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第38話 対峙

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第38話 対峙



「…優、この上空が一番瘴気が強い…。

 だが、少々高いな。どうやって上ればよい?」


『ビルの屋上か…。

 とりあえずそこの入り口から入って、階段を上っていって!』



先に向かった須藤達をあっという間に追い抜き、漆黒の雲の中心地にやってきた優。


体を操る莉都に頭の中から指示を与えている。



急いでビルを駆け上がる優。



『ここ、普通にオフィスビルじゃない…!

 しかも10階もあるわね…』


「おふぃす?なんじゃそれは。

 とりあえず一番上に行けばいいのだろう?」



ビュンッ!

身体能力は優自身のままだが、霊力で身体能力をある程度強化しているのか、

普段とは比べ物にならない動きだ。



『…こんなフルで動いて…

 絶対筋肉痛間違いないわね…』


「細かいことを気にするな。

 今は一大事なのだろう?筋肉痛くらいで済むなら安いものじゃ」



笑っていう莉都。



あんたは元に戻るからそれでいいけど、私はあの痛みと格闘だっての!

まったく…。


でも、あっという間に屋上まで着いたわね。



屋上へ出るドアまで来ると、ドアノブを回した。


ガチャ!



「む…?開かぬぞ?」


『鍵が掛かっているの?…んー無理やりこじ開けられない?』



「いいのか?出来ない事はないぞ」


『んじゃやっちゃって!バレないバレない!』



「大事の前の小事か…その策乗ったぞ」



ニヤッと笑って言う莉都。


ガチャン!

物凄い握力でドアノブを引きちぎった!


そしてドアを思い切り蹴り飛ばした。


勢い良くドアが破れた…その瞬間だった。



「…!?」



突如目に飛び込んでくる物凄い光!



ドッガーーーーーーーーン!!!!!


突如あたり一面を吹き飛ばすほどの爆発が起こった!



「くくく…」



緋土京の放った波動だった。


爆煙が巻き起こる。

屋上へ続く階段が瓦礫で閉ざされている。



「…随分と手洗い挨拶じゃな」


「!……ほう」



爆煙から無傷で現れた優。



「おい、優…この者が主の敵で間違いないのか?」


『ええ。間違いないわ!やっと見つけた…!』



「何をしたのか判らないが、しばらく見ないうちに随分と霊気を上げたじゃないか」


「なるほど…私の霊気を感じて待ち伏せていたというわけか」



「ああ。君ほどの強い霊気を見逃すはずもないだろう。

 ここに迫ってきてるのは十分に把握していた…。

 話は変わるが、場所を変えないか?

 今の爆発でギャラリーが集まってくる。

 どうせやりあうなら、邪魔されたくないからね」


「…と、言っているがいいか?」


『ええ。出来れば周りに人がいない所を選んで』



「人がいない所が望ましい」


「まぁ、お互いそっちのほうがいいだろうな。

 ついてこい」



そう言うとビルの端に移動する京。



「?…何をする気じゃ?」


「ふふ…」



バッ!


京はなんと両腕を広げビルから飛び降りた!



「な!!?」


「くく…さぁ…付いて来い…霊王の一族よ!」



なんと飛び降りた京は空を舞っている!



「成る程な…」


『な、何が成る程なのよ!!

 空を飛んでるのよ!?ありえない!』



「主の目は節穴か…よく見てみよ。

 奴は霊気の翼を用いて飛んでいる」


『え…』



優は莉都を通してじっと京を見つめた。



『!…ほんとだ!背にうっすら翼が…見える!』


「あれも霊王の血を引き継いでおるようだな…。

 "気"の質でわかるわ…。そして"あれ"はおそらく、

 何処ぞの妖魔の能力の一つだろうな」



『そんな事まで可能なの…!?』


「くく!…笑わせるのう」



莉都が笑い出した。



『な、何が可笑しいのよ!』


「あのような妖術紛いに頼らずとも、

 霊気の操作で空を舞う事くらい私にも出来るわ」



そう言うと莉都までビルの端に移動した。



『じょ…冗談でしょ…?ね…ねぇ…やめよう?ね?』


「何を恐れている?私を信じろ優。

 行くぞ!」



バッ!


優の静止を振り切って、空に飛び出す莉都!



『ぎゃああああああああああああああああああああ!!

 馬鹿女ぁああああ!!!』


「頭の中でぎゃあぎゃあ騒ぐな!

 集中力が乱れるじゃろ!…く!はぁああッ!」



暫く落下した頃、ようやくその身が浮き上がった。



「…!…まさか、飛べるとはな…」



後ろを振り返り驚く京。



『あ、あんた…なんで飛べてるのよ!?

 それよりも、寿命が10年は縮んだわよ!どうしてくれるのよ!』


「ははは!大丈夫、そのくらいで済んだならよいことではないか」



『ははは!…じゃない!

 でも、どうして空飛べるのよ…未だに信じられない』


「200年ほど前…我等の時代では、そう珍しい事ではなかったがな…。

 そうか、今ではそういった技術は鎖されておるのか」



優の体が徐々に降下を始めた。



『え?どうしたの?』


「ずーっと空など飛べる訳がなかろう。

 鳥ではないのだから。あくまでも自身の霊気と大気の霊気との絶妙な調整からなる妙技。

 長時間空に留まるには、かなりの霊気操作能力に加え霊気、霊力とも絶対量が

 かなり必要になる」



『むぅ!なんか悔しい』


「ふん、駆け足なら負けはせんさ!」



確かに走りでも十分京についていっている。



『何処まで行くのかな…まさか…

 これって…』


「どうした?」



『ううん…緒斗の森って霊地があるんだけど、

 進行方向がそっちの方角なんだ。

 もしかして…と思って』


「ほう…そこは人気が少ないのか?」



『朔夜の一件以来行ってないけど、

 元よりの"噂"もあるから…多分人気はないと思うよ。

 それに、もう日も沈み始めたし』


「うむ…そうか。

 何にしても、今のうちから奴との戦いの対策を練らねばな」



『対策?』


「…思った以上に厄介かもしれん」



莉都の表情が険しくなった。



『どういうこと?』


「今、奴から感じる霊気は参考にならんという事だ」



『え?どういう意味?詳しく話してよ』


「奴は霊王の眼を持っておるじゃろ?

 それは知っているだろう」



『ええ。同じ霊王眼を持ってるわよ』


「で、問題は奴の属性は霊王化身という事じゃ」



『霊王化身…?』



はっ!!


思い出した…。



以前お祖母ちゃんが話してくれた…。


―――

――


『ついでだから5家のどれがどの能力に特化しているか教えてやろう。

 西部・飛鳥の緋土家…これは5つ目の"身体能力、霊能力を大幅に上昇させる能力"に特化しておる。

 中央部・暁の草馬家…これは4つ目の"他人の霊力を回復させる能力"に特化しておる。

 北部・奥里の九鬼家…これは3つ目の"霊を封印する霊気の刃を操る能力"に特化しておる。

 南部・天玖の相良家…これは2つ目の"霊の能力を吸収し…自分のものにする能力"に特化しておる』



――

―――



『身体能力…霊能力を大幅に上昇させる能力に特化している…。

 確かそんな能力よね?』


「そう…霊王化身に特化した奴の実力はあの程度に収まらないじゃろうな…。

 まず身体能力で奴を上回るのは厳しいじゃろう。

 だとすれば骨を切らせ、肉を断つ意外にないだろうな…」



『一発逆転を狙うってことね…』


「まぁ、そうなる事は覚悟したほうがいいな。

 主の力が上手く覚醒すれば、あるいは…」



『え?今なんて?』


「いや、なんでもない」



ブブブ…



「あ…」


『何、脈絡もなく卑猥な声出してるよアンタ!』



「う、煩い!急にモゾモゾとしたのじゃ!」



ゴソゴソと胸元をまさぐる莉都。



「なんじゃこれは?」


『!…携帯!着信かも!莉都!開いてみて!』



「ひ、開く!?どうやるんじゃ!」


『ええい!不便だなくそ!パカッとやんのよ!パカっと!』



パカッ!



「うお…光っておるぞ!ブルブルしておる!

 どうにかせい!」


『一番左のボタン!じゃ…通じないか、ボタンって日本語でなんていうのよ…もう!

 えーっと…とにかく左のぽっちを押すの!』



「い、一番左のぽっちか…よし待っておれ」



ポチッ!



『OK!やるじゃない!』



『もしもし優かい!?』


「こ、声が聞こえるぞ!」



『電話なんだから当たり前でしょ!全く何年守護霊やってんのよ!』


「ふ、普段は寝ておるんじゃ…」


『優!?何をぶつぶついっておるんじゃ!』



電話の相手はどうやら祖母の茜のようだ。



『転身の術を解いたら不味いわよね…。

 とりあえず、莉都!これだけ伝えて!

 私は今、緋土京を追って、緒斗の森に向かってる!』


「私は今、緋土京を追って、緒斗の森に向かっている」


『なんじゃと!?優!やめるのじゃ!

 相手はお主程度で勝てる相手ではない!』



「…それは百も承知じゃ!それに…私とて、優を死なすわけにはいかん!

 しかし、この娘は本気なのだ…」


『!?…優……どうしたのじゃ?』



「主が優の何かはわからぬが、私の命に賭けてもこの娘を護ることを誓おう。

 それが守護霊である莉都の勤め」


『!!?…守護霊……?まさか…転身しておるのか!?』



「うむ。我は今、神谷という男に力を借り、優の肉体を借りて現世に戻っておる。

 敵の男と自身の力を測った結果…恐らく勝負は五分五分か…もしくは分が悪いかもしれん」


『…莉都といったか…優を、孫をよろしく頼む…。

 くれぐれも…死なせないでくだされ…。

 まだ齢16の小娘じゃ…死ぬには早すぎる…』



「承知した。必ず生きて戻る…優の祖母殿よ…」


『莉都!お祖母ちゃんに私は大丈夫って伝えて!』



「お祖母ちゃん、私は大丈夫!そう言っておるよ…祖母殿」


『さようか…こちらも皆無事という事と、

 すぐにそちらに向かうと伝えてくだされ』



「優、祖母殿が皆無事だと言っておるぞ。

 それとすぐにこちらに向かってくれるそうじゃ」


『そっか…うん!よかった!

 皆無事でよかった!』



ツーツー!



「ぬ?突然声が途絶えたぞ?」


『電波の状態が悪いのかも。

 でも伝えたいことは伝えたいし、よかったわ!』



「うむ…お、いつの間にか人気の少ない道に入ったな」



辺りに民家が見えなくなり、自然が目立つようになってきた。


緒斗の森が遠くに見える。



「さて…どう戦うか…じゃな」



第38話 完   NEXT SIGN…

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