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7話 獣と化物

「なんだ、これは……?」


場所は旧都東京斑鳩市、常葉陸型獣管理所の職員である常勤狩人たちは目の前の光景に立ち尽くしていた。


発端は今日の午後。

見慣れた狩人学生二人がいつものように増えすぎた獣を小遣い稼ぎに狩りに来た時の事だった。

盾持ち(ガードナー)の少年が慌てた様子で警備員に伝えた内容は『レッサー・ガウルの異常繁殖』だった。


嫌な予感を胸に三人の手練れの狩人がこうして指定された現場に向かったところ、待っていたのは血と肉と骨だけだった。


「…………よもや、月詠君が?」


「いや、彼は刀を失いつつ辛くも逃げ延びたらしい」


現場を検分する一人が、血だまりから少し離れた場所でハガネの使っていたCランクの『鉄刀』を拾い上げる。

もっともそれは中腹付近が折られたもので、使い物にならないことは明白だった。


「こいつらの死体。おかしいな」


「ええ。あまりにも綺麗な(・・・・・・・・)部分が多すぎます(・・・・・・・・)


積み上がり散らばる狼型の獣の死体。

それらは血こそべっとりと付いてはいるものの、致命傷となったであろう切断面以外の一切が傷付いていない。


何者かが四十にも及ぶ獣の群れを、全て一刀のもとに斬り捨てたとしか考えられない。

厳重に管理されているこの管理所は陸の高い鉄柵だけでなく、空の警戒網も相当なものだ。

侵入も脱出も容易ではない。


常勤狩人たちの背に冷たい汗が伝う。


「………………嫌な予感がする。

今日の現場検証は引き上げて、明日増援を呼び、続きは明るい内に行う」


「了解 」


賢明な狩人たちは引き際をよく知っている。

例えこれを引き起こしたのが一人の少年で、既に今日出会っていたとしても。

今この場を離れることは彼らにとって正解であった。


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