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最弱なわたしと最強の俺  作者: ぴよーこ
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未来と過去

「……で、チームBが交戦し、犯罪者集団を拘束して拷問にかけたところ、敵の拠点がわかりました。いかがなさいますか?神崎少佐」



(えっと。その…。どうしたらいいのでしょうか…。うぅ…)



「そ、そうですね…。ひとまず作戦会議を開きます」



「わかりました。では他の者たちをお呼びしますね。」



「お願いします。わたしは先に会議室へ向かいます」



高校を卒業し、『超能力取締特殊部隊』に所属した俺は、能力の評価を得て最年少で『少佐』の等級を得た。しかし、仕事の経験不足でどう判断していいかわからないので、部下の意見を聞くために作戦会議をすることにした。



秘書の関根理子せきねりこさんと別れ、先に会議室に向かう。



彼女は黒ぶち眼鏡をかけた黒髪ショートでインテリ風。まあ実際に仕事の出来る人だ。そのため、俺ってこの場にいる意味ある?って、思うことが多い。





「おい。あれが噂の神崎少佐か。本当に実力者なのか?」

「見た目弱そう」

「まあ、たしかに小さいし、強者の風格は感じられないな」

「どう見ても可愛い」



近くを通りかかった男たちがこそこそと俺について話している。立場上叱ったほうがいいのか…?



「はぁ…」



今の俺が何を言っても聞く耳を持たないだろう。説教することを諦め、ため息をつく。俺が黒人くろとであることは上層部の人たちと俺の部下しか知らないので、ルーキーにはいつも舐められるのだ。



俺は聞かなかったことにして会議室へ向かう。途中でトイレを済まし目的地に着くと、遅れて俺の部下たちがやってきた。



「「「「「失礼します!!」」」」」



俺は入口から一番奥に置かれている社長椅子に座り、『どうぞ、掛けてください』と部下たちを促す。いつも俺の仕事はこれだけだ。あれ…?俺ってこの場に必要…?



「では、作戦会議を始めます」



関根さんが進行役を買い、部下たちが意見を言い合う。



「ブブブ」



自分のスマホからバイブ音が鳴ったので開いてみるとめぐみんからメールが届いていた。



『ひよりん、今お仕事中?今日大学早く終わったんだけど、午後から会えたりしないかな?』



現在時刻は11時。午前中には会議が終わるだろうけど、午後に仕事サボって彼女に会うのって駄目人間すぎる…。しかも、今のところ仕事らしい仕事なんてしていないし。



『めぐみん。ごめんなさい。今日仕事なので会えないです…。夜なら会えますが…』



『そっか。気にしないで♪ひよりんが頑張っているならうちも家で勉強するかなー』



『めぐみんが勉強なんて珍しいですね。大学受験のときでさえ勉強してなかったような』



『えー。してたよ?ひよりんに抱き着きながら『桶狭間の戦い』について学習していたもん』


そういえば、「ひよりんに抱き着きながら勉強すると覚えやすいからハグしていい?」と迫られたことが何回かあったな。めぐみんの大きな胸が俺の顔を挟みこみ、煩悩と戦っていたので、俺も『胸狭間の戦い』について学べたのを覚えている。



高校でのめぐみんの成績は俺より悪かった。赤点を取っていた教科もあったし、先生に呼び出しも食らっていた。それに対して、ましろは…。



「神崎少佐?何で泣いているのですか?」



「あっ…」



気づけば目に涙を浮かべていた。もう、昔のことなのに、忘れられない。あの日のことを…。



「少し昔のことを思い出しちゃって…」



正直に言う俺に、部下たちは



「眠いのかな?可愛い」

「まあ、少佐にとっては敵の制圧なんてお茶の子さいさいだろうしこの作戦会議も暇に感じるのだろう」

「あくびした姿見たかった…。ちくしょう」



とても失礼な部下たち。まあ、日頃はあくびしたりしていますが。…何も反論できん。



よし。今日は俺がビシっと上司らしい姿を見せてやる。そして、日頃のイメージを払拭させるぞ!



決意した俺は椅子から立ち上がる。すると…



「では、作戦会議を終了します。おつかれさまでした」



いつものダメ上司で終わったのだった。




◇◇



夜になり、めぐみんと会う約束をしていたので急いで集合場所に向かった。




「はぁ、はぁ、お待たせしました」


「あ、ひよりん。もしかして走ってきたの?うちも今来たところだよ。お腹空いた?ごはん行く?それとも、う・ち?」



めぐみんが顔近づけてきて聞いてくる。


「ごはんにしましょう」


答える俺にめぐみんは「そっか」と答えて飯屋に向かう。






「ねえ、ひよりん」


「何ですか?」





「もう…。いいんじゃないかな…?」



歩道橋を渡る途中、めぐみんが立ち止まり、俺と向き合った。





「ましろんのことで、悲しむのはわかるよ?でも…もう2年経っているんだよ…。あの日からひよりん、笑わなくなったよね?」



「…そんなことない、ですよ?めぐみんと一緒にいるだけで楽しいですし笑うことだって…」



「ううん。ましろんみたいに心を読めなくたって、ひよりんが心から笑ってないことぐらいうちにもわかるよ…?いつもいつも無理している…。ましろんが今のひよりんの姿を見たら悲しむよ…」



「ましろさんはもういないのに、どうしてそんなことがわかるんですか…」



「…わかるよ。大好きな人がずっと心を閉ざしていたら胸が張り裂けそうになるもん…。ましろんだってうちと同じぐらいひよりんのこと大好きだから、この気持ちは絶対一緒だよ…」



「わたし…。ずっと後悔しています。何であの時、二階堂を殺さなかったのか。殺していたらましろさんは!!」



―死なずに済んだのに



そう叫ぼうとしたが、めぐみんが俺に抱擁してきたため最後まで言えなかった。



「うちだって…。後悔しているよ?でも、悪いのはうちらじゃなくて、『ファントム』の連中だよ…。ひよりんのせいじゃないよ」



「ましろさんに、守るって約束したんです…。なのに…うぅ。」



「ひよりんっ」



お互いに抱きしめ合いながら涙が出なくなるまでその場にいた。




30分は経っただろうか。それとも1時間か。それ以上に時間が過ぎ去ったかもしれない。



「めぐみん。ありがとうございます」


落ち着きを取り戻し、俺はめぐみんにお礼を言った。



「うちも…。ありがとう。ひよりんを慰めるはずだったのに、なんだかうちも少しスッキリしたかな」



「もう少しこのまま抱き着いていてもいいですか…?」



「うん。うちは大歓迎だよ。朝までずっとこのままでいようね」



「ふふ、なんですかそれ。こんなところで朝まで抱き着いていたら補導されちゃいますよ」



「ひよりんになら補導されたーい。あっ」



めぐみんはニヤリと悪巧みをし、俺のお尻に手を回して揉んできた。



「こうすればうち、捕まっちゃうかな?グヘヘ」



「ちょ、ちょっとめぐみん!やめてください!!」



ガッチリホールドされているため、暴れても抜け出せない。



「ひよりん可愛い♪」



「もー!揶揄わないでください!!」


「ごめんごめん。ねえ、ひよりん」



「何ですか」



「ごはん行く?それとも、う・ち?」


「…めぐみんがいいです」



「やった♪」



めぐみんは俺の肩に手を置き、目を瞑りながら引き寄せた。




「え?ここで…?めぐみん!だめですよ。こんな人前で、その…。恥ずかしいです。で、でも嫌という訳ではないですよ?もうちょっと人気のないところでなら…」


恥ずかしのあまり目を瞑りながら抗議する俺。街中でめぐみんからキスを迫られたので注意した。




「グアアアアアアアアアアア」



「ひいいいいいいいい!?」




いきなり前方に魔物が現れたので驚いた。エンシェント・ベアか…?



「あれ?ここは…?どこですか…」



先ほどまで歩道橋にいたのに、全く違う場所に転移させられていた。

この俺が転移されたことに気づかないなんて…。一体何が起きたんだ?今はそれより…



「めぐみんはどこに…?」




辺りを見回すと、高校生ぐらいの女の子が倒れていた。







「めぐみん…?」



めぐみんにしては幼いがめぐみんにすごく似ている。めぐみんの妹と言われれば信じてしまうぐらいに。







「あなたは…。ひより?」





後ろから声を掛けられ振り向くと、










もう、会えないと思っていたのに…。









「もしかして…。ましろさんですか…?」



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