告白
「私の能力は私を中心に半径10m以内にいる人物の考えていることを読み取ることができる。これは知っているわよね?でも、最近になって能力が進化して、私がマークした相手ならその範囲外にいても能力の対象になるのよ。といっても1人だけにしか使えないけど」
つまり、遠く離れていても心を読むことができるってことか。何かと役に立ちそうな能力だ。例えば、スパイや敵情視察のときに、遠方から有益な情報を手に入れられることができる。敵に見つかる心配もないのも強みだ。
逆に考えると、マークされた人は可愛そうだな。ましろには全部筒抜けになってしまうから、極秘情報も流失してしまうし、夜に如何わしいことをしたくても監視付き。
でも、まあ、本来マークされているなんて気づかないだろうから心赴くまま夜を楽しむに違いない。
(あれ…?)
能力の説明を聞いて、ふと疑問に思ったことを口にする。
「ましろさん。さっき、近くにいなかったけどわたしの考えていることがわかったって言っていませんでしたか?それって…」
「もちろん、私がマークしているのはあなたよ」
俺かよ。さらば、俺のプライベートタイム…。いや、まだだ!まだ希望を捨てちゃだめだ。他のやつに擦り付ければいいだけのことよ。っふ。
「他の人をマークしないんですか?ましろさんとはよく一緒に行動しているのでわたしをマークしてもあまり意味がないと思いますよ~?」
俺の説得に彼女は「そうね」と答えた。
「あなたが鏡を見ながら、『わたし可愛い♡』と思っていることや、隠れて自分の胸を揉んでいることを知ってもあまり意味がないものね」
「そ、そんなことまでわかっちゃうんですか!?」
「冗談だったのだけど…。本当にやっていたの?」
「……」
最近はやっていなかったけど、過去にしたことがあるので否定できない…。
「話を戻すけど、私の能力が進化したのはあるきっかけによるものだったわ。それは、黒人。あなたの影響よ」
「わたし…?何かしましたっけ?」
ましろに何か特別なことをしたという記憶はない。
「…遠くにいても黒人が何を考えているのか知りたいって思うじゃない」
俯いて顔を赤くさせるましろ。まるで告白みたいだ。
「その言い方だと、わたしのこと好きみたいじゃないですか~」
冗談だとわかっていても少しはドキッとしてしまう。だから俺も茶化すように言った。
あははと笑う俺にましろは、ジト目で見てくる。そして…彼女は深く息を吸って大きく息を吐いた。
「好きよ」
「え…?」
彼女が放った言葉に一瞬思考が止まった。まだ会って間もない彼女が俺のことを好きになることなんてあるわけがない。聞き間違えだ。きっと。
「私は黒人が好き」
真剣な表情で見つめられ、聞き間違えなんかじゃなく、本当に告白されたんだとわかった。
「わたしは…」
「知っているわ。私のことを恋愛対象としてみていないのでしょ?あなた。ロリコンだものね」
「ち、ちがいますよぉ」
心を読める彼女にそう言われると自信がなくなってしまうが、俺はロリコンじゃない!…はずだ。
「じゃあ、私のこと、好き?」
「うっ」
チラリと視線をこちらに向ける彼女が可愛く見えた。
「好きですよ。でも、これが恋愛感情なのかはまだ…わからないです」
今まで付き合った人もいなければ、恋愛経験もゼロだ。そんな俺がいきなり告白をされてもどうすればいいかわからない。
「本当は黒人にOKもらってラブラブしたかったのだけど、今は我慢しとくわ。また今度返事を聞かせてもらえる?」
「わかりました…」
俺とましろはお互い顔を真っ赤にさせ、少し気まずい雰囲気になったところで、クラスメイト達が戻ってきた。
「あ!ひよりん~!」
めぐみんが教室に入ってきて、俺のところまで駆け付けた。
「顔赤いけど何かあったの?」
「な、なんでもないでしゅ…」
今更になって、ましろの告白に胸が高鳴ってきた。
(ドキドキ)
俺はましろのこと好きなのか…?
ましろを改めて見ると、彼女は美少女だ。クラス内でも際立って美しいし、俺と並んで歩くとクラスの男子たちが目で追っているのがわかる。俺がかわいい系なら、ましろは美人系だ。そんな彼女から告白を受ければ、うれしくないはずがない。
そんな俺の思考を読み取ったのか、ましろは俺にだけ聞こえるようにつぶやく。
「今告白の返事を聞かせてもらってもいいのだけど?」
ましろの言葉に緊張が走る。
めぐみんが隣で何かしゃべっているが、俺の耳には全く入ってこなかった。
男なら、女の子を待たすわけにはいかないよな…。この気持ちは、俺もきっと、ましろのことを…。
俺は覚悟を決めた。
「ましろさん。わたしも…」
「ひよりん!もぉ!話聞いている?話聞かないイケない子にはこうだ!えいっ」
ちゅっ
頬っぺたに何か柔らかい感触が…。
ましろのことで頭いっぱいだった俺はめぐみんのしたことに戸惑う。今何された…?
「な、なにしているの?桃園さん!ひよりに迷惑でしょ!」
俺の代わりに同じく驚いていたましろがめぐみんを叱った。
「えー。だってうち、ひよりんのこと大好きだし。このぐらい挨拶みたいなもんだよ~。あ、良いこと思いついた!ひよりん。うちと付き合おう?そしたら堂々とみんなの前でキスできるねっ」
「ふ、ふぎゅう…」
俺は思考が追いつかなくなって、知恵熱のせいでその場にへたり込んだ。俺、キスされた?告白された?今日美少女2人から告白された…?流石にめぐみんの告白は冗談だよね?だって彼女は俺が男だと知らないし、ましろと同じで昨日会ったばかりだし…。
俺が困惑しているとめぐみんがしゃがみこんで俺に、
「その顔はうちが好きだって信じてない顔だな~?」
と、俺の頬っぺたをつんつんしながら言ってきた。
「普通に考えたら信じられませんよ…」
「じゃあ、今度は、唇と唇で…する?」
妖艶な顔でめぐみんは自分の唇に指先を向け俺に聞いてきた。
「ちょ、ちょっと桃園さん!ひよりが嫌がっているでしょ?離れなさい」
「えー。別に嫌がってないよ。ね、ひよりん?」
ましろが俺とめぐみんの間に割って入るが、めぐみんはそれを搔い潜り、俺に抱き着いてきた。
めぐみんの大きな胸の感触が腕から伝わってくる。ましろとは大違いだ。
「桃園さん。いい加減にしなさい」
「ぐへっ」
ましろはめぐみんに注意をしたようだが、俺の頭を殴ったのはなぜだろうか。
「ひよりん。大丈夫?」
殴られた俺を心配そうに見てくるめぐみん。
「痛かったね。よしよし。痛いの痛いの飛んでいけ~♪」
俺の胸を摩るめぐみん。そこ、殴られた場所じゃない。
「桃園さん。ひよりに近づくのやめてもらってくれないかしら?ひよりは優しいから嫌だとは言えないのよ」
「神田さんこそ。ひよりんに近づかないでよ。神田さんに抱き着かれても腕が痛いだけで困っているって言っていたよ」
「あわわ。ふ、二人とも。喧嘩はよくないですよ」
「「ひより(ひよりん)は黙ってなさい(黙ってて)!」」
「は、はい…」
バチバチと二人が喧嘩を始めたので、俺が止めに入るけど収まらない。
クラスメイト達に助けを求めると、小金井君と目があった。すると彼は、俺に向かってウインクをし、こちらにやってきた。
「やあやあ。レディー達。僕のことで争わないでほしいな?大丈夫、みんなまとめて僕のハーレムに…」
「視界から失せなさい」
「邪魔しないでよ。タラシ」
「は、はい…」
小金井君は肩身を狭くさせ、自分の席へ戻っていった。
(ど、どうしよう。このままじゃまずい…)
俺は思考を巡らせいいアイディアがないか考える。すると、先ほど小金井君は失敗に終わったが、俺が同じように振舞ったら場が白けるのではないかと思った。
(やるしかないです…)
クラスメイトからみた俺の評価は下がることになるかもしれない。でもそれで、二人の喧嘩を止められるなら安いもんだ。
俺はもう一度、二人に声をかける。
「ねえ。二人とも。わたしのハーレムに入らないですか?」
なるべく白けるように、小金井君の真似をして言ってみた。すると…
「それいいかも!そしたら争わなくてすむね!!」
「そうね。ひよりがそれでいいなら私は何も言わないわ」
冗談で言ったことを真に受ける二人。あれれ?
「じゃあ、ひよりんとうちはもうカップルだね!」
「私とひよりも恋人同士よ。お互い同じ恋人相手として仲良くやりましょ」
「そうだね。ましろん♪」
「ええ。めぐみ」
結果として二人の争いは止められた。でも、あれ?俺って二人と付き合うことになった…?
ごめんなさい。遅くなりました…。
投稿速度落ちるかもしれません。無理なく長期的に書いていきたいので、ご了承ください。
よろしくお願いいたします。




