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第24話 暴君

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第24話 暴君



「はは…!」


「どうしたの?才雅君」



突然笑い出す聖才雅。



「今頃震えが…足が動かないですよ」


「あはは!君ともあろう者がねぇ。

 ま…よっぽどの相手だったんだ…仕方ないよ!」



「菅谷さんはいつも明るくて助かります。

 よし!動けそうだ!…行きましょう!」


「ほんとは嫌だけど、そうも言ってられないわよね!

 二人を助けに行きますか!」



二人は白壁に向かった。



―――

――



その頃白壁では…


不破まりあ、不破彰人、片桐亮、石動和馬、神楽由良葉の5人がバラバラに動き、

白壁の街の騒ぎを解決していた。


すでにいくつもの騒ぎを沈め、悪霊のほとんどが片付いたかに思えた。

被害は出たものの、それでも死者が出るような事態は知る限り出ていない。



「ふぅ…とりあえずここら一体は落ち着いたか…。

 おいガキー!そっちはどうよ!」


「ガキっていうな!こっちもあらかた片付いたよ!

 狂気化もしてないし、割と楽勝だったね!」


「二人ともありがとうな…俺はあんまりやることなかったぜ」



「友達に連絡して見ろよ。苦戦してるようなら助けに行こうぜ」


「そうだな」



片桐は不破まりあに電話した。



『もしもし』


「まりあか?こっちはあらかた片付いたんだが…そっちはどうだ?」



『こっちも大体おさまったわ。

 あとは警察に任せておくわね。彰人のほうも大丈夫だと思うし。

 なんとかなったわね。ありがとう』


「いや…礼を言われるほどの事はしてないさ…。

 それよりどうする?一度合流するか?」



『私と彰人は合流して、社ヶ崎森林公園に向かうわ!

 仲間が危機に陥っているかもしれないの!

 もしよければ、あなた達も合流してくれるとありがたいわ!』


「わかった。俺達も合流する!」



『じゃあ社ヶ崎森林公園で落ち合いましょう!

 じゃあね』



電話が切れた。



「社ヶ崎森林公園に向かうぞ」


「そこが何処かしらねぇけど、近いのか?」



「そんなに離れてはいないさ。

 走れば15分くらいだ!急ごう!」


「15分って…結構しんどいな…。はぁ」


「和馬にぃはもうほんとオッサンだね!」



「だ!誰がオッサンだって!?ああぁ!?」



和馬は由良葉を追って走っていった。



「はは…元気だな…」



各自合流するために動き出した。



―――

――


地下室…



「ただいま戻りました…」


「…やぁ"超越(Transcendence/トランセンデンス)"」



穏やかな表情の裏に怒りを隠した緋土京が出迎えた。



「"正義(Justice/ジャスティス)"と"破壊(Destruction/デストラクション)"が敗れました。

 怨霊を祓われ…完全なる無力化状態でした」


「白壁にも有能な能力者がいたようだね…。

 正義と破壊はやられたか。…まぁ雑魚はもういらないけどね」



「封呪の壷はこの通り回収してきたのでご安心を…」


「当たり前さ…。それを持ち帰らなかったらいくら君とてタダじゃ済まさないからね」



緋土京のプレッシャーに気圧される超越。



「まぁいいや。

 でもせっかく溜め込んだ怨霊たちを一気に掃除されたのは予想外だね。

 今使える駒は…"解剖(Dissection/ディセクション)"と"暴君(Tyrant/タイラント)"…

 そして君か」


「ええ。"恐怖(Fear/フィアー)"はまだ使えるほどに回復していませんからね」



「暴君に白壁を潰してもらうかな」


「!……そうですか」



緋土京は電話をかけた。



『もしもし』


「あ、暴君かい?少し頼みたいことがあるんだ。

 白壁を任せた二人がやられちゃってね。

 君に潰して欲しいんだ」



『いいんですね?ボス』


「気兼ねなく暴れてくれたまえ…」



緋土京は電話を切った。



「まぁこれであそこも神那の二の舞になる。くくく…あーっはっはっはっは!!」



―――

――



社ヶ崎交差点



「あれ…?あいつ等…」



片桐亮は何かに気づいた。

どうやら道路を挟んで向こう側に不破まりあ、彰人の姿を見つけたようだ。



「おーい!!」



片桐は大声と共に手を振った。



「あ。あそこ!片桐さんじゃない?姉貴」


「ほんとね!おーい!」



二組は合流した。



―――

――



「はじめまして。不破まりあよ。

 こっちは弟の彰人」


「ちーっす!」



「このオッサンは夏休みに一緒に修行した石動和馬」


「誰がオッサンだコラ!」



「で、こっちのちっこいのが神楽由良葉。

 同じく修行した仲間だ」


「ちびって言うな!」



和気藹々と打ち解ける二組。



「っと…こんな話をしてる場合じゃないの!

 聖先輩が…やばいのよ…!……!?」



まりあが深刻な顔で話していたら、徐々に驚きの表情をした。



「どうした?」


「あれ…」



まりあが指差す方を見ると、遠くで手を振っている二人が見えた。



「おい、あれもしかして」


「聖先輩と菅谷さんだわ!おーーーい!」



まりあは二人のほうに駆け出した。



「どうやら問題解決みてぇだな片桐」


「そうみたいだな」



―――

――



再び合流…。



「神谷さんが助けてくれたんだ」


「あの引きこもりの神谷さんが…出てきてくれたなんて…」



「うん。彰人君のおかげだね。

 ありがとう」


「彰人が!?何か言ったの?」


「俺がちょーっと脅したのが効いたみたいだね」



彰人はニヤニヤしながら言った。



「まぁ何にせよ、皆無事で全部解決してよかったよかった!

 さぁて帰りましょうぜ!」



菅谷が明るく言った。



「そうね。あとは警察がどうにかしてくれるわ。

 みんなもありがとう。この借りはきっと返すわ」



まりあは片桐たち3人にお礼を言った。



「いいってことよ!困った時はお互い様だ!

 んじゃ、俺等も家に帰るか」


「だね!でも…ばぁちゃん、電話でカンカンに怒ってたんでしょ?」



「あ、あぁ…そうだった。留守番ほったらかしにしてきたもんな…。

 カギもかけずに…。これも全部片桐のせいだぞ!」


「な!?なんでそうなるんだよ!」



みんな一斉に笑い出した。



「とにもかくにもありがとう。

 皆さんが困った時はいつでも連絡くださいね」


「おう!頼りにしてるよ!」



聖と片桐は握手をした。



「皆さんおそろいでよかった」



突如、聞きなれない女性のように美しい声がした。

一同一斉に声のほうを見ると、そこには女性のような美しい顔立ちで、スラッとした青年が立っていた。

長髪にスーツの恰好…スタイルは華奢で一見すると女性のようである。



「誰だ?誰かの知り合いか?」



片桐の問いに皆首を横に振った。



「はじめまして。僕は"暴君(Tyrant/タイラント)"…君たちの敵です」


『!』



一同は構えた。



「皆さんかなり疲弊してますね。

 あなたたちには悪いけど、潰させてもらいますね」



笑顔で暴君はそういった。



「どう…思う…和馬」


「…ハッタリじゃ…ねぇな。

 全然強そうな風体じゃない上霊気もほとんど感じない…。

 だが、それが逆に不気味だ。皆気を抜くなよ…!」



「あ!そうだ。場所変えますか?

 こんな道路付近で暴れるのもどうかと思うし…。

 そうだなぁ。近くの公園…」



ウーーーーウーー


パトカーが森林公園に向かって走っていった。



「あっちゃあ…あれじゃ無理っぽいね」


「ゴチャゴチャ言ってんなよ!男女!」



和馬がズカズカと暴君に歩み寄った。



「なんです?あなたが一番手?」


「俺で最後だ!馬鹿野郎ッ!」



ブンッ!!

至近距離からの全力パンチ!


バシッ!!



「!!!!!………馬鹿な…!!」


「すごいパンチだね」



人差し指。


人差し指1本で和馬の豪拳を受け止めている!



「ふふ…」



和馬は後ろに飛んで間合いをとった。



「馬鹿な…俺は霊力で筋力を増強した拳を放ったんだぞ…?

 同じように奴も強化して受け止めたにしたって…指一本で防げるレベルか!?

 あんな華奢な奴が…」


「人を見かけで判断するのはよくないよ?」



『!!』



一瞬にして和馬の背後に回った暴君。



「うらああ!!」



裏拳を放つ和馬!

だが、それもあっさり避けられた。



「僕は霊を倒せない…。そういう力が備わってないんだ。

 でも僕の中の"彼"は代わりに圧倒的な力をくれた…。

 それだけで十分過ぎるよ」


「はぁあああぁぁああッ!!!」



和馬は霊気を全開にした!



「すげぇ…あれが和馬の全力…ッ!

 バァさんより凄くないか…あれ?」


「修行前にもそれは確認済みだったけど…和馬にぃはやっぱ強いよ…!

 大丈夫!あんなねぇちゃんみたいな奴に負けないよ!」



ダッ!!

和馬は駆け出した。

全身に凄まじい霊気を纏っている!



「おお!!速くなったね!!」


「るせぇえッ!!」



凄まじいスピードでの攻防が繰り広げられている!


ハッキリ二人の動きを見れている人間はこの場にいなかった。



「君の知り合いはとんでもない人だね…。

 動きがまるで見えない…」


「だが…あの女男もそれに食らい付いている…。

 奴もとんでもないってことだ」



ギャラリーは息を飲んでいた。



「はぁ…はぁ……この!ちょこまかと…!」


「はぁ…はぁ………あなたもしつこいですね…」



お互い息を切らしながら、一時休憩といった感じで動きを止めた。



「ち…!

(この野郎…霊撃はない代わりに徹底した−の霊気で、内も外もガードしてやがる…!

 このまま戦っててもラチがあかねぇ…)」


「…。

(この方…かなり腕が立つ上戦い慣れている…。

 舐めてかかれば、先に倒れた方々と同じ目に合いますね…。

 ここはやはり全力で叩き潰す)」



暴君を包む霊気が禍々しく膨らみ始めた。



「…なんだ!?」


「あなたは強い…今まで相手にした誰よりも!

 敬意を表して全力でお相手します」



第24話 完   NEXT SIGN…

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