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第21話 助っ人到着

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第21話 助っ人到着



「はぁ…はぁッ……」



片桐亮は全力で走っていた。

向かう先は白凪神社…。


不破まりあからの助っ人要請…これに応えるべく、

戦力を集めるために向かっている。



現在は授業中なため、優たちは呼び出せない。

そこで考えたのが修行をつけてくれた白凪茜だ。


彼女ならなんとか力になってくれると信じて。



「見えた!」



ピンポン!ピンポン!!ピンポン!!!


片桐は呼び鈴を連打した。



「早く出てくれっ…!」



ガチャッ!



「っだよウッセェなッ!!勧誘はお断りだぞ!!…って…」


「な、なんでアンタがここに…」



出迎えたのは白凪茜ではなく、石動和馬だった。



「優の奴から聞いてるかわかんねぇけど…今こっちでヤバイ事態になってるらしくてな。

 俺等は助っ人で呼ばれたんだよ」


「"俺等"って…もしかして」


「片桐の兄ちゃんおひさッ!」



走って出てきたのは和馬と一緒についてきた神楽由良葉だ。



「よう。相変わらず元気そうだな。

 っと、のんびり話してる場合じゃなかったんだ!

 茜さんはいるか?…急ぎで頼みたい事があるんだ!」


「バァさんならいないぞ?

 ちなみに亜子さんも一緒に出て行った。

 俺等は留守番だ」




「ちッ…タイミング悪すぎだろっ……!

 でも…ある意味ラッキーか!二人とも俺についてきてくれ!」


「あぁ!?俺等は留守番だって言ったろ!」



「んなこと言ってる場合じゃないんだ!

 とにかくヤバイことなんだ!走りながら話すから!」


「…わかったよ。おめぇがそこまで焦るってのは相当な事態ってことだろうしな。

 おいガキ!留守番してろ!」



「いや、出来れば由良葉にも来て欲しいんだ!」


「俺だけじゃ不服なのか?」



「そうじゃない!単純に人手がいるんだ…霊を倒せる人手が」


「わかった…でも鍵はどうすっかな…。

 俺は預かってないんだが…」



モタモタ考え込む和馬。



「あぁもう!んなもんほっとけよ!

 どうせ盗るもんなんてないだろ!」


「お前…さりげなく凄い事いうな…。

 とりあえず急ぐか。走りながら電話する!」




三人は駆け出した。



―――

――



その頃…社ヶ崎森林公園では…



「お前、俺にまで喧嘩売ろうってのか…あぁ!?」


「いいねぇいいねぇ!!俺とまともにやりあえんのは、俺等の中にしかいねぇもんなぁ!!」



"正義(Justice/ジャスティス)"と"破壊(Destruction/デストラクション)"は

今にも殴り合いに入りそうな雰囲気で語っている。

お互いの距離も1mも離れていない。


一触即発の距離!



「てめぇは少し頭を冷やした方がいいな…破壊!」


「ごちゃごちゃゴタクはいいんだよッ!!

 男は黙って拳を振り上げりゃそれでいいんだ…よッ!!!」



先に手を出したのは破壊だった!

その豪腕を正義の顔面に向けて放った!



ブンッ!


正義は余裕でそれをかわすと、巨体の懐に入った。



「痺れやがれッ!!雷打ッ!!」



ドゴッ!!

バチバチッ!!!!



正義はがら空きの懐に、雷撃を纏った拳を放った!



「ぐは…!」



破壊は腹を押さえながら、後ずさりした。

どうやらそれなりのダメージがあったようだ。



「ちったぁ頭の血は下がったか、筋肉馬鹿ッ」


「あぁ…?ちょっとピリってした程度だろ?

 何粋がってんだてめぇ!ひっひ!」



何事もなかったようにお腹を叩いて挑発する破壊。



「人が手加減してりゃ図に乗りやがって…」


「てめぇの全力を見せてみろよ!正義ちゃん!!」



二人はそのまま激突!

激しい肉弾戦が始まった。




「…なんなんだ…あの二人…急に殴りあいになったぞ…!

 それにしても恐ろしい…なんて動きをしてやがる…!

 人間業じゃないな…。

 でも、これで二人とも潰しあえば生き延びれるかも!」



茂みの中から相変わらず様子を見ている菅谷浩介。


ガサッ…



「そんな所で傍観とは…いい趣味ですね」


「ぎゃああああああああ!!」



菅谷の背後に現れたのは全身ホコリまみれの聖才雅だった。

突然喋りかけられたのにビックリした菅谷は大声で叫んでしまった。



「あぁもう…!!バレたらどうするんですかッ!」


「お、驚かさないでくれよ…才雅君!」



どうやら戦いに夢中で今の叫び声は聞こえなかったようだ。

いまだに激しい戦いを繰り広げている。



「ああやって潰しあってくれれば楽なんですが…」


「うん…。とてもじゃないけど、あんな化け物相手に戦うなんて無謀だよ!

 いくら君でも勝ち目はないよ!」



「確かに…霊気も身体能力も彼等が上でしょう…。

 でも、彼等が冷静を取り戻し…何かしようというなら…その時は…!」


「やるって言うのかい!?

 冗談じゃないよ…そんなの俺はゴメンだよ!」



その時だった!


バキバキバキッ!!



細かい枝を折りながら、茂みの方に何かが飛んできた!



「!!」


「…これって……やばい…雰囲気?」



なんと飛んできたのは巨体の男ではなく、もう一人の男…正義だった。

聖と菅谷は完全に男と目があった。


そして男はおもむろに立ち上がると、二人を黙って見ている。



「菅谷さん…逃げて…!」


「に、逃げるって…」



聖と菅谷は構えるも、相手の威圧感に押され、じりじりと後退していた。

たとえ二人で相手をしても、勝機が薄いことを察した聖は菅谷に逃げるように指示したのだ。



「早くッ!!!」


「ひぃッ!!」



なかなか動かない菅谷に語気を強めて叫んだ。

これでようやく菅谷は駆け出した。



聖はすぐに道を塞ぐべく男の前に立ちふさがった。



「彼は追わせないぞ…」


「ハナから追う気はねぇよ。

 つうか、外に出てったらアイツにやられるだけだ…。

 つまり今の選択はハズレだったわけさ」



「…どうかな?

 彼をあまりなめないほうがいいよ…。あれでやる時はやる男だからね…」


「それにも限度はある…相手が俺達じゃ望みは薄い。

 薄いどころか、可能性なんて0だ」



男の言ってる事は正しかった。

それだけの戦力差…。

奇跡でも起きない限り……勝ち目はない。


それは菅谷だけでなく、聖にも言えることだった。



「で…おじさんは僕を殺すつもりですか…?」


「そのつもりはなかったんだがな…色々と面倒になりそうだ。

 お前には悪いが死んでもらうぜ?」



バチバチッ!


男の両手に電撃が走っている。



「怖いな…」


「安心しろ…なぶる趣味はない……一瞬で楽にしてやる」



ダッ!!


聖は敵に背を向け、全力で駆け出した!

茂みを抜け、もう一人の男…破壊が待つ場所へ走った!


もちろん意図して破壊のほうへ走っていくわけではなかった。

無我夢中…逃げることに意識が集中していた。



ザザッ!



茂みを抜けた!



「!…そんな…」



聖が見た光景は目を疑うものだった。


巨漢の男の足の下に菅谷の姿が横たわっている。



「才…雅……く………逃げ……る…ん…」


「まだ何かほざいてんのか?雑魚」



ググッ!

破壊は踏みつける足に体重をかけた!


メキメキと音を立てると同時に菅谷の叫び声が公園に響いた!



「あっはっはっは!!死ね死ね!!」



スッ



「…その汚い足をどけろ…」


「…あぁ?

(いつの間に間合いに入った…?)」



「聞こえなかったか?…その薄汚い足をどけろと言ったんだ」


「ふん…!いいだろう!」



破壊は踏みつけていた足を一瞬浮かすと、続いて勢い良く踏み込もうとした!



ドガッ!!!



「!!…」



男が菅谷を踏みつける前に、聖才雅の強烈な蹴りが男を吹き飛ばした。

相変わらず、何が起こったのかわからず、きょとんとする破壊。



「なるほど…怒りで強くなるタイプか」



茂みからゆっくり歩いてくる正義。


破壊も立ち上がった。



二人ともダメージはあるが、それを差し引いても聖に勝機は薄いと言える。



「才雅君…逃げるんだ……君一人でも…」


「大丈夫ですか…菅谷さん……。

 残念ですが逃げれません…あなたを置いては逃げれない。

 かといって担いで逃がしてくれる相手じゃない…。

 ならば…」



「ならばなんだ?…俺達を倒すとでも言うのか?」



ヒュッ!!



「そのつもりだッ!!」



一瞬で正義の背後に回りこみ、拳打を繰り出した。


パシッ!



「…あめぇよ。

 その程度の動きじゃ俺等には勝てない。

 あの筋肉馬鹿には通じても俺には無理だとわかったろ」



才雅の拳打はあっさり掴まれてしまった。


やはり一筋縄に行く相手ではない!



「この状態で…俺が雷撃を全力で放てば、それで終いだ…。

 最後の忠告だ…。抵抗をやめ……大人しく死ぬと言え。

 そうすれば苦しまず殺してやる」


「結局殺すのに変わりがないなら…好きにすればいいだろ!

 僕は何があっても悪には屈しない!…それが僕の正義だ!」



「それがお前の正義か……悪くない。

 俺はお前みたいな奴が好きだ…それだけに残念だぜ…」



聖は目を閉じた。



「死ね」



その時だった。



「ぎゃあああああああ!!!!」



けたたましい叫び声が響いた。

それは聖才雅の叫び声ではなかった。


正義は才雅を一本背負いで投げ飛ばすと、茂みを抜け広場に向かった。



「…!」



破壊の巨体が横たわっている。

そしてすぐその傍には見知らぬ猫背の男が、ボリボリと頭をかきながら突っ立っている。



「誰だ…てめぇ…。

 お前が破壊をやったのか…」


「"破壊(Destruction/デストラクション)"?…はて…誰ですか?

 あー…もしかしてこのでっかい人ですか?

 はて…デストラクション……名前じゃないですよね…確か破壊って意味でしたっけ?

 じゃあ呼び名かな?…あー確かにそのまんまですね…。

 納得です…」



一人でブツブツと小声で話す男。



「なめてんのか…てめぇ…ッ!!」


「いえ。別になめてませんとも」



男はボリボリと頭をかきながら、ぼーっとした顔で言った。

この男は一体…。



第21話 完   NEXT SIGN…

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