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第10話 新たな敵

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第10話 新たな敵



「さてと…お姉ちゃん、ちょっと出かけてくるね!」


「え?何処に行くの?」



朝食を平らげ、着替えを済ませた優はリビングを通りがかる際に亜子に伝えた。



「ちょっと病院にね!二人のお見舞い!」



流華と須藤先輩どうしてるかな…。

怪我事態は大したものじゃないと思うけど…。



優は聖ヶ丘病院へ向かった。



―――

――



その頃…病院では…。



「まったくお前は…毎度毎度心配かけさせやがって!」


「うるせぇな…俺は別に何でもないっての…

 巻き込まれただけだって言ってんだろが!」



須藤彰とその親父が大声で揉めていた。



「あの、お二人とも病室では静かにしてくださいね」


『す、すみません』



親子揃って頭を下げた。



「とにかく俺は自分から絡んだりしてねぇっての…。

 怪我も大したことないし、さっさと帰るぞ親父」


「まったくおめぇって奴は…俺の若い頃にそっくりだ」



二人は病室をあとにした。



「ん?…あいつ…」



須藤は売店にいる流華を発見したようだ。



「…アンパン…ジャムパン…むぅ…」


「よう」



須藤の呼びかけにビクッ!とする流華だった。



「な、何してんだ?」


「べ、別に…朝食を選んでただけよ!」



ボロボロの衣服…。

どうやら流華も大した怪我ではなく、このまま退院するようだ。



「…あんた…迎えとかは?」


「…。いないわ。

 私はここに一人で引っ越してきたの」



須藤は少し気まずい事を言ったな…と言葉に詰まった。



「おいアキラー!なんだよナンパか!?

 俺はもう帰るぞ!」


「ち、ちがわいッ!勝手に帰れ!糞親父!」



須藤の父はそのまま帰っていった。



「お父さん?」


「ま、まぁな…。でさ…ついでだし色々聞きたいんだけどいいかな?」



「…。そうね…。

 いいわ。裏の公園で話しましょう」



二人は病院を出た。



「あ!…優じゃないか?あれ」


「…ほんとだ」



優が向こうの方から走ってくる。



「!…あれ!?流華と須藤先輩じゃん!おーーーい!」



優は二人に向けて手を振った。


それを見て二人も手を振り替えした。



「はぁ…はぁ…!ういっす!

 もう二人とも体は大丈夫なの?」


「あなたのおかげで事無く終えたわ。ありがとう」


「俺は元々そんな怪我とかじゃないのに運ばれたからな…。

 今丁度この子に色々聞こうと思ってたところなんだ」



三人は裏の公園へ移動した。



―――

――



「なるほど…そんな事態になってんのかよ…」


「ごめんなさい…巻き込んでしまってはタダで済まない…

 そう思って皆には黙ってるの」



優は須藤に謝った。



「いや、いいんだ。

 俺や片桐達じゃお前の考えるとおり戦力にはならないだろうさ。

 実際問題この有様だしな…」


「そう言った意味では私も同じよ…。

 緋土京が相手じゃないというのに…一人で奴に勝てなかった」



落ち込む二人。



「ちょ…!そんな暗くならないでよ!

 皆の力あっての勝利だったんだからさ!」



優は慌ててフォローした。



「そうだ…優はアイツを倒したんだよね!?

 一体何をしたのよ」



はむっ!

アンパンをぱくつきながら質問する流華。



「私にもよくわからないんだけど…流華が目の前でやられて…

 それから急に力があふれ出したっていうか…。

 ごめん…実はあんまりよく覚えてないんだ」



あの時のような感覚は今はない…。

感情の高ぶりによる一時的な作用だったのかな…。



「そう…。

 でも私達が組めば、そこそこやれることはわかったわ。

 あと、奴の口ぶりからして緋土京はすでに仲間が複数いたと考えたほうがいいわね。

 例の色んな場所での同時殺人…あれから察するにまだ仲間はいる」


「今朝ね、お祖母ちゃんが警察の人と協力して緋土京を捜査するって出かけたそうよ」


「警察!?…警察が太刀打ちできる相手とは思えないが…」



「須藤さんだったかしら?…あなたの言うとおりだと思うわ。

 警察でどうこう出来る相手じゃない…むしろ危険に晒すだけだと思うわ。

 何より、どうやって協力を求めるというの?」


「警部さんはお母さんと昔からの馴染みで、霊がらみの事件に昔から関わる機会が多かったの。

 だからそういった意味では一番の理解者でもあるの。

 それに危険は百も承知しているって…だからあくまで捜査の足として

 お祖母ちゃんのサポートに徹すると思うわ」



心配なのは、お祖母ちゃんの事もそうだ。

口では大丈夫って言ってたし、私自身お祖母ちゃんの実力はよくわかってる。


だから心配ないとは思うけど…何処かしらで不安というか…。



「とりあえず、今朝のニュースで殺人のニュースは出てなかった。

 ま、犯人逮捕の件も出てなかったけど」


「そういえば私達の事は?何か出てた?」



「いえ、出てないわ。

 あなたが言った警部さんが上手く裏で動いてくれてるんでしょ?

 私達に事情聴取の話もきてないし」


「…そういえばそうだな。

 てか、アイツもここに入院してんだろ?」



三人ともここに運ばれたのは間違いないから…そうだと思う。



「さっき受け付けで確認したけど、かなりの重症らしいわ。

 命に別状はないそうだけど…詳しくは教えてもらえなかったわ」


「そうか…。思ったんだが、アイツが倒されて…仲間である緋土だっけ?

 そいつがここに訪れるとはかないのかな?」



!…可能性はあるかもしれないわね。



「緋土京の性格からして、それはないと思うわ…。

 使えるコマならいざ知らず…使い物にならないものに執着するような奴ではないと思うけど」


「そうなの?」



私は緋土京についてよく知らない。

でも確かにあの冷徹な眼差しを見る限り…そんな印象を受けるのは仕方ないかもしれない。



「ふぅ…ご馳走様!」



アンパンを食べ終わった流華はおもむろに立ち上がった。



「私は一度帰るわ。

 いつまでもこんな恰好で居たくないし」


「そだよね、じゃあかえろっか」


「だな」



流華が振り返って優を見た。



「来てくれて…ありがとう」



そう言ってニコッと笑った。

優も暖かい気持ちになった。


三人は病院をあとにした。




―――

――


その頃…茜たちは。



茜、シン警部、部下2名の4人にて街中で聞き込みをしていた。



「ダメですなぁ…目撃者はいないようです」


「範囲を広げますか…

(まぁ…予想の範囲内…首謀者が明るい内から街中を堂々と歩くとも思えないしの…。

 聞き込みなら夜のほうがいいかもしれん…)」



4人はパトカーに乗り込み、捜査範囲を広げることに…。



少し走り出した所で茜は妙な気配を感じ、パトカーを止めさせた。



「どうしたんですか?」


「いえ…ちょっと強い霊気を感じたような気がしましてな…

(どこじゃ…?………ふむ…あの雑居ビル…怪しいのう)」



茜は一人歩き出した。


それについていく3人。



「ここは…いかにもな廃ビルじゃな」



目の前に立つ古びたビルは4階建てだ。

元々は何かしらの会社なり店があったのか、各階に看板痕がある。



「茜さん…ここから何か感じるんですか?」


「いや…今は何も感じない…。

 周到に気配を消しているようじゃな…じゃが、あたって見る価値はあると思うぞぃ」



茜はニコッと笑った。



「じゃあ行くかの」



茜を先頭にビルに入っていく。


当然だが、人の気配はない。



階段を上り2階に到着。


扉のドアノブを回してみるも、カギが掛かっているようだ。



「ふむ…ここは違うようじゃ」



このペースで3階も確認。

しかし同様にカギは掛かっている。



「むー気のせいだったかの…?」



茜は最後の希望を胸に4階へ向かった。



ガチャ…


「!…回った…」


「茜さん…我々が先行しましょう」



「いや…大丈夫…。

 皆は自分の身を第一に考えてくれ」



ギィ…。


ドアを開いた。

辺りを見渡す…どうやらフロア一体が空になっているようだ。


まだフロア外に体がある状態で全てを見渡してはいないが、そのような印象を受けた。



「入りたまえ」



『!!』



突然の一声に4人に一気に緊張が高まった。

刑事たちは銃を構える。



「警戒しなくていい…さぁ入りたまえ」



4人はゆっくりとフロアに足を踏み入れた。



「ようこそ…よくここに居るとわかったね」


『動くな!』



三人の刑事は一斉に男に銃を向けた。


距離は10mほどだろうか。

男は背広を着た20代〜30代…身長は170cmそこそこ…痩せ型だ。


緋土京ではない。



「いきなり部屋に入ってくるや否や、銃を突き付けるってどういう事?

 僕が何かしたかい?」


「無許可で建物に入っている奴がいう台詞じゃないなぁ…とにかく動くな…!」



「御婆さん…彼等に言ってくれないか?

 君たちは無力…余計な真似はやめろ……と」



この状況下で余裕の笑みを浮かべる辺り、自分の実力に相当な自信があると見受けられる。



「八坂警部…部下の方を連れて部屋を出てくれませんかの…」


「あなたまで何を言うんですか…!シンさん!

 ここは引き下がるべきじゃないですよ!」



若い刑事がそう言った瞬間だった。


男はわずかに腕を振った。



バシュッ!


「え…」



怒鳴った刑事の右肩がスパッと…まるで鋭利な刃物で切られたかのような傷が出来た!

かろうじて腕は繋がっているが、かなり深い傷が出来て、血も大量に噴出している。



「うわぁあああああああああああああ!!!」


「佐藤ッ!!!く…貴様ぁあッ!!」



泣き叫ぶ佐藤刑事、それに激昂する若い刑事!



「落ち着け宮本!!!今は佐藤の命を優先しろ!」


「…!!……はい!」



宮本刑事は急いで自分のスーツで止血をはかる。



「急いで連れて行くんだね…出て行く口実を作ってやったんだ…ありがたいと思ってね」



ニヤニヤしながら男は言った。

宮本刑事はキッっと睨んで佐藤刑事を連れて部屋をあとにした。



「八坂警部…早速すまんの……

 治療をしてやりたい所じゃが…今隙を見せるわけにはいかんのでな…」


「いえ…全ては覚悟の上です……。

 すみません…あなたにお任せする以外にないようだ…」



八坂警部は手が震えていた。

男に…そして自分に対して怒りに打ち震えていたのだろう。



八坂警部もゆっくりフロアを後にした。



「さて、邪魔も消えたことだし…話を始めようよ」


「話…?私からすることは何もないよ…お前が一方的に喋ればそれでいい」



「ふーん……やらせてみせてよ。まぁやれればの話だけどね」


「ふふふ…いたぶりがいがありそうじゃわ…」



第10話 完   NEXT SIGN…

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