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1-37.迷い

スチュワート様視点です

 今日は驚きの連続です。

 昨日の我々の船が座礁した辺りで、全ての運が尽きた、生死すら危うい状態でした。そこをシオンくん達に救われました。この辺りから、何か特別なことが起こっていたのかもしれません。


 何故、今朝、メルマの街で宿代の精算をしようとしたら、ステラが居たのでしょう?そのときは、昨日に引き続き、救いの神による采配だろうと考えていました。

 本当に困ったときにこそ現れるという、あの神様の力が発現したんだろう位に……。


 ですが、今、考えると少々おかしいのかもしれません。

 エスト達の証言に依れば、ステラはこの領地で研究をしていたはずです。我々が遥々(はるばる)と南の大陸から訪問に来ていたことを知る手段はありません。


 仮に、シオンくんがステラにエルフ族の我々と出会ったことを話していたとしましょう。我々が宿泊している宿まで来て、彼女はこう言いました『ヒカリさんに任せれば良いわ』と。

 シオンくんのお母さんのヒカリさんの事ではないのでしょう。きっと、領主のヒカリ・ハミルトン卿のことだったのでしょう。

 私は二人のヒカリなる人物を想定してるので、何らオカシイとは思いません。

 ただ、ヒカリ・ハミルトン卿が姿を見せないのに、全てがこちらの思うところを先回りして整えていただいています。何となく違和感を感じるのですが、モリス殿が非常に優秀ということでしょう。


 次に、何故ステラは妖精の長を発見できなかったのか……。

 ステラほど慎重な人物であれば、この領地に危険な魔物が潜んでいないか索敵を行っていたはずでしょう。そうであれば、妖精の長から溢れ出す魔力に気が付いたはずです。

 もし、ウンディーネ様の配慮によって、魔力がこぼれないように制御していたとしても、そのエネルギーの存在自体が周囲の魔力へ干渉し、何らかの異常現象を引き起こしていたはずです。

 それを、『私は色々忙しくて、調査に手が回らなかった』ですか?


 ステラがそれほどの労力を掛けて、この領地で何を研究していたのか、それは分かりません。しかし、エルフ族の支援も、妖精の支援も薄い人族の領地で出来る研究など高が知れてます。

 努力家で、負けず嫌いで、探求心旺盛なステラが妖精の長の探求よりも重要な研究事項を見つけたというのでしょうか?

 あのときに感じた違和感を、大切に読みほどくべきだったのかもしれません……。


 そして、妖精の長を見つけてから、ステラの種族の長の引退の話です。

 あれこそ、有りえません。


 ステラが幼少のころから族長になることを夢見て師匠の元で必死に妖精召喚に類する魔術を習得していったのはエルフ族の誰もが知るところです。12歳を過ぎる頃にはオリジナルのコーティング魔術など、種々の有用な魔術を発明し、登録していきました。それらの試練や活動の布石は、全ての成果をもって、エルフ族の族長の称号を手に入れるためのものでした。


 そして、2年前に今回の旅に一人で出発する際も、私へ族長の代行権限を付与したものの、生死も判らぬ旅路に出るにもかかわらず、族長の権限は手放さなしませんでした。ステラの師匠ですら、旅にでるときは族長の座を放棄して旅立ったというのに……。

 つまり、ステラにとってエルフ族の族長の座は彼女の人生といっても差し支えない程、大きな命題なはずです。それを簡単に手放してしまった……。


 私が妖精の長であるウンディーネ様の発見を報告した際に、うれし涙を流して共に喜んでくれました。あれは、エルフ族の宿命を達成できたことを共有し、夫婦で良かったと思えた瞬間であり、ステラのこれからの苦労も解消できる為と考えていました。

 そう、あのとき、私は『ステラが族長としての重責から解放されるために、族長の権限を手放した』と、思っていました。

 一方で、私自身は妖精の長の発見と、その知らせをエルフ族へと持ち帰ることで頭が一杯であり、ウンディーネ様の接待に思いを馳せていたため、ステラの反対を封じ、人族からの許諾を得ることに注力して、このステラの行動が彼女の行動原理から外れていることに気が付かなかったのだと思う……。



 そして、この人族との勝負の2戦目の状況です……。



 まず、私は飛行術の応用によって、多少の重さの物を運ぶことは可能であることを知っていました。一人なら背中にぶう形で、一緒に飛行した経験もありますし、抱えられる程度の荷物であれば、背負ったり、持ち上げることで体と一体化させて、飛行術を駆使可能でした。


 ところが、今回勝負の為に用意された石は余りにも大きくて、重かったのです。


 先ず大きさです。

 私が両手を広げても、石の周りにへばりつくのが精いっぱいで、これが丸太だとしても、抱きかかえることは不可能です。形状からして、持ち運ぶ形をしていないという絶望感を味わいました。


 次に重さです。

 どうやって準備をしたのかを勝負が始まる前に尋ねるべきだったのかもしれませんが、勝負の相手であるメイドの娘が準備を整えたというのだから、私も出来るだろうと、何となく考えていました。

 ところが、全く動かせるような重さじゃない。浮遊魔術を駆使しようにも、風を石の底部に流し込む隙間すら無いじゃないですか。


 この石を動かすためには、地面から持ち上げる必要があります。風による浮遊魔術を使えない条件で。

 そうであるならば、土属性の魔術によって、地形を変えましょう。地面から生やした何本かの土のタケノコによって、石を支えるのです。かなりの魔力を使うことになりますが、これで、地面と石の間に隙間を作ることができて、風を流し込むことが可能になります。


 ですが、どんなに風を強くして、竜巻のように巻き上げても、土のタケノコの上に載っている石は、ピクリとも動きません。それどころか土のタケノコが風によって削られ始めて、だんだんと細くなっていくではありませんか……。


 これは不味いです。この石は浮かない……。


 一旦風を止めて、次に考えたのは、火系統の上位魔術である、エクスプロージョンです。名前は凄そうですが、人族が使う爆発する魔道具の仕組みを応用して、道具を使わずに魔術だけで爆発する力を構築するだけなのですけどね。

 問題は、ルール違反になるかが微妙なところ。自分と自分の石を攻撃するのであれば、問題無いはずです。


 小さめのエクスプロージョンを土のタケノコの隙間に発生させます。すると、僅かに石が浮き上がったではありませんか。ですが、その石はあっという間に土のタケノコの上に落ちて、落ちただけでなく、衝撃で土のタケノコを押しつぶし始めるではありませんか。

 一歩進んで、二歩戻る感覚ですね……。


 もう、ヒカリさんの姿は見えません。

 見えないと言っても、本人が事前に気配を消して移動したいと申していたので、実際に何処へ行ってしまい、今どこにいるか判らないのですが……。


 相手の情報を索敵して知るよりは、先ずは自分のこの状況を何とかしないと不味いです。戦わずに負けることだけは避けたいですからね。


 少し整理しましょう……。

 石の下に隙間を作るのが土属性。

 今度は爆発によって、浮上させるのが火属性。

 浮いて、落ちる前に前進させるのは風属性で行けそうです。

 そこに私自身が飛空術で移動して運んでる状況を作るのですから……。


 筒状の土魔法を形成し、そこからエクスプロージョンを小規模で連続的に発生させる。そして、その浮いた状態を殺さないように竜巻で巻き上げつつ、進行方向へ移動させる。

 これを朝きたメルマの街まで街道沿いに連続で発生させれば行けそうですね。


 これだけの複数属性の多重起動、そして連続で妖精召喚をし続ける……。

 確かに伝説のステラなら魔術の多重起動だけであれば大規模に発生させることが出来るかもしれません。ですが、この綿密な異なる属性の連係システム設計を構築することは彼女には難しいかもしれませんね。

 拘りの一品物の魔術を形成することを得意としていて、ち密な設計の重ね合わせに興味を持っていませんでしたから。


 かなり、作戦の準備に時間が掛かりましたが、あとは持続的な魔術の発生と制御を行えば、自然とメルマの街までたどり着けるでしょう。

 あとは、先行されているであろう、ヒカリさんと速さの勝負ですね……。




 ……。

 …………。

 何故?

 …………。

 何故止まるんです?


 風が止まりました。

 爆発も止まりました。


 土魔法は発動できます。

 ですが、これでは単に石を持ち上げているだけ。浮かせられません。


 散々竜巻を起こしたせいでしょうか。土埃を鎮めるかのように雨も降って参りました……。


 そこへ、勝負に関わる全員が集まってきました。

 審判役のエストとモリス殿。

 勝負相手のヒカリさん。

 それどころか、私がサインを貰うはずのウンディーネ様とステラまで。

 そして、何処からか見物に来たのか小さな男の子と女の子と、そのお母さんや、お父さんらしき人まで。


 少々、爆発音と竜巻の威力が大きかったのでしょうか?


ーーーー


 風が止んで、どうにもならなくなってしまったので、石の上でぼ~っとしていると、ステラから声が掛かります。


「貴方、やり過ぎよ……」


 と、苦情らしき言葉がでました。


 いや、これは勝負でしょう?

 この2戦目で勝つことが出来たなら、私がウンディーネ様をエルフ族の村へ連れて帰ることが出来るのです。私の持てる全ての力を駆使して何が悪いのでしょう?

 雨によって風と火が止まったとしたならば、勝負に負けても仕方がないことですね。

 何か、今朝からの違和感に続き、おかしなものを感じますが……。


「スチュワート様、状況からご理解いただければと思いますが、ヒカリさんが既にゴールしております。ウンディーネ様とステラ様にはメルマの街から帰還戴きました。

 そして、申し訳ないのですが、夕飯の準備が出来ていますため、一度、領主の館まで帰還願えませんでしょうか。3戦目は夕飯の後に再開とさせてください」


 と、モリス殿が石の下側からこえを掛けてくれました。

 何か、この状況に違和感があるけれど、モリス殿の申し出を素直に受け取ることにしましょう。


 さてと……。

 この持ち上がらない石をどうやって、元の場所まで戻すかなのですが……。

「ステラ、その石と一緒にスチュワートさんを館まで送ってあげてくれる?」


 と、ヒカリというメイドの娘の声が聞こえます。

 ステラのことを呼び捨て?

 うん……?


「ヒカリさん、承知しましたわ」


 と、メイドからの指示を素直に受け止めるステラ。

 何なんでしょう……?


 と、疑問を浮かべていると、私が石ごと浮かび上がりました。

 ステラが石を浮かせて、私ごと持ち上げています。

 そして、そのままスタート地点に向けて出発したではありませんか……。


「スチュワート、貴方の後片付けはヒカリさん達がしてくれるわ。今日は疲れたでしょうから、皆でご飯にしましょう」


 と、ステラが石の脇から私に声をかけてきます。

 驚きの余り、下をみると、先ほど集まっていたヒカリさんと小さな子達が火や風や水を駆使して、私が荒らしてしまった街道と周辺の整備し、清掃し始めているではないですか。


 日も完全に暮れて、暗闇に染まりつつある街道にそって、見たこともない大きさの数々の光の妖精が飛び交っています。あたかも、この荒らした道路を整備し直すための灯りをともすためのように……。


 ステラとヒカリさん……。

 この二人には何か違和感を感じます……。


ーーーー

 

 今朝から滞在させて戴いている応接間に戻って参りました。

 ヒカリさんはまだ戻られませんが、今朝からの数々の疑問の陰にチラチラと見えるヒカリさんの話を聞くチャンスと言えます。


「モリス殿、ヒカリさんは、どういった人物でしょうか。

 単なるメイドに思えないのですが……」


「スチュワート様、ヒカリはこの領地でメイドをしています。間違いございません」


 モリス殿は多くを語らない。メイド以上の部分について知りたいのだが、そこには何も言及しない。何を隠しているのか?


「ステラ、ヒカリさんは、先ほど、街道から石を持ち帰るときに、ステラに対して呼び捨てにして、指示を出しているように聞こえた。

 私の思い違いだろうか?」


「スチュワートにとって、自分が管理する場所を激しく荒らされていて、その片づけを迅速に行わなければならないとき、そして気心の知れた相手に素早く協力を求めるときに、いちいち敬語を使うのかしら?


 私は、問題無いと思うわ」


 石に座って、ステラにここまで運ばれる際に、私が石を運んだ痕跡を見たが、確かにあれは大嵐が通過した災害現場のようにも見えた。あのままでは街道は使えないだろう……。

 緊急事態故の、連携であるならば、何でもアリというのは判らなくは無いが……。


「エスト、エストはヒカリさんと、どういった関わりがあるのかな。この領地で2年も暮らしているのであれば、ここの領主の館で働くヒカリさんのことも知っているのでしょう?」


「そ、そうですね……。領主の館で子育てをしつつ、メイドをしています」


 エストには発言に迷いがあるのか……?

 何か、言葉を選んでいる様子が伺える。

 一方、モリス殿やステラからは何も情報を得られる気配が無い。エストをもう少し揺さぶってみるとしましょう。


「ヒカリさんは、子育てをしながらメイドを続けているのですか?乳母を雇える身分でも無ければ、自分の仕事を続けるのは困難でしょう?」


「あ、あ、あ……。ええと、そうですね……」


 エストは明らかに何かを隠している。目がモリス殿やステラをチラチラ見て、二人から何の反応も無いとなると、何を答えて良いのか判らない様子。

 身分なのか、お金の出所なのか、何か秘密があるのでしょうね。それをモリス殿もステラも知っていて隠しているのか、エストだけが知っているのかは微妙な反応ですね……。


「ヒカリさんは何処かの貴族の子女なのでしょうか。

 そうであれば、魔術が使えたり、モリス殿やステラからの信頼が厚かったりというのも頷けます」


「さ、さぁ……。そういった噂は聞きませんね……」


「エストは、ヒカリさんのご家族のことを知っているということだね?」


「あ!あ、ああ……。知りません。何も知りません!」


 エスト……。

 その態度は、『私は喋ってはいけない秘密を喋っている』と言っているようなものだよ。ただ、この急な否定からすると、ここのガードをやんわりと別の角度から崩して、情報を集めるしかありませんね。


「エスト、貴方を困らせるつもりはありません。知らないことは答えられないでしょう?私も興味はありますが、別の機会にご本人に伺うことにします」


 と、エストが明らかに、ホッとした様子を見せます。

 ガードが固くなっては他の情報が引き出せませんからね。


「ところで、エストよ。エストはヒカリさんとどうやって知り合ったのかい?工房で働く人と領主の館で働くメイドで交流が進むとは思えないのだけれど」


「あ、はい。今日はご案内できませんでしたが、この領主の館とは別に食堂があるんです。そこで昼食を一緒に食べたりすることがあるんです」


「そうでしたか。ここの食事はとても美味しいですね。今朝、宿で朝食を食べようとしていたところ、ステラに声を掛けられて、こちらで朝食を戴いたのですよ」


「私もなんです!初めてこの領地に連れてこられたときに食べた食事が忘れられません!」


「エストもステラに連れてこられたのかい?」


「いいえ、違うんです。最初は奴隷商人にさらわれたと思っていて……」


「奴隷商人?」


 と、驚きの余りに、少し声のトーンを上げて聞き返してしまう。

 そして、そのタイミングで何故か、応接間のドアがギィ~っと、開き始めた。  誰か居るのか?人払いはしてあるのだろうに。

 

 何故だ?


「ええ、そうなんです。ヒカリさんに買われて、ここに連れられて……」


 と、エストが私の疑問に答える間に、扉が開いたことに気づいて、話を止めた。それはそうだろ。雑談とはいえ、ノックも無しで応接間に人が入ってくるのは、会話を止めるに十分な出来事でしょう。


「リサちゃん、モリス様は面談中です。お客様もいらっしゃるので勝手に入られては困ります」


 と、廊下に控えていたメイドが、今朝、出会ったリサという2歳くらいの女の子が入ってきた。確か、シオンくんのお姉さん?とすると、ヒカリさんの子供ですよね?

 私としては良い機会です。お話を伺いましょう。


「ええと、リサちゃんとシオンくんでしたね。私は構いませんよ。どうしましたか?」


「お母さんは奴隷商人なの」と、リサちゃん。

「お母さんは、本当は奴隷商人なの」と、シオンくん。


「う~ん。どうしてそう思ったのか聞いてもいいかい?


「私は売られるの。お母さんはお金を貰ってたの。私は剣闘士になるの」


「モリス殿、私は聞いてはいけない話をきいてるのでしょうか?」


「お母さんは、みんなを騙してるの。私には判るの」


 と、リサちゃんは続ける。

 

 私はモリス殿に配慮すべきか確認をしようとしたのだけれど、リサちゃんは何か訴えたいことがあるみたいですね。リサちゃんの思うままに話を聞いてみましょうか。


「そう。僕には、リサちゃんの考えが理解出来るかな?」

「あの人はお金を持っていて、人の心を支配できるの」


「あの人って、ヒカリさんのこと?」

「そう。だから、皆が騙されてるの」


「リサちゃんのお母さんはお金持ちなんだね」

「私を剣闘士奴隷として売るために、装備を整えたの」


「ドワーフの人は言ったわ。『こんな小さな子に高価な装備を与えても使いこなせないし、成長と共に直ぐに手直しが必要になる。あの人には逆らわないが』と。だから、お母さんはお金持ちで、人を騙してるの」


「リサちゃんの装備を見せて貰ってもいいですか?」

「これ。判る?」


 リサちゃんは、片方の靴を脱ぐ。それと背中に掛けてあったロングソードといっても、私のサイズでは片手剣にも満たないサイズですけど、それを私に手渡してくれた。


 先ず、靴を形作る構造が2重にも3重にもなっていることが分かります。単に、泥を避けたり、足を擦りむくのを防ぐための革袋とは違う。どちらかというと、騎士のための金属製のブーツのようなあしらい。

 ところが、足首の可動性と柔軟性を確保しつつ、靴の底面の方さを保持している。良く見ると、足の形に成形されているので、きっとフィット感も抜群になるように採寸がされているのでしょう。

 また、革靴にありがちな、靴の中の汗が籠ることによるヌメヌメを防ぐための工夫なのか、金属繊維が編み込まれていることとと、各所に通気性を確保するためのあなが開けられている。


 これをこのような小さな子に作ってあげる装備として、完全なオーバースペック。剣闘士として育成させるための完璧なまでの環境を整えているというリサちゃんの言い分も判らなくないでしょう。


 次にリサちゃんにとってのロングソード。これはミスリル製でしょうか。それも相当純度が高く、軽さと魔力の通り易さが良さそうです。それでいて、強度、軽さ、強靭さを兼ね備えている為、戦場でも狩りでも十分に所持者の能力を発揮してくれるでしょう。

 ご家庭で剣術の稽古をしている幼い子に持たせるには全くのオーバースペック。


「モリス殿、リサちゃんが買って貰った装備は、子供が買い与えられるようなものでは無いし、才能が無ければ使いこなすこともできないでしょう。


 リサちゃん専用の、それも今だけしか使えないような物に、此処まで高価な物を与えられるとなると、剣闘士などの専門職を目指していると感じてしまったリサちゃんの考えも頷けます。


 あとは、他人の財布をどうこう言うことではありませんが、メイドの給金で賄える額ではないでしょう……。何か副業をされているとかでなければですが。


 メイドの管理する立場である領主補佐として、どのようにお考えですか?」


 この問いかけによって、ひょっとしたら奴隷商人などではなく、もっと凄いことが聞けるかもしれない。さて、何が出てくるか……。

いつもお読みいただきありがとうございます。

第一章終了まで、連日の22時投稿を予定しています。

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