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最弱なわたしと最強の俺  作者: ぴよーこ
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二人きり

男の姿を披露することになった俺は極力この能力のことを露見させたくない。人気がない廊下とは言え、誰が来るかもわからないので使用されていない教室を探した。



校舎は広く教室が多い。その割に1学年で3クラスしか使用しないため、すぐに空き教室を見つけることができた。



「鍵はかかっていないみたいね。 …笑わないでくれる?」



泥棒のようにこそこそしながらドアを開ける姿に内心笑っていたら怒られた。




俺たちは教室に入り、誰も来ないと思うが念のためドアのカギを閉めた。




今は女の姿をしているけど、俺が男だと知っているましろさんと教室で二人きりというのは少し意識してしまう。



ちらりと彼女の顔を伺うと、全くの表情のなさに何を考えているのかわからない。



まあ、嫌らしいことをするわけでもないし、ましろさんも俺のことを信用しているみたいで嬉しいな。




「それじゃあ、始めます」



俺はブレザーを脱ぎ、脱いだ服を机の上に置いた。そして、リボンを外し、Yシャツのボタンに手をかける。




「ちょ、ちょっと。何脱ごうとしているのよ。もしかして露出魔…?嫌らしいことをするわけじゃないとか言っときながら何してるの?」



「ち、ちがいますよ。脱がないと男に戻ったとき服がピチピチだし、ボタンが弾け飛んじゃうから脱いでいるだけです」



過去に女から男に戻ったとき、服をダメにしたことがあり、解放リリースするときは服を脱ぐことにしている。



「それならそうと初めに言いなさいよね…」



(心読めるんじゃなかったのですかね…)


「何か言った?」


「ナニモイッテマセン」



心の愚痴を封印した俺は、Yシャツのボタンを全て外し終えた。さすがに女性の前で全裸になるわけにはいかないのでYシャツはボタンを外しただけで着たままにしておくのがいいだろう。




「あ、あの。あと下着も外すのであっち向いてください」



「別に女の子同士なのだからいいじゃない」



「私は男ですよ!!」


「なにそれ…」


ひよりちゃんの羞恥心を舐めてもらっては困る。男の時は別に裸や下着なんて見られても何とも思わないがひよりちゃんは別だ。


と言っても二重人格というわけではなく、羞恥心が極度に増すためそうなってしまうのだ。



あれ…?二重人格じゃないよな?




「早くしなさいよ」



「は、はぃ…」



ましろさんに急かされたのでブラとショーツを脱ぎ、ブレザーの下へ隠した。ちなみに下着は妹に選んでもらった。可愛らしいフリルの付いたピンクの下着だ。





「じゃあ。いきますよ」




彼女の頷きを確認した俺は解放リリースを唱え、男の姿に戻った。



目線が昔より高い気がするな。前、身長を測ったときは165cmほどだったが、今では175cmはありそうだ。ひよりちゃんだと150㎝あるかどうかなので違和感が半端ない。




「これでいいか…?」


人差し指で頬を搔きながら、ちょっと照れ臭そうに言う俺。男の姿を家族以外に見せるのは何年振りだろうか。


男の姿を見たいという要望に応えたので、問題ないか聞いてみた。





返事がないましろさんを見ると、目が点になっていた。




「イ、イケメン…」


「ん?なんか言ったか?」



ぼそりとつぶやく彼女の言葉が聞こえなかったので聞き返すと「なんでもないわよ」と顔を赤くして目をそらされた。




「ね、ねえ。黒人くろと。もしかして、今彼女いたりする?」


両手の指先同士をちょんちょんしながら俺に聞いてきた。



そういう恋愛話は俺が女の時にガールズトークとして聞くもんじゃないですかね。男の姿を見て初めてかける言葉が恋バナですか…。




「いや、いないけど…。というよりも今まで彼女できたことないなぁ。そもそも、中学の頃はずっと女の姿だったから男にしか告白されなかった」



野郎からの告白。あれは地獄だったな。誰が好き好んで男の告白を受けなければいけないんだ。


「そ、そう。まあ…。いいんじゃない?」


何がいいのかわからないが、彼女は無表情の顔にうれしそうな素振りを見せた。



きっと恋人ができたことない俺を見て『メシウマ』と思っているのだろう。ひでえ。




「べ、別にそんなこと思ってないわよ! ただ黒人くろとが…」


「…俺が?」


彼女は最後まで言葉を告げずにそっぽを向いてしまった。俺が何…?



「い、いつまで裸でいるの!変態露出魔」



「へいへい」



なんだか、ましろさんのことクールキャラだと思っていたのに急にキャラ崩壊起こしている気がする。この短時間に一体何があったのだろうか。


「あんたのせいよ…。バカ」


俺に聞こえないようにボソボソと悪口を言っている。最後のバカだけ聞こえたぞ。





蓄積チャージ



目的を果たしたので、女に戻った。



俺は服を着ようとするが、彼女の視線がこちらに向いていたことに気づく。



「はわ。はわわ~。だからこっち見ないでください!」


「はいはい」




なんだか先ほどと立場が逆転していないか?





「…おまたせしました。お腹も空きましたし帰りましょうか」


ましろさんに着替え終わったことを伝え、時刻を見るとHRホームルームからもう2時間ほど時間が経っていた。どうりで腹ペコのはずだ。



ドアの鍵を開け、廊下に出ようとする俺に、



黒人くろと…。私も彼氏いたことないから…」



ましろさんは赤面した顔を鞄で隠しながらそう言った。




1日1投稿目指していましたが、日付変わってしまいました。申し訳ありません。

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