4話 ギルドの顔といえば?
ここは、まこさんに初めて出会った土手である。
「やっぱり、ギルドマスターといえば、おやじだよね?」
「そりゃ、こんなじじいなら似合うだろうけどよ……」
さっきまで子供たちと遊んでいたおじさん。まこさんです。50歳。無職。
「一度も働けなかった、がちニートだぞ?」
「子供好きで、子供にも懐かれる。分別もある。
それに、ギルドマスターなら、どんなことするかイメージしやすいでしょ?」
「まあ、ゲームやってるしな?
冒険者ギルドが出てくるラノベや、ネット小説なんかも読んでるけどよ?」
「なら問題ないよ。りっちゃんもいるから、聞けばいいし。面倒なのは、丸投げしちゃおう」
「律も大変じゃんよ……」
上京して心寂しくなってた頃、土手で声かけて励ましてくれたのが、まこさんである。
「不安になるのも当たり前じゃん?
でも、お金も出るし、僕やりっちゃんも一緒にやるよ?」
「まあそうよな。……仕事とか怖すぎるんだが。
でも、修たちもいるんだよな……。
……それなら、やってみようかね?」
「そうこなくっちゃ!」
まこさん、ゲット!
ギルドマスターはこれで、オッケーだ。
「てことで、僕の実家のある村でやるだけど、いいよね?」
「ここじゃないのか。この年で引っ越しか。
あ、親父と母ちゃんが田舎に移りたいって言ってたし、連れてってもいいかね?」
「もちろん!何もないけど、のんびりできるよー?」
「そうか。じゃあ、帰って話してみるわ」
「うん!是非とも、そうしてみて!」
ピロピロピロー。着信が入ったみたいだ。
「あ、ばさっちからだ」
「翼ちゃん、また飛び出してきたのかい?」
「うん、そうみたい。
ばさっちも誘うつもりだったから、ちょうどいいや。
今から会いに行ってくるね」
「わかった。じゃあ、まあ後でな」
「うん。これからよろしくねギルドマスター」
「お、おう。頑張るわ」