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第1話 転校生

SIGN 二章 - SeVeN's DoA -


第1話 転校生



「いってきまぁっす!」



9月1日(火)―――


今日から新学期。

夏休みは修行に明け暮れる日々であっという間だったなぁ。



私の名前は白凪優。

地元の聖ヶ丘高校に通う1年生。


私には他の人にはない特別な"力"が備わっている。


一般的に言う"霊感"というものと…

さらに特殊な能力"霊による死を告げる刻印"を見ることの出来る眼…"霊王眼"。


霊王眼は単に"死を告げる刻印"を見るだけでなく他にも特殊な能力を秘めているの。

まぁ私には、他の4つの能力は100%の力を引き出せないみたいだけどね。



私の家系は代々霊と深く関わりあいがあったらしくて、こんな能力を持っているのだけれど…

どうやら一世代に一人しか受け継がないらしい。


私には亜子姉ちゃんがいるけど、この能力は持ってない。



ちなみに私の家と同様に霊と深く係わりのある家が日本各地に存在するの。


私達の住む日本は5つの土地で成り立っていて…

東部の久木、西部の飛鳥、中央部の暁に北部、奥里…最後に南部の天玖の5つ。


私達の住む地域は東部の久木になるわ。



ちなみに、


東部・久木は白凪家。

西部・飛鳥は緋土家。

中央部・暁は草馬家。

北部・奥里は九鬼家。

南部・天玖は相良家…


がそれぞれその土地の守人として今まで霊による災厄から代々守り続けてきたわけ。



聞く話によれば、この5家全部に霊王眼が伝わっていて、

霊王眼に備わっている5つの能力のうち、各家ごと特化する能力が違うんだって。



私の家系は"霊による死を告げる刻印"を見る能力に特化してるそうよ。

だから他の4つの能力は本来の3割程度しか引き出せないんだって。



「やぁねえ…新学期早々天気悪いなんて…これ降ってくるんじゃないでしょうね?」



優は曇り空を見ながら、急ぎ足で学校へ向かった。




「あら!巫女様おはよう!今日から新学期?頑張ってね!」



商店街のオバチャンだ。

いい加減"巫女様"と呼ぶのはやめて欲しいのになぁ。


照れるったらありゃしない…。



私は白凪神社の次女…

一度巫女服で神社の手伝いをしてからというものの…知ってる人は私を巫女様と茶化すのよね…。



まぁ…可愛がってもらってるから何も言えないわね…。



「よしっと…!今日も始業30分前!7時58分!」



この時間じゃ天城君はもう教室に向かったかな?


グラウンドを見ても人影はない。

まぁ今日は始業式だし…初めからやってなかったのかもね。



優は教室へ向かった。



―――聖ヶ丘高校1-B

――



「おはよー!」



久々の教室。

皆も元気そうだ。



「白凪さんおはようございます!」


「天城君おはよー!今日は朝の素振りはお休み?」



彼は天城勇。

同じクラスで、私の能力を知る数少ない人間の一人。


彼も霊感があり、霊を見ることが出来る。

この夏休みは共に修行した仲間でもある。



彼は家が元々剣術道場をやっていて、天城流の剣術の継承者でもある。

日課の素振りも、流石に今日はお休みなのかな。



「今日はちょっと、帰ってからにしようと思いまして」



「優ー!そろそろ体育館に行くわよー!」



クラスメイトが呼んでいる。

そうだ。これから始業式だった。


それが終われば今日は終了!


雨も降ってきそうだし…今日は早めに帰りたいわ。




―――

――


体育館・始業式――



「…であるからして、本校の生徒らしく…」



あー…校長の話は毎度ながら長いわね…。

早く終わらないかしら。



それから10分…延々と校長は話続けた。

生徒も皆だれてしまっている。



「とにかく!健やかに明るく!新学期も頑張りましょう!」



終わったぁ…。


長すぎでしょ…。



生徒達はやっと解放され、安堵のため息をつきながら各自教室へ戻っていった。



―――

――



「そういえば聞いた?うちのクラスに一人転校生が来るらしいわよ!」


「え!?そうなの!?」



教室に戻った優はクラスメイトから情報を得た。


転校生…男の子かな…女の子かな?



ガラッ!


担任の杉浦珠子先生だ。



「はい!皆席についてー!」



先生の一言で皆急いで自分の席についた。



「皆、まずは元気に出てこれて何よりよ!

 夏休みは楽しめた?」


『はーい!』



楽しめた………。


んー…どうなんだろ私。



「今日は皆に新しい仲間を紹介するわ!

 さ、入ってー!」



『おぉー!』



教室がざわめいた。



「!!」



入ってきたのは見た事のある女の子だった。



「皆さん始めまして…鹿子流華(かのこるか)…と言います。

 仲良くしてくださいね」



夏祭りの日に見た少女だ…。

まさか同学年で…転校生だったとは。


近いうちに会いましょう…ってこういう意味だったのか…。



流華は優を見てニコっと微笑みかけた。



「んじゃ皆よろしくしてあげてな!

 席はそうだな…とりあえず一番後ろでいいかな?」


「はい」



優の横を通って一番後ろの席に着いた。



彼女は一体…。


つい二日前…彼女に会った時言った言葉…



『気をつけてね…近いうち……この辺りは戦いの舞台になるかもしれない』



優はその言葉を思い出していた。


一体何を知っているのか…。



その後担任からの話、提出物などをして…この日は終わりとなった。



「さようならー!」



皆が下校していく。



「白凪さーん!一緒に帰りませんか?」


「あ、うん…」



天城君と帰りたいのは山々だけど…。

彼女のことが気になる。



「ごめんなさい…ちょっといい?」



彼女の方からコンタクトを取ってきたか…。



「天城君…ごめん。

 今日は先に帰ってて」


「え…?…あ、はい…わかりました」



勇は不思議そうな顔で教室をあとにした。



「…さて…あなたも話があるのかもしれないけど、私にも聞きたいことがあるわ」


「そうね…。ここには私とあなただけ…。

 でもどうせなら上で話をしない?」



上…?



「屋上」



彼女に言われるまま、優は流華と二人で屋上に向かった。



―――

――



「さぁ…ここならもういいでしょ!あなたは何者なの!?

 なんで私を知ってたの?この辺りが戦いの舞台になるってどういう事なの?」


「ふふ…そう慌てないで…白凪さん」



ゴロロ…


遠くで雷の音がしている。

どうやら雨が降ってくるようだ。


雨雲が漂っている。



「慌てるわよ。見てわかるでしょ?

 雨が降ってきちゃうわ」


「白凪さん…あなたが使える人材か…見極めさせてもらうわ」



は!?



「じ、人材…?」



ザワッ!!


一瞬にして辺りに奇妙な雰囲気が漂った。



「これは…霊気…」



しかも強い…!


霊気が見えるようになって一層にそれが顕著にわかる…。

でも、邪悪な…禍々しい霊気ではない…。


つまり憑依されてるわけではないようね…。


この子…一体何者なの!?



「お手並み拝見」



ザッ!


流華は駆け出した!



迅い…ッ!

一瞬で間合いに入り込まれた!



「はッ!」


流華の回し蹴りだ!



ドガッ!!


優はそれをかわせないにしろ、なんとか腕でガードした。



「ぐっ…!!」



重い…ッ!

これが…女の蹴りなの!?


今の動きも…普通じゃない速さだった。



見ると彼女がいた場所の地面に足型がついてる…!?

そこまでの脚力というの…!?



「いい反応ね…でも、あれくらいはかわしてほしかった…かな」



言ってくれるわ…!

ガードできたことすら奇跡的だってのに…。


てか…今の一撃で右腕が痺れた…!



「くッ…」



優は一旦引いて流華と間合いを取った。


相手は人間…霊撃じゃなくても物理攻撃で倒せる。

なら…!



「はぁッ!」


「…」



肉体強化で十分ッ!!


優は流華に突進していった。


霊力を使えば、肉体の一部ないし全身を強化することも可能。

しかし、永続的なものでもないし、力加減を誤ると逆に肉体を痛めつけることになる。


それゆえコントロールが難しい。

優のずば抜けたセンスで上手くこなしているだけである。



「せいやッ!!」



スカッ!


優の渾身の蹴りがかわされた!



「んなろッ!」


続け様に回し蹴りを放つ!


チッ!


今度は足先を掠めたようだ。

だが、こちらも今の2連撃で態勢が崩れた。


ここを狙われたらマズイ!



「…」



追い討ちをかけてこないで間合いを取った…?



「私の目的はあなたを倒す事ではないのよ。

 あなたを試すこと…ね?」



こんの女ぁッ!!

なんて上から目線で嫌な事を言う奴!



「あっそ…んじゃ手加減してやんない」



優は両手に霊気を集中し始めた。


ボッ!


「これで勝負してあげる」


「…へぇ……炎を扱えるんだ…これはびっくり…」



両手には強力な狐火が揺らめいている。

だが霊気の充填をしていない今…恐らくこの2発を放てば、暫くは放てなくなる。


未熟な優は強力な霊撃を放ったあと、自身の霊気が酷く乱れる。

この状態では霊気を上手く練れず、強力な一撃がひねり出せないのだ。


霊気の充填をしてあれば、これは回避できる…。

が、それを行うには時間が掛かる上、集中力も要する。


動き回りながらでは、今の優には難しい。



「行くわよ!」


ドッ!



「!…

(先ほどよりも速い…感情の高まりで能力が上がるタイプか…)」


優は流華の間合いに入ると右ストレートを放った。

だが、流石に正面から殴らせてくれるような相手ではない。


攻撃を上手くはじいて受け流された。



「ハッ!!」



ドガッ!!

流華のカウンターの肘鉄が優の腹部を襲った。


「ガハッ…」



痛ッ…!



「せっかく肉体を強化しても…そんな直線的な攻撃じゃ当たりはしないわ」


「ハッ!!」



優は態勢を崩しながらも、流華に向けて狐火を放って応戦した!



「!?」


ドッガーン!


優の炎が飛んでくるとは予想していなかった流華は攻撃をかわすことは出来なかったようだ。



「ふん…馬鹿にするからよ…」



!…!?



「この程度の威力?」


「な…!?」



あの至近距離から…防御したというの!?

一瞬で…!?



「…

(危なかった…まさかアレを飛ばしてくるなんて…。

 防御が間に合わなかったら、危なかったかもしれないわね…)」



流華は口ではあぁ言いつつも、実際はギリギリの所だったようだ。

防御した自身の両手に、確かなダメージはあった。



「く…」



この子も相当に霊気の操作が上手いようね…。

それか…常に防御の霊気を纏っていたのかしら…。



霊気には2種類の属性が存在する。

攻撃属性の+と防御属性の-…と優たちは呼んでいる。


-属性の霊気を纏い、攻撃したところでそれは霊撃とはならず…霊的なダメージは与えることが出来ない。

逆に+属性の霊気を纏っていても、+の属性…つまり霊撃は防げない。


霊撃を防ぐには-の霊気属性に変化させ防ぐほかないのだ。


つまり霊撃戦ではこの2つの属性をいかに上手く…瞬時に使い分けが出来るかで勝敗が決まるというわけだ。



「あなたの力は大体わかったわ…」


「え?」



「合格よ…全てをお話しましょう」




第1話 完   NEXT SIGN…

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