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第3話 雨の惨劇

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第3話 雨の惨劇



優は勇に全てを話した。


「…」



流石にいきなりこんな話をされても戸惑うわよね。



「あの男が…もし本当にそんな恐ろしい計画を実行しようとしているなら…

 全力で阻止しなければ大変な事になる…」


「その通りよ…。だから私達白凪家も流華に協力する…。

 そしてそんな馬鹿げた計画は叩き潰すわ」


「勇み足は結構だけど…奴を侮ってはダメよ。

 1対1で勝てる相手ではないのだから」



それは私も天城君も百も承知…。

いかに修行で多少強くなったといっても…あのレベルには到底追いついてはいない。


お姉ちゃんやお祖母ちゃんにどうにかしてもらわないといけないでしょうね…。



「私達は広範囲では無いにしろ強い霊気を感じることが出来るわ。

 奴を見つけたらすぐに茜さんに連絡…。自分でどうにか出来るなんて思わない事。

 緊急事態を除いて交戦は控えるべき…勝ち目はないでしょうからね」


「鹿子さんは…どうなんですか?

 もし、彼と戦って…やはり勝てる見込みはないんですか?」



この子は確かに強い…でも、それでも奴に近い力があるとは思えない。

何より一人で勝つ見込みがあるなら、私達に協力を頼みはしない…。



「見込みはないわね…。私がベストコンディションで彼がバッドコンディションであっても

 勝率は1%に達するかどうか…。

 それほどの実力差があるということよ…

 でもこれが私一人ではなく…"誰か"と一緒にになれば違ってくるわ」



コンビネーションにより、勝率を上げる…か。


といっても、それほどに変わるものなのかしら…?



「私、"補助系の能力"が得意だからね…まぁいずれ拝ませてあげるわ」



補助系の能力…?



3人は話もそこそこに、帰宅することに。

先生の言いつけ通り3人一緒に帰宅することにした。



「流華も私達と同じ方面に家があるのね」


「ええ。それにしても殺人犯か…。

 緋月京が関連してる可能性は0ではないわね…

 むしろ可能性は高い気がしてならない…」


「十分に注意しないと…ですね」



まぁ…こんな明るい時間帯から人目のつく派手な行動はしないと思うけど…。

油断がそのまま死に直結するからね…。



優たちは各自無事に帰宅した。



―――

――



お祖母ちゃんもお姉ちゃんも出かけてるか…。

早速捜査してるのかな…。


私には外出禁止を伝える置手紙とおやつのせんべいが用意されていた。



「はぁ…なんだかなぁ…」



私役に立てるのかしら…。



その頃…

PM7:28―――



事件は起きていた。



―――

――


ザァザァ……

大雨が降る人気の少ない路地裏。



「あ…あ………」



一人の男が命を絶たれた。

血の海に倒れた男のそばに立つ男…。



「…脆いなぁ…」


男は血に染まった自身の右手を見つめて、そう呟いた。



「動くなッ!!」


「?」



刑事らしき男が銃を構えて、威嚇している。


彼は朝霞警察署・刑事課の鈴木刑事。

たまたま通りがかり事件と遭遇。



「警察だッ!そこを動くなよ…!」


「へぇ…警察か…。すごいじゃん」



男は拳銃を突き付けられているのに余裕の笑みを浮かべている。



「その男をやったのはお前か…?」


「そそ。俺が殺しちゃった」



「動くなよ…!動いたら撃つ…ッ」


「へいへい」



鈴木刑事は拳銃を突き付けたまま、倒れる男に近づいて、首筋を触った。


脈はない…絶命を確認…。



「お前を現行犯で逮捕する…!」


「あー…そいつは無理だろ」



「あ?…何を言っている…!」


「アンタはまず、俺を撃てない…俺ガキだしな。

 それに、あんたに逮捕も無理。

 ここで死ぬわけだし」


ザッ


少年は一歩鈴木刑事に近づいた。



「動くなと言っているッ!」


「だからさぁ…んなもん無駄だって。

 撃てないでしょ。どーせ」



少年は更に一歩、また一歩と鈴木刑事に近づいた。



「く…」


「だろ?…はぁ…大人も大変だね。

 こんな糞ガキがのさばっちゃってさ」



ブンッ!!



「へ?」


間合いに入った瞬間、鈴木刑事の上段蹴りが炸裂した。

蹴りは少年の首筋にヒット!


物凄い勢いで吹き飛んでいった。



「っつつ……急に蹴るなんてひどいなぁ…」


「はぁ…はぁ…」



少年は立ち上がった。

そして、ゆっくりと鈴木刑事に歩み寄る。



「ねぇ。みろよ…血が出ただろ」


「力ずくでねじ伏せる…ッ!」



得たいの知れない迫力に気圧されたのか、鈴木は焦って少年に飛び掛った。



「あー…一発は一発だから」


ドスッ!!


強烈な一打が鈴木刑事の胸を打った。



「カハッ………」


「はい終わり」



鈴木刑事はそのまま倒れ込んでしまった。



「さてと…トドメさしちゃおうか」


「鈴木ーーーッ!何処だぁッ!」



遠くから鈴木刑事を呼ぶ声が聞こえてきた。



「ちぇ…お仲間かよ…。

 刑事さん運がよかったね…」



少年は鈴木刑事をそのままに立ち去って行った。



「…鈴木の奴…晩飯買いに行ったっきり何処にいきやがった…。

 携帯にも出やがらねぇ……ん…?」


仲間の刑事…八坂真警部だ。

鈴木の直属の上司にあたる人物。


八坂警部は倒れる鈴木刑事に気づき、すぐに駆け寄った。



「おい!鈴木!しっかりしろ!!」


「……う……シン…さ…ん……」



「何があった!?誰がやった?」


「…」



鈴木刑事はそのまま意識を失ってしまった。



「鈴木ッ!鈴木ぃぃいいッ!!!」



雨の中の惨事…。

八坂警部はすぐに救急車を呼んだ。




―――

――


9月3日(木)―――

AM7:00――


雨は上がり…

青空が広がっている。



「今日はいい天気ね…」



結局昨日はあれから少ししてお姉ちゃんとお祖母ちゃんは何事もなく帰って来た。

雨という事もあり、早めに切り上げたそうだ。


お祖母ちゃんいわく、霊による死の刻印は見えなかったそうだ。



実際…流華の話は全て仮定の話…。

このまま…全て何も起きなければいいんだけれど。


でも実際殺人事件が起きてるからな…まぁ関連してると言い切れないし…。

考えすぎなのかもしれないな…。



優はリビングへ向かった。



「おはよう…」


「…」



茜も亜子もテレビに釘付けになっている。



「どうしたの?…犯人でも捕まった?」


「逆よ…また犠牲者が出たそうよ」



!!


「また…聖ヶ丘じゃな…。

 しかもこの事件とは別に…他の地域でも3件殺人事件があったそうじゃ…」


「…そんな…!」



「警察官にも負傷者が出たそうじゃ…。

 なんとか一命は取り留めたそうじゃが意識はまだ戻っていないそうじゃ」


「そうなんだ…」



警察が返り討ちにあうって…。

警察の油断か…はたまた…手に負えない相手…だったのか…。



「とにかくコイツは面倒になってきたわ。

 もし仮にこの一連の事件が緋土京の仕業じゃとすると…奴はすでに単独犯ではない」


「え?…それってどういうこと?」


「事件が起きた大よその時間は昨夜の7時から8時の間…

 距離が離れたいろいろな場所で同時に事件が起きている以上…

 この全ての殺人事件に関連性があるとすれば複数犯を想像するに容易いわ…」



緋土京に協力者…。



「もしくは…霊に取り付かれた者が狂気化してやったのか…。

 そちらの可能性も捨て切れんな」


「可能性はありますが…全て近い時間で行われている点には疑問が残るわね…。

 とにかく今は何もかもが想像の域を出ないことばかり…。

 何か手がかりを掴まなければ!」


「亜子ねぇちゃん…」



確かにこのまま放って置いていいわけがないわね…。



ピンポーン

来客のチャイムが鳴った。



「?…こんな朝早くから誰だろう?」


優は急いで玄関に向かった。



「はーい」



ガラッ



「おはよう」


「流華…どうしたの?こんな時間に」



「いや…今朝のニュースを聞いて…

 茜さんたちは大丈夫なのか心配になって」


「それなら大丈夫…

 でも手がかりも掴めていない状態よ」



「もしこの一連の犯行が奴の手によるものであるならば…やはり放ってはおけないわ。

 一刻も早く捕まえなければ…犠牲者は増える一方だ!」


「うん。でも…どうすれば」



「奴は夜動き出す…そう考えて間違いないと思う。

 さすがに昼間のうちから目立つ行動はしないだろうし…」



夜か…。



「流華さんかの?」


「おはようございます。…早朝から押しかけてもうしわけありません…。

 心配になってしまって…」



「なぁに。心配はいらんよ…。

 私も亜子も、そんなに軟ではないのでな。

 にしても、えらいことになってきた…緋土京の仕業か否かは別にしても

 この事態はどうにかしないとな…安心して眠れんわ」


「すみません…」



「何を謝っておる。流華さんのせいではなかろう。

 一緒に頑張ろう。出来ることをな。

 まずは学校じゃ。おぬし等の本分を忘れちゃいけないぞ」


「うわっ!ほんとだ!もうこんな時間!

 流華!話は学校でしよ!急がないと遅刻しちゃう!」


ドタドタドタッ!

優は慌てて部屋に戻って、カバンを取りに行った。



「…」


茜をじっと見つめる流華。


「ん?」


「あ、いえ…」


茜と眼があうとすぐに眼をそらした。



ドタドタ!



「おまたっ!急ごう!」


「わっ!ゆ、優!?引っ張らないで!」



優は流華の腕を引っ張って走って出かけていった。



「…出来ればあの子等を巻き込まず解決したいものじゃな…」




―――

――



「はぁ…はぁ…!ふぅ!セーフ!」


「はっ…はっ……」



流華もやっぱ相当に鍛え込んでるんだな。

全力で走ってきたのに、全然余裕っぽいや。



「…茜さん……いいお祖母様ね」


「ん?どした?早く教室いこ!」



流華は何処か悲しそうな目をして言った。



「ん…そうね」




第3話 完   NEXT SIGN…

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