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第42話 戦力差

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第42話 戦力差



「それでいい…。

 俺を止めたければ、言葉ではなく力でぶつかって来い」


「…行くぞ!」



莉都は前方に両手を突き出すと、一気に左右に開いた!


すると突き出していた両手を中心に、光の陣が広がった。

まるで優を守る盾のようだ。


息をつく間もなく、陣から溢れんばかりの波動が放たれた!

まさに一瞬の出来事!



「!!」



京はかわすことが出来なかった!

光の波動を受け吹き飛ぶ京!



『やった!』


「やってなどおらんよ。

 あれは単なるこけおどしにすぎない…。

 はぁぁあああああッ!!」



莉都は霊気を高め始めた。



『早い!…一気に霊気が最大までに上がった!』


「絶対に接近戦に持ち込ませてはダメだ。

 勝機があるとすれば、遠距離戦…外から攻撃を続け、弱らせる」



確かに、肉弾戦で勝てる見込みは薄いものね…。



ピカッ!


「ぬ!?」



前方が光った。

それに気づいた時にはすでに手遅れだった!


ドガァアアアッ!!



「!!」



先ほど京に対して放った光の波動。

それをそのままやり返されたのだ!


勢い良く飛ばされる莉都!



「ぐ…!」



木に打ち付けられ、なんとか吹き飛ばさせることはなかったが、

正直、この攻撃は想定外だった。



「くく…!俺を舐めるなよ?

 接近戦に持ち込まずとも…この程度の芸当…出来ないとでも思ったか?」



京が歩み寄ってくる。



「く…!やりおるな!」


「今度はこちらから攻めようか…!」



ダッ!


京が全力で駆け出した!

足を踏み込むたびに地鳴りを引き起こしている!


あっという間に間合いを詰められた!



「死ね!」


ヒュッ!


京の手刀を危機一髪!しゃがんでかわした!


が、背にしていた木は今の一撃でスパッと切れて倒れた!

凄まじい切れ味だ。



「くくく!!首をはねたつもりだったがな…!

 よく避けた…」



「はぁッ!」


腹を蹴り飛ばす莉都!


ズザザッ!と後ずさりさせるものの、やはり手ごたえは薄い。

京は不敵な笑みを浮かべたままだ。



「風華!雷華!」



シュバッ!


莉都の周りに二つの光る小鳥が現れた。



「!…ほう」


「私の契約している霊獣のうち最速の二羽だ…!

 避けれるものなら避けてみよ!!」



スッ!!



二つの光は瞬時に姿を消した!

キィイイイイン…


甲高い音だけが辺りを包む!



「…

(速いな…。目に映ることもないか…)」



バシュッ!!



「!」



突然京の右腕に切り傷が走った。



「…見えないならば…術者を殺せばいい?

 違うかな?」



ダッ!


二つの光などお構い無しに、莉都目掛けて走り出す京!



「そうくると思っていたわ!枷金ェッ!!(カセガネ)」



莉都がそう叫ぶと、目の前に光り輝く巨人のようなものが現れた。

そして突進してくる京を受け止めた。



「枷金は最も力のある霊獣!

 そのまま押さえ込め枷金!!出来るならば骨の二、三本でもへし折ってやれ!」


「ぐ…ぐぐ!!霊獣如きがぁああッ…!!

(なんという力だ…ッ!身動きが…取れん…ッ!!)」



ドスッ!ドスッ!!



「!!…ガハッ…!」



突如京が吐血した。

背中から何かが京の体を貫通したようだ。



「…ぐ…ぐ!」


「よくやったぞ風華…雷華!

 今の一撃で、奴はかなり消耗した…意外とあっけなかったな」



その瞬間だった。


パンッ!!



「!?」


『枷金が……弾け…とんだ……?』



「…くく…!

 おめでたい奴等だな……今ので勝った気になるとはな…」



京を包む霊気がドンドン上昇していく。

今までですら、かなりの霊気を発していたにも関わらず…更に高まっていく!



「これが本物の霊王化身だ…。

 もう貴様等に生きる道は残っていないぞ」


「く…!桁外れだ…!

 なんなのだ…!こいつ…!抱いておる怨念の量も質も半端ではない…!

 あれだけの力を狂気に落ちずに支配しているとは…!」


『…く…!なんとかするのよ!』



京を包み込む霊気が光を放つほど強力になっている。



「わかっておるッ!!風華!雷華ッ!!!」



ヒュッ!ヒュッ!!!



「…」



パシッ!パシッ!!!



「な…んだと!?」



なんと京は神速で飛び回る風華と雷華を鷲づかみにしたのだ。



「…ふん…止まって見えるわ」



グチャッ!!


風華と雷華を同時に握りつぶす京。



「…ここまでとはな…」


「死ね…」



京の拳が莉都を襲う!



「霊気全快!!!!」



ドッガーーーーン!!!



ただの霊気を纏った拳打に過ぎなかった。


莉都の体に触れる瞬間、陣による二重防御に加え、完全に-の霊気で体を覆った。

にも拘らず、莉都の体は今までの規模にないほど吹き飛ばされた!



物凄い勢いで飛ばされていく莉都!



「ぐ…グハッ…!!し……死ぬ……!この勢いのまま…何かに衝突すれば…死ぬぞ…!」



吹き飛ばされながらにも意識は保っていた。

だが、いかんせん体の自由がまるできかない!


もうどれ位吹き飛ばされているかわからないが、森を突きぬけたようだ。

所々枝には触れたが、幸い樹にぶつかることはなかった。



徐々に勢いが落ちてきた。



ドサッ!!


そして柔らかい土の上に背中から着地した。



「はぁ……はぁ…!助かった…!」


『莉都…やれるの?』



「正直に言おう…今の一撃でかなりの霊力を失ったわ…。

 もはやあやつを黙らせるだけの霊力は残っていないかもしれんな…」


『そんな…!』



「優……ここは苦渋の決断をしなければならんようじゃ」


『…どういうこと?』



「"逃げる"…それ以外にあるまい…!」


『そ、そんな!』



「甘かったわ…。

 どうにかなる…五分五分等と…。

 とんだ自惚れだったわ………奴の本気があれでは万に一つも勝ち目はないぞ」


『…』



「優…気持ちは判るが、逃げるのも勇気じゃ…。

 引き際を誤れば…待つのは死じゃ」


『わかってるわよ…そんなこと!

 でも…ここで私達が逃げて…それで、また関係のない人が命を奪われるのは…もう見たくない!』



「甘ったれるな!!」


『!…』



「何もかもが己の思い通りになると思うな…。

 人の力など微々たるものよ…思いあがるのも大概にするんじゃな」


『…私はまた何も出来ないっていうの…?

 誰一人…守ることが出来ない…』



「…今は退き…力をつけ、それから奴を倒す以外ない…。

 今は諦めろ…」



「その必要はない」



ザッ…

何者かが姿を現した。



『!?……勇…君?』



後ろを振り返ると、そこには天城勇の姿があった。



「遅れたことを詫びよう…。

 どうやら相当の手練のようだ。

 此れほどまでに邪悪な力は妖魔となんら遜色がないな」


「お主…さっき"その必要はない"…そう言ったか?」



「そう言った。

 それがなにか問題でも?」


「…くく!いや…逃げる必要がないなら…何なのか聞きたいものだ。

 まさか"倒す"等と言わないでおくれよ?」



「…そなたに無理だからといって、

 それを我に押し付けるのはやめるがいい…」


「…ほう…。

 では見せてもらおうか…そなたの力とやらを。

 丁度いい所に奴が戻ってきたようじゃぞ」



前方からゆっくり歩いてくる京の姿が見える。



「その様だ」



ザッ!


戒はそのままゆっくりと京の方へ歩みだした。



『勇君…』


「なんじゃ…優。

 あやつはお主の許婚か何かか?」



『ちょ!ち、違うわよ!

 そんなんじゃない…!ふざけないで!今はそんな時じゃないでしょ!』


「冗談じゃ。そこまでムキになることないじゃろう…。

 それよりも奴が何処までやってくれるかじゃな…」



―――

――



「知らない間に仲間と合流したか…白凪優」


「邪悪なる者よ…それ以上の歩みを進ませる訳にはいかんな…」




二人は足を止め、対峙した。

両者の距離…約5mほど。



「中々…強いかな?」


「どうだろうな……だが、自信がなければ、立ち向かいなどせんさ」



「つまり勝算アリ…と」


「…」



スパンッ!!

京の左肩を何かが貫いた。


血が吹き出ている。



「!?…ぐッ!!」



すぐさま傷口を押さえ、止血・治療を始める京。



「…」



一瞬だった。


戒が先に踏み込んだのだ。

体を捻り、腕を構え、足を踏み出すと同時に腕を振りぬく。

その型はまさしく居合い…。


しかし、天城勇の体を借りた戒は剣などもってはいなかった。


にも拘らず、京の左肩を貫いたのだ。



「…」


「"何をした?"…そのような面持ちですな。

 なぁに…単純ですよ…踏み込んで…そして突いた…。

 この霊光剣でね」



チリチリッ!

細かい音を鳴らしている光の太刀。


戒の右手にそれは握られていた。



「…霊剣か…

(高圧縮された霊気の刃……霊撃力に特化するという意味合いではなく…

 あれは殺傷力を目的とした武器だな…。

 厄介な点は二つ…。

 一つに、奴の動きを油断していたとはいえ、かわすことが出来なかった点だ。

 目で追う事は出来た…が、今の間合いでは恐らくかわせない…。

 距離をとる必要がある…。

 さらにもう一点…あの刃だ。

 霊気で出来ている以上…伸縮も自在…中々と厄介な代物だな…)」


「…目つきが変わりましたね…。

 ようやく敵として認識していただけたかな…」



「どうかな…?」



不敵な笑みを浮かべる京。



「それは余裕ですか?」


「くく…!!」



ドンッ!!



京は間合いを取るどころか、間合いを詰めた!



「!」


「はぁあッ!!」



ドガッ!!


京の上段蹴りをまともに顎に決められた戒!

クルクルと空中で2、3転、回りながら飛ばされた。



「く…!

(やるな…。居合いは鞘に納まってる状態こそ危険だが…

 今のように抜刀した状態では、あの迅さは出せない…!

 それを見越し、自ら踏み込んできたか…!

 中々と頭が切れるようだな…)」


「はぁあッ!!」



「!?」


ドゴッ!!!


いつの間にか、吹き飛ばされた上空に京の姿があった。

そしてそのまま空中から叩きつけるように京は再び蹴り飛ばした!



「グハッ!!」



ドッガーーーッ!!


地を抉りながら吹き飛ぶ戒。


それを上空から見下ろす京…。



「そんなものか?くくく…!」



第42話 完   NEXT SIGN…

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