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第13話 不破まりあ

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第13話 不破まりあ



「おいおい…朝っぱらから勘弁しろよ…

(この制服…聖ヶ丘北の白壁高校か…なんだってこんな場所にいるんだ。

 それに目つきが尋常じゃない…薬でもやってるのか…?)」



片桐亮の前方を塞ぐ様に白壁高校の男子生徒6人が異様な雰囲気で身構えている。



「ぐぐぐ…殺す…ぶっ殺すぞコラァ!!!」


「俺はお前らに殺される理由がない…。

 これ以上絡むならこっちも容赦しねぇぞコラ」



片桐は威嚇した。

が、全く効果がないようだ。


ジリジリと片桐に迫ってくる。



「はぁ…。ついてないぜ……ん?

(なんだ…?この妙な感覚…)」



片桐は少し下がって、眼を凝らして彼等を見つめた。



「…マジかよ…」



禍々しい濁った霊気を見て取れた。



「こいつ等霊にとり憑かれてやがんのか!?

 そいやぁ…白凪のバァさんが言ってたな…俺は霊媒体質だって…。

 霊がよって来たのは…そのせいかよ!」


「うがああ!!」



一人の生徒が片桐に襲い掛かった!



「!…にゃろッ!!」



片桐はその長身から前蹴り繰り出した。


バシッ!


見事にヒットし、吹き飛ばした。

しかし、片桐は霊撃が放てない。

出来るのは-の性質の霊気を使う程度。


故に今の蹴りもタダの蹴りである。



「わかったろ…怪我したくなかったら、もうやめとけ!」


「るせえええええええ!!」



今度は他の5名が同時に片桐に襲い掛かる!



「!!」



流石にこの人数で襲い掛かられては片桐もどうしようもなかった。

一気に覆いかぶさる5人。



「痛ッ!誰だ噛みやがったの!って…何処触ってやがる!!

 やめろ!どけっ!!」



片桐は全力で暴れるものの、流石に男5人に覆いかぶされてはなす術もない。



「やっと見つけたよ…姉貴」


「どいて彰人(アキト)



突如現れた白壁高校の制服を着た二人組み。

白髪の女子生徒と、男子生徒だ。


姉貴と呼ばれた女子生徒は一歩前に出た。



「はぁぁ…!!」



そして気合を込めつつ右足を振りかぶった。

目の前には重なり合う男達が居る。



「うりゃあああ!!」



彼女は思い切りそれを蹴散らした。

唸りを上げる豪蹴!


勢い良く男達を引っぺがした。



「!…あんた…」


「痛つつ……一体今度はなんだ……ん?」



片桐は尻餅をついたまま目の前の少女と顔があった。

すると驚きの表情を浮かべたまま固まってしまった。



「久しぶりね…亮」


「氷女…」



ドガッ!!

亮が氷女(ひめ)と口にするや否や少女の蹴りが跳んできた。



「その名で呼ぶんじゃないよ!」


「まぁまぁ姉貴…懐かしの再会を楽しんでるところ悪いけど…

 まだ終わりじゃないみたい」



先ほど蹴散らした男達が起き上がってきた。



「…やはりこいつ等も何かに"とり憑かれて"いるようね」


「!!…不破…なんでそれを!?」



「話は後よ…アキト!やるわよ!」


「OK姉貴」



姉の不破まりあと、その弟アキトは片桐を尻目に、周りの男達へ次々と攻撃を浴びせていく。

不思議な事に、蹴りや拳打の一打により男達はいとも簡単に沈黙していく。



「どうなってやがる…いくら馬鹿力の氷女とはいえ…一撃で倒しただと!?」



ガツン!!


「ぐあぁッ…!!」



まりあのカカト落しが片桐の頭に落ちた。



「誰が馬鹿力じゃ!もっぺん言ってみろ!あぁぁ!?」


「な、なんでもないです…(こぇえ……)」



「ふぅ…片付いたね。

 よし…連れて帰るわよアキト!」


「って言っても流石に6人も運べないって…」



アキトがそう言うやいなや、片手に三人を掴んで引きずり出した。



「ん?平気だけど?」


「ちょいちょいちょいー!」



―――

――


結局片桐が手伝う事に。

二人をおぶる形になった。


「ったく…なんで俺まで付き合わされてんだ…。

 こりゃ完全に遅刻だぜ…」


「別にアンタの手を借りなくても引きずっていけばよかったのに」



結局今も2人引きずってはいるが…先ほどの異様な光景よりは幾分マシではある。



「…お前…さっき言ってたよな…何かが取り憑いているって…」


「…」



まりあは黙ってしまった。



「…その…なんだ…。

 こんな事…非常識かもしれないかもだけどよ…まりあ…お前"見える"のか?」


「…あんたと一緒。私もアキトも見えるし…倒せる」



「…そうか…。もしかして、中学時代からなのか?」


「いいえ。高校である人と出会い…それから身に付いた力よ。

 亮…あんたは?」




「俺はつい最近さ。ちょいとゴタゴタに巻き込まれてから…霊を引き寄せる体質になっちまった。

 もっとも俺はお前たちと違って倒す力までは持ってないがな」


「亮…一つ忠告しておくわ…。

 今朝のニュース見たかわからないけど…近いうちにこの聖ヶ丘も戦地になる」



「今朝のニュース…あれは酷い有様だったな…。

 ここもああなるっていうのか?」


「何が原因かはわからない…でも強力な怨霊が蠢いているのは事実…。

 心が弱っている…隙を見せた者はとりつかれ…さっきのように見境無しに人を襲うようになるわ。

 そうなれば結果はニュースの通り…ああなる…。

 今朝私達の街に大量の怨霊が沸いて出た…私は仲間と共にそれを退治してたのだけど、

 少し逃がしちゃってね。それを追ってここまで来たってわけ。

 人に取り憑く前に発見出来てたから白壁は多分大丈夫だと思う」



「白壁に出てたってことは、ようするに近くの聖ヶ丘も危ない…そういう意味で戦場になると?」


「ええ。私達が退治したもので全てならいいのだけれど…。

 違っていれば戦場になる可能性も出てくる。

 私達も出来る限り力を貸したいけど…まずは自分達の街をどうにかしなければいけないの…」



「わかってるさ…。

 それにこっちは心配するな…心強い仲間がいるのはお前だけじゃないんだ…。

 あいつ等なら…白凪優なら…きっとどうにかしてくれる」



30分そこそこして、ようやく白壁の区域に入った。



「もう少しで学校につく…アキト踏ん張れ」


「俺は姉貴と違ってそこまで馬鹿力じゃないんだから勘弁してほしいよ…」


「お前も大変だな…怖い姉ちゃん持つと…」



ボソッと片桐は呟いた。

と同時に蹴りが跳んできた。



「……お前、ますます凶暴になったんじゃねぇか…はは…」


「おだまり!お望みならさらにボコボコにしてあげるけど?」



「い、いや…遠慮しとく……ん?おい、向こうからくる生徒…ありゃお前の知り合いか?」


「え?…あ!聖先輩…おーい!」



向こうからやってくるいかにも爽やかそうな高校生が笑顔で走ってくる。



「まりあ君、アキト君おかえり!

 遅かったから心配したよ…ん?こちらは?」


「こいつは私の旧友…片桐亮よ」


「片桐亮だ。こいつ等お宅の生徒だろ?…よいしょっと…はぁ。

 重かった…」



片桐はおぶさっていた二人の生徒を下ろして言った。



「これはすまない…君には大変迷惑をかけたね。

 すまなかった…そして彼等を運んでくれてありがとう」



聖は深々と頭を下げた。



「お、おい…俺は別にだな…」


「僕は(ひじり) 才雅(さいが)…白壁高校3年で生徒会長をやっている。

 君の学校は聖ヶ丘高校みたいだね…遅刻の件は僕の方からどうにかしてみるつもりだ」



「いいよ。別に皆勤賞狙ってるわけでもないし、前々からサボる時もあったしな。

 俺が遅れて登校しても誰もなんとも思わないさ」


「…そうか。わかった。それじゃあ僕等はもう学校に戻るよ。

 行こう。まりあ君、アキト君」


「じゃあ…そういうわけだから…亮…。

 気をつけるのよ」


「じゃあまたね!片桐さん」



「ああ。お前らも気をつけろよ」



片桐は3人と別れた。



「さてと…俺はどうするかな…。

 学校をサボりたい所だけど、妙な話を聞いちまったしな…。

 白凪優に会いに行くか……。と…なると学校か…」



片桐は渋々学校へ向かった。



―――

――



聖ヶ丘高校1-B―――

――



学校では今朝のニュースの話題でもちきりだった。

当然といえば当然…まさに前代未聞の事件だからだ。


1限目は校長先生の話と、教師による会議が行われるため、自習になっていた。



「優さん…今朝のニュース…」


「うん…ついに緋土京が本格的に動き出したようなの…」


「今現地には茜さんと亜子さんが向かってくれてるそうよ」



優は勇と流華と三人で話していた。



「彼はきっとこれで終わりじゃないんでしょうね…」


「恐らく場所を移動して…同じことの繰り返しを行うはずよ。

 だからこそ、なんとしても阻止しなければ!…でも…一体次は何処に…」


「案外私達の街かもしれないわよ…」



流華が言った。



「どうしてですか?鹿子さん」


「被害があった神那は久木の都心部でしょ?

 私達の住む聖ヶ丘は都心部とはまだ離れているわよ?」


「確かにそうね…まぁちょっとした勘よ。

 気にしないで。茜さん達が何か成果を持ち帰ってくれるといいんだけど…」



手がかり…次に繋がる一歩…。



「はっ!…そうだ!流華!」


「どうしたの?」



「聖ヶ丘病院に行ってみない!?あの男の子に会いに!」


「男の子ですか?一体…」


「アイツか…。かなりの重症で意識はまだ戻ってなかったけど2日経ってるわけだものね…。

 可能性は限りなく0に近いでしょうけど…何も出来ないでいるよりは賭けてみてもいいかも」



優は簡単に今日までの出来事を勇に話した。



「なるほど…それなら僕も行く価値はあると思います!」


「決まりね!学校終わりですぐに向かいましょう!」



優たちを見つめる視線…。

脅威はすぐそばに迫りつつあった。



第13話 完   NEXT SIGN…

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