで振り切れると思ってんのか?」


「チイィッ!!」



ドンッ!!



再び見えない衝撃波を放つ呪!

灰閻の顔面に直撃したものの、体は微動だにしていない!

首から上だけがわずかにのけぞった程度だ。



「だから…聞いてないのかよ…?

 中途半端な攻撃はすんじゃねぇえッ!!」


一喝!


その気合だけで前方の呪は吹き飛んだ!



「くく…!てめぇの全力はそんなもんか?」


「ギッ!!」



呪は再び眼を光らせ、灰閻を睨みつけた。



「!……んなもんは…きかねぇんだよッ!!!」



バチンッ!!

灰閻は気合で呪の術を弾き飛ばした。



「ば…馬鹿な…ッ」


「さぁ…手は出尽くしたか?

 だったらもうテメェに用はねぇ…死にな」



「ふ…ふざけるなぁああああッ!!」


「ぬ!?」



ドッガーーーーー!!


呪はありったけの霊気を弾に変えて連続で撃ち出した!!

両手から次々に発射される霊気弾!

掌サイズのそれは、物凄い速さで灰閻を襲う!


灰閻はかわせないのか、全て被弾しているようだ。



「うらぁああああッ!!

 死ねぇえええッ!!まだまだぁああッ!!」



ドドドドドドドッ!!

止む事のない弾幕!

被弾している灰閻の周りは土煙に包まれている。



「はぁ…!!これでとどめだッ!!」



ドッ!!!

得意の霊気砲が放たれた!

灰閻の体を丸呑みするほどの巨大な霊気砲だ!



ドッガーーーンッ!!!


灰閻に一直線に飛んでいく波動は見事に直撃した!



「はぁ…はぁ…ッ!

 終わった…くく!舐めるからそういう目にあうんだ…!」



ザッ…



「…ば…馬鹿な…………」


「くくく…効いたよ…。

 お前にしては上出来だ…だが…あの程度では命までは奪えなかったな…」



土煙から姿を現したのは上半身裸の灰閻だった。



「く…!」


「無理はするな…もうテメェには戦う力は残ってねぇよ」



呪に歩み寄る灰閻。



「殺すのか…?」


「ああ…殺すな…。

 でもテメェは俺の"糧"になるんだ…光栄だろう?」



「糧…だと…?」



ビュッ!!

灰閻は呪に飛び掛った!!


ガブッ!!



「!!……な…」


「くくく!!…テメェは…俺の餌だ…。

 安心しろ…残さず喰い尽してやる…」



なんと灰閻は呪の首筋に噛み付いた!

そして首を大きく振り、肉を食い千切った!!



「あ……あ……」


「黒血か…くく!

 テメェ…人のナリしてたが…怨霊の塊か」



ドサッ


呪は灰閻にもたれかかるように倒れた。



「残さず…喰…え……よ……」


「ああ。テメェのせいでかなり消耗したからな…

 遠慮はしねぇぜ」


ガブッ!!

もう片方の首筋に噛み付くと、今度は"吸い"はじめた。

血を…霊気を……とにかく吸っているのだ。



するとどうだろう…呪の肉体は綺麗に消え去ったのだ。

まるで全てを吸い取られたかのように…。



「ふぅ……最高だ…。

 心地いい闇の霊気……素晴しい」


『ぐ…ぐぁ……!

 なんだ…この気持ちの悪い……感覚は…』



「一騎よぉ…あとはテメェだけだぜ…

 邪魔者はよ…」


『き、貴様…!』



「まぁ今たっぷり奴の血を…邪気を取り入れてやったから…

 てめぇはおっ死ねや!あーっはっはっは!!」


『く…こんな…こんな所で負けてたまるか…!』



―――

――


とあるビルの屋上―――


傍観者の二人はまだ見ていた。



「大番狂わせね。

 負けちゃったわよ。あいつ」


「予想外ではある…が、面白い展開でもある。

 まさか、人間が妖魔に等しい…いやそれ以上の怨霊を喰うとはな。

 あの男…さらに化けるぞ」



「それってマズイんじゃないの?

 "あの子"を越えちゃうんじゃない?」


「ああ。恐らく実力的には緋土京を勝る力を手にする事になるだろうな」



「だったら、やっぱりマズイじゃん。

 アイツあの子の敵でしょ?」


「…どうかな?

 これはどう転ぶか…見ものかもしれないな」



クスッと笑う男。



「ほんっと…あんたって物好きよね」



―――

――



『はぁ……はぁ……』


「しぶといねぇ…一騎ちゃんよお。

 俺に体渡して楽になんなよ」



『誰が…渡すか……ッ!』


「くく…!」



ザッ!



「…か、神谷さん…?」



目の前に現れたのは夕見司とシロとポチだ。



『く…!!こんな時に…ッ!!』


「くく…女か…。いいねぇ……ちょっと遊ぼうぜ?」



「…神谷さんじゃない…!

 霊気の質がまるで違う…ッ!」


「司…下がりな!」



人間化したシロが言った。



「シロ…どうしたの?

 凄い汗……!」


「こやつ…一体何なのじゃ…?

 人間…なのか…?」



後ずさりするシロ…



「や…やばいよ…司ちゃん…シロ…ここから離れたほうがいい…」


「ポチまで…!一体何なの?」



「人間の司には判らないかもしれんが…

 奴から妖魔に近い禍々しい何かを感じる…」


「確かに禍々しくて強い気ではあるけど…

 手に負えないレベルかしら?」



「くくく…!その奇妙な女…それに犬…

 てめぇら何者だ?俺と同類か?」


「逃げるのじゃ!!司!」



ドスッ



「え……」


「はい…一人」



灰閻は一瞬に間合いに入るとシロの胸を手刀で軽々貫いた。



「に…逃げるのじゃ…!」



ガシッ!

瀕死のシロは自身の体を貫いている灰閻の右腕を掴んだ。



「ほう…あくまでこの女を逃がすか…。

 健気だな」


「に、逃げないか…司…ッ!」


「誰が…誰が仲間を置いて逃げれるかぁああッ!!」



ドガッ!!


司は灰閻の背後から思い切り顔面を蹴り飛ばした!



「!…

(ビ、ビクともしない…!?)」



「意気のいい女は好きだぜ?」



ブンッ!!


思い切り腕を振ってシロを引き離した!

そしてシロの血を払い、司へ近づく。



「つ…司ぁ…ッ!逃げろぉッ…!!」



カブッ!



「あぁ?」


「ハムッ!!ひゃめろッ…!!」



灰閻の足にポチが噛み付いている。



「くくく!本気かよ?」



ブンッ!!

超速で蹴り上げると、勢いに負けポチは遠くへ飛んでいった。



「く…!」


「俺を前にして、まるで臆していないか…

 その反抗的な目がいいね…どうだ?俺の女にならねぇか?

 お前を気に入った」



「誰が…アンタなんかとッ!!」



パシッ!!

司の放った拳は余裕で止められた。



「…お前のような女は好きだが、俺にも我慢の限度はある。

 もう一度言おうか?俺の女に」


「嫌っつってんだろ!!この露出変態野郎!!」



ピキッ…!

灰閻の表情が険しくなった。



「調子に乗るなよ?」



ポキッ



「…え?」



司の右腕が小枝を折るようにいとも簡単に折って見せた。

無造作に。



「聞き分けのない奴はこうなる」


「うぁあああああああッ!!」



「くく…いい声だな…。

 興奮してきたぜ……」



ドンッ!!



「きゃあッ!!」



司は押し倒された!



「はぁ…はぁ…!くくく…大人しくしてろ…」


「…さわんじゃ…ねぇッ!!」



ドガッ!!

司は思い切り灰閻の股間を蹴り付けた。


いかに強いといっても所詮は男であった。

悶絶する灰閻を振りほどくと司はシロの元に駆け寄った。



「シロ…大丈夫…!?

 酷い傷…!」


「ばか者…!我などに構っている場合か…!

 早く逃げよッ!もうこのような機会巡ってはこないぞ!」



片腕をシロの傷口にあて治癒を始める司。



「司…」


「ごめんね…私が不甲斐ないばかりに…」



「アホか……それは我の台詞じゃ…

 く…自分も腕を折っているというのに…」


「しゃべらないで…きっとどうにかなる」



―――

――



「ぐ…くそあまぁッ…!!」


『もう貴様の好きにはさせん…!!』



「!!…一騎ぃいいぃい…貴様まだッ…!」


『…覚悟を決めた……やはりこれしかない…』



「!?…貴様何を考えている…」


『くく……すぐ…わかるさ…!』



―――

――



「!…」


「どうした…まりあ?

 急に立ち止まって…」



となりを走っていた須藤が声をかけた。

神谷の指示に従い、遠くに離れていた聖才雅、須藤彰、片桐亮、不破まりあの4人。



「…何か…嫌な予感がする」


「神谷さんのことかい…?まりあ君…」



「ええ……口では上手く言えないんだけど…

 なんだかモヤモヤするの…なんだか…とても嫌な…予感が…」



まりあのこの予感は…



的中する事になる。



第48話 完   NEXT SIGN…

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