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4話 反転

誰しも人はLv.1から始まる。

獣は生まれた時から高レベルなものもいたりするが、人間は平等に初めからだ。

それより下は存在しない。

魔力エーテリウムによって形作られたこの世界の法則は絶対だから。


「……生き、てる」


無数のレッサー・ガウルに囲まれ死んだ筈の俺は、どういうわけか息をしている。

よく見れば肩や足の傷も無い。

ぼろぼろの服を見る限り全てが夢だったというわけでもないのだろう。


何かがおかしい。

世界が狂ってしまったのか?

レッサー・ガウルの群れは戸惑いの中にあり、すぐに襲ってくる様子はない。

ステータスを開き目を通せば、そこには信じがたい表示があった。


「Lv.0……? 」


下がるとこまで下がったと思えば、更にその下があった。

だが、目を引いたのはその部分じゃない。


───


月詠ハガネ(15)


Lv.0(総獲得経験値-8pt)

体力:0/0 魔力:0/0

攻撃力:8

防御力:4

魔法力:2

俊敏性:11


異能【夕断ゆうだち


───


体力、魔力は堂々の最大値0。

攻撃力や防御力といった値は辛うじて一桁残っていたが、総獲得経験値はマイナスまで踏み込んでいる。

狂ったのは世界じゃない。

俺の方だった。


体力が0になった生き物は死ぬ。

ならば、最大体力が0の生物はどうなるのか。

生きながらにして死んでいる。

それはもう、理の外の存在ではないだろうか。


だが、レベルが0になっても相変わらず異能スキルだけは残っている。

常時展開型パッシブの癖に今まで一度たりとも発動しなかった、発動出来なかった代物。

月詠の血筋特有の変質は起こっていない。


夕断ゆうだち

魔力を消費してもの(・・)を断つ常時展開型パッシブ異能スキル/使用者の最大魔力値の255倍の魔力を消費する。


相も変わらず不出来な異能だった。

最大魔力値のn倍というふざけた条件では使用可能な者などいる筈がない。

その割に効果の方も『ものを断つ』というざっくりとした地味にも思えるものであり、明らかに釣り合っていない。


「ん? 255倍?」


消費魔力量が使用者の最大魔力量に準拠する。


ならば、魔力0の俺はどうなる?


レッサー・ガウルたちは立ち尽くす俺を見て狩りを続けることを決定したのか、再び威嚇し、吠える。


理解できない事ばかりだが、一つ試したいことができた。


「【夕断ゆうだち】展開準備」


使用者の最大魔力量の255倍の魔力を消費する。

そして、今の俺の最大魔力量は0。

小等部の学生でもわかる、簡単な答え。


「発動」


どれだけレベルを上げようとも機能しなかったその異能の行使は、最底辺の更に下となったことで呆気なく叶った。


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