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第18話 苦い勝利

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第18話 苦い勝利



屋上にて人間化したシロと狂気化した秋月里子の死闘が繰り広げられていた。


鹿子流華は気絶…夕見司とポチは二人の激闘を傍観していた。



「あのシロが苦戦している…。

 やはりまともにやりあって勝てる相手じゃなさそうね…」


「あの女から流れ出てくる霊気…物凄い邪悪だよ…。

 妖魔の霊気に凄く似てる…」



―――

――



「ふん…なかなかやるではないか…

(想像以上じゃな…元のわらわならこのような屈辱…味わう事無く葬れるものを…)」


「ぐぐ…!!」



里子の体はすでに限界のようだ。

霊により無理やり酷使されているため、体の耐久力は限界を超えている。


シロに彼女をいたわる気持ちはなかった。

する余裕すらないと言える。


まさに互角。


一瞬の気の緩みが勝敗をきっする。



「ポチッ!!」


「ぬ!?」



シロがポチを呼んだ。


ひょこひょことシロの元へ駆け寄る。



「なんじゃ!口悪女め!」


「…煩いわ!…口惜しいがわらわ一人では奴を始末できないようじゃ」



「…まぁ見てればわかるよ。

 アイツ器の人間の事なんか気にも留めないで全力で暴れてるもん」


「わらわの水を浴びれば、お前の雷も効果が上がるじゃろう」



「なるほど…君の水属性の攻撃で水浸しにするわけね」


「そうだ。正直…先ほどからの戦いでかなり霊力を消耗した…。

 もう何発も撃てはせん…頼んだぞ」



シロはゆっくり前に出て行った。



「うー…でもいいのかな…下手すれば器の肉体…

 死ぬかもだよ?」


「構わん…奴は敵なのだろう」


「ダメよ!!」



司が大声で言った。



「司…この期に及んで何を甘いことを言っている?

 こやつ等はすでに何人もの命を奪っておるのだろう?」


「それでも…殺すのはだめよ!

 私達まで…こいつ等と同じようになってはダメ!」



「…」



シロは黙ったまま司に背を向け、再び里子のほうへ歩みを進めた。



「シロッ!」


「ええい!ガタガタ言うな!司!

 わかっておるわ!…ったく…おぬし等と過ごして…わらわも甘くなったものだ…。

 犬っころ!さっきの作戦はなしじゃ…。

 わらわが出来るところまでやってみるわ…お前は万が一の時…司を守ってやれ…」



「シロ…」


「…わかったよ。司はボクが守る」



ポチはひょこひょこと司の元に戻っていった。



「頼んだよッ!はぁッ!!」



シロの全力の巨大水弾による不意打ち!


だがそれを素早く上空へ跳び、かわす里子。



「ラスト一発じゃッ!!!はぁあああッ!!!!」



さらに上空に向けてシロは巨大水弾を放った。



「空じゃ避けれんじゃろ!!終わってしまえ!!」



ドッガーーン!!

シロの言うとおり、流石の里子でも上空では身動きは取れなかった!

ガードするようなモーションはあったが、あの一瞬では間に合ったかどうか…。



ドサッ!

受身も取らずに上空から地面に激突する里子。



「終わったか……。いや…かすかに邪悪な霊気を感じるな…。

 司!」


「ええ…。ご苦労様シロちゃん…あとは私がやるわ」



どうやらもう虫の息といった感じだろうか。

肉体も相当なダメージを受けているようだ。



「今楽にしてあげますわ…!」



司は倒れる里子の体に手をかざし、霊気を集中し始めた。


その瞬間だった。



「!」



突如突風に吹き飛ばされるように司の体が後ろに吹き飛ばされた!

勢い良く柵に激突する司!



「司!?…一体何事……ぬ!?」



シロは一瞬、吹き飛ばされる司へ視線を送った後、里子の方へ視線を戻した。

するとどうだろう。


今の今まで横たわっていた里子の姿がないではないか。



「シロッ!あそこみてっ!!」



ポチの指差す方向を見ると、柵の上に立つ一人の青年がいた。

両腕には里子の姿があった。



「く…一体…あなたは何者なの…?」



司は背中を押さえながらシロの隣にフラフラと質問しながら歩いてきた。



「答える義務はありません…素敵なお嬢様」


「その子をどうする気なの…!?」



「治療をします…死なせるわけにはいかないので」


「つまりあなたも…その子の仲間ってわけ…」



「そうなりますね…」


「だったら逃がすわけには行きませんわね」



司は鞭を拾って構えた。



「ふふ…やる気満々といった表情ですね…。

 でも強がりは辞めたほうがいい…見たところ、あなた方はすでに戦う力が残ってないようだ。

 大人しく見逃した方が身のためですよ?」


「司…悔しいがその男の言う通りじゃ…。

 あの気を感じておるだろう…あの女を上回る強さじゃ…」


「…判ってるわよ……恐らく万全であっても勝てるかどうか…。

 でもそんな事を言ってられない…ここで逃がせば、また犠牲者が出るかもしれないのよ!」



ハムッ!



「…ポチ…何してるの…!」



ポチは司の右足首に噛み付いている。



「らめ…いかせないよ!」


「…ポチ…」



「君のペットの方が状況をよくわかっているようだ。

 大人しく言う事を聞いたほうがいい…私としても、強い君たちを倒したいからね…。

 もっともっと強くなってくれ…」



フワッ


男の姿が消えた。



「き、消えた!?」


「それでは…また会おうお嬢さん…」



『!!』



なんと男は一瞬にして司の横に姿を現した!

全員その動きを目で追う事はできなかった。


一体何をしたのか…。



「そうだ…私の名は"超越(Transcendence/トランセンデンス)"」


「トランセンデンス…」



「ではまた…」



そう言うと男は再び姿を消した。



「神出鬼没……?

 一体なんなの…あの男…。

 そもそもどうやってここに現れたの…」


「わからぬが…とりあえず命が助かった……それだけで十分じゃ…」



ポンッ!

シロはアザラシのぬいぐるみに姿を変えた。



「ふぅ…疲れたわ」


「…そうね…」



優たちは勝利した。

いや…とてもじゃないが誰一人としてそんな気持ちにはなれなかった。

むしろ、残ったのは敗北感。


敵の強大さ…、自分達の未熟さ…。



優達は司達と合流した。



―――

――



屋上―――

――



「そんな事が…」



優は司に屋上であった出来事を聞いた。



「みすみす手がかりを逃してしまったか…」


「ごめんなさい…私達がもっと強ければ…」



「ううん。司のせいじゃないよ。

 むしろ流華を助けてくれてありがとう…」


「うん…」



ここに来て更なる強敵の存在か…。

私達だけで本当に勝てるのかな……。



「…あんな化け物みたいな奴等があと何人いるのかしらね。

 早いとこ戦力が欲しいわ」


「もうここまで来たら、あなた達だけの話じゃないですわ…。

 私達も戦う!」


「うんうん!何が起きてるのか…まだよくわかんないけど…。

 俺達も何か出来るならやるよ!な!大樹」


「おう!俺達は共に修行した仲間だしな!」



夕見司、岡島大樹、日下部新二…三人とも真面目な目をしている。



「止めても無駄なようね…」


「優…心配しないで…。

 皆には無茶をさせるつもりはないわ。

 無理だと判断すれば、引き際はわきまえるつもり。

 あくまで仲間として…気持ちを共有したい…」



「皆…ありがとう」



優は司達に知っていること全てを話した。



―――

――



「そう…そんな事態になってるの…」


「とんでもない奴等だな…」


「早く何とかしなければ、この街も同じ目に…」



三人は動揺を隠せないでいるようだ。

無理もない…。



「そういえば、この犬のぬいぐるみ…何?」



さっきから気にはなってたけど…。

また精霊をとっつかまえてきたのか…。



「この子は土日でゲットしてきたの。

 私のサイトにそれっぽい垂れ込みがあってね。

 眉唾だったけど…行ってみたらビンゴッ!

 この子は協力的で然程苦労はなかったわ…ね?ポチ」


「ポチって言うな!…うう…。

 ボクは元々雷兎(かみなりうさぎ)の精霊だったのに…。

 こんな犬のぬいぐるみに封印されて……名前だって、ボウシがつけてくれた"ライト"がよかったのに!」



「ボウシ…、ああ!瀬那先輩!……ってそう言えば瀬那先輩と一の姿がないわね。

 どうしたの?」


「みのりんと一はちょっと休養中!…色々あったからね」



そうなんだ…。

しかし、ライトってのは何処から来たのかしら…。


あ…雷兎…"らい"と"と"で…ライトか…はは…。

まぁポチよりはそっちの方がいいのは確かかも…。




「うう…」


「あ!天城君目が覚めた?」



「僕は一体……そういえば…お祖父さんに」


「無事でよかった…」



優は勇の手を握って言った。



「あ…う…!」



照れる勇。



「…まったく…起きて早々いちゃつくのはやめて欲しいものね……」


「流華!目が覚めたの!?」



横たわったまま、薄目を開けて皮肉を言う流華。



「さっきからずっと起きてたわ…。

 しんどいから聞いてただけよ……」


「そう…でも流華も無事でよかったわ…」



「お互いに…ね」



流華はクスっと笑みを浮かべて言った。



「さてと…皆起きたことだし…帰りますかっ!」



皆一斉に頷いた。


こうして学校での激闘は終わった。

しかし、戦いはまだ始まったばかり…。



―――

――



地下室…



「やぁ"超越(Transcendence/トランセンデンス)"…ご苦労だったね」


「いえ…たまたま近くにいたから助けたまでです」



「そう…。まぁいいや、で…まだ使えそう?彼女」


「いえ…霊体は再び怨霊を入れてやればいいですが…

 器のほうは相当負担が掛かっています…正直戦闘は厳しいと思います」



「そうか。まぁいいよ。

 それよりも次の予定地を変更だ」


「聖ヶ丘は後に回す…と?」



「ああ。次は聖ヶ丘…って思ってたけど、北の白壁にどうやら面白そうな連中がいるみたいなんだ。

 ちょっと遊んでみたくなってね…二人ほど差し向けておいた」


「…そうですか」



また…戦いの狼煙が上がろうとしていた。


第18話 完   NEXT SIGN…

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