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8-03.ゲームをしよう(3)

 魔族の国で満足に動くことが出来ないフウマを何らかの支援する方法を考えないとね。リサが起きるまでに色々と考えなくちゃ!

「モリス、ちょっと相談が……」

「ヒカリ様……。その用件は時間が掛かる内容でしょうか?」


「あれ?モリス、何か警戒してる?」

「ヒカリ様、ラナちゃんにお呼ばれして、ここに滞在してから受けている仕事内容の進捗報告になりますが、

 ・カナエさんとパイス殿の受け入れ教育が完了してません。

 ・運河の設計支援も完了していません。

 ・騎士団300名の住居、食堂等の拠点づくりが完了していません。

 ・開墾した菜園の整備方針作成が完了していません。

 ・その他諸々完了しておりません。

 このまま、次の仕事を請け負っても構いませんか?」


「なんだか、随分と忙しそうだね……。

 そして、その内容のどれをとってもモリスの代わりが居なさそう……。

 本当はカナエさんとパイスさんはクワトロとかマリア様が面倒見てくれると有難いのだけど、今は訓練中だしね……。

 騎士団の住居や食堂を建てるのはドワーフ族の人達がしてくれるはずだけど、その配置とか導線を考えて街づくりが出来るのは、関所の拡張と整備した実績のあるモリスに頼むが一番うまく行くし。良いタイミングで訪問してくれたよね。

 開墾した菜園とかは、ステラ、アリア、ユーフラテスさんの3人に任せられないのかな?

 その他諸々は良くわかんないけど、たぶん、色々あるんだよね?」


「今、迷宮の訓練に向かわれている、マリア王妃、リチャード殿下、カサマド様、スチュワート様、ナーシャ様、クレオさん、ユッカちゃん。この7名が帰還されれば、私が受けている仕事の半分以上が分担頂けるかと。

 迷宮での訓練はいつ頃終わるのでしょうか?」


「何か、まだ道半みちなかば。やっと、最深部のボス部屋に辿り着いたらしいよ。

 そこから迷宮リセットを何回か掛けて収集品をある程度集めたら帰ってくると思う。

 だから、あと1~2週間は戻って来ないんじゃないかな?」


「そうしますと、ヒカリ様に分担頂いて、私の仕事を減らして頂くか、迷宮での訓練部隊が帰還するまでお待ち頂くことになるかと思います」


「わかった。分担するよ。

 最初に二人で街づくりと農園の区画を地図に描いちゃおう。

 次に、私が上空から指揮して要所要所に私の領地マーカーを置こう。

 そこまで終われば、碁盤目状に道や区画が整備できる。

 その後は、単なる作業だから切り倒した木を持ち込んだり、組み立てはドワーフ族と騎士団の手が空いてる人に頼めば良いよね」


「私は上空から見下ろす発想がございませんでしたし、マリア様が買い取った領地に勝手に領地マーカを設置する発想もございませんでした。

 ですが、ヒカリ様であればその両方の手法をを並列して採用できますね。かなり仕事がはかどると思います」


「そっか。なら、今からやろう。

 リサは朝まで寝てそうだし、途中で起きてもご飯を食べさせてあげれば、またすぐに寝ちゃうと思うんだよね」


「リサ様は、どうしてそこまでお疲れになったのですか?」

「一緒にゲームして遊んだだけだよ。リサが夢中になってゲームをして、普段使っていなかった頭の思考回路を沢山使ったみたいで、凄く疲れちゃったみたいだね。

 モリスにも頭使うゲームを練習した後で手伝って貰いたかったことがあるの。でも、忙しそうだから後で話すよ」


「ヒカリ様、頭を使うゲームですか?リサ様が疲労困憊する程の奥深さがある?」

「うん。でもその話の前に、モリスの仕事を片付けよう?」


「ぐっ……。ヒカリ様、仕事の合間に休憩は必要だと思いませんか?」

「モリスさっ。

 モリスに一緒にやって貰いたいゲームはリサと遊んだゲームより一段階複雑さが増すのね。だから、ルールやコツを含めて教えてからゲームをしたいんだよ。そうじゃないと、魔族の国で賞金が稼げないからね」


「ヒカリ様、頭を使うゲームで賞金が稼げるのですか?」

「モリスはお金が必要なの?幾らでも言ってよ。準備するから」


「その懸賞金付きのゲームの機材と、大会への参加費用をご準備戴けると有難いかと」

「モリス、大会は魔族の国で開催される。魔族語も勉強する必要があるし、参加費や賭け金も魔族の通貨で準備する必要がある。それは作戦含めて全部準備できる。

 その前にモリスの仕事を分担して片付けよう?」


「ヒカリ様、もし、私が今の仕事の分担を片付け終えたら、魔族の国への観光を許可頂けますでしょうか?」

「観光兼仕事で魔族の国を訪問して欲しいんだよ。その話をしにきたんだけど」


「ヒカリ様、その魔族の国でゲーム大会に参加できるのですね?」

「うんうん。その用件で来たのだけど、モリスが忙しいから後回しにするんだよ」


「分かりました。リサ様が起きる前に全てを終わらせましょう。暗くなってもヒカリ様であれば上空から光の妖精を使って、領地マーカーの設置位置を指示できるはずです。

 であれば、今晩中にはほとんどの区画整備を終えられると思います。

 カナエさんとパイス殿は、ゆっくりこの街に馴染んで貰えれば良いと思いますので」


「そ、そうだね。頑張ろっか……」


 な、なんかモリスの食いつきとやる気が凄いよ?

 モリスぐらいの知能だと、そこいらのゲーム大会なんか総なめだろうに……。

 わたしがズルして、ナビの支援貰えばモリスと引き分けに持ち込めるかもね?

 そんなことしても嬉しくないから、負けは負けで良いわけだけどね……。


 さ、モリスが待ってるから早く区画割の図面と領地マーカーを設置しないとね!


ーーー


<<ヒカリさん、何してますか?>>

<<ステラこそ、こんな夜中にどうしたの?>>


<<どうしたもこうしたも、こんな夜中に空飛んで光る物なんて、ヒカリさんぐらいしかいませんわ>>

<<あ、いや、まぁ、そうなんだけど……。地図作ってたよ>>


<<それは、昼まで待てませんか?>>

<<昼は人目につくし、リサが起きたらゲームの相手もするはずだし……>>


<<元騎士団員や雇っている他種族の人達の間で騒ぎになり始めて、問い合わせが来たのよ>>

<<え?いや?みんな黙っててくれるよね。新人のカナエさんも大丈夫だし、パイスさんは疲れて寝てるんじゃないかな?>>


<<そうじゃないのよ。

「ヒカリ様が飛んで何かの指揮をされている。我々は寝てても大丈夫なのか?」と、逆方向に皆の不安を駆り立ててるのよ。私の所にも昼間に農園を作っているチーム長から問い合わせが来たわ>>

<<あ、いや……。そういうつもりじゃ……>>


<<それで?今晩だけで終わるのかしら?>>

<<モリスは空を飛べないから、朝まで掛かって、それでも終わらなければ明日の晩かな?>>


<<なんで、モリスさんが関係するのかしら?>>

<<モリスの仕事が溜まっていて……>>


<<なんで夜中にヒカリさんがモリスさんと仕事をするほどの緊急事態になっているかを尋ねていることは、ヒカリさんでも分かるわよね?

 この騒ぎを鎮めたいだけなのよ。これも分かるわね?>>

<<ステラとアリアも手伝ってくれたら、今晩中に終わると思うよ>>


<<分かったわ。各チーム長には「夜散歩してるだけ」と周知して、良く休むように伝令を出すわ。

 それで?私とアリアさんね。アリアさんは貴方と同じ幼子を抱えるお母さんなんだけど分かっているかしら?>>

<<あ、ええと。大丈夫。モリスと二人で頑張る!>>


<<もう遅いわ。頭が冴えてしまったし、明日もこんな騒ぎになるのは嫌よ。早く片付けましょう>>


 ステラに至極まっとうなお説教を頂いて、そのあと3人でチームを組みなおして、効率よく移動、測量、マーカー設置を行っていった。

 確かに3人居ると3角形を描くように測量が進むから効率良いんだよね。モリスが飛べないことに関しては、私かステラが軽くして運ぶだけで問題無いし、マーカーを設置した後なら、モリスも座標の認識が出来るしね。


 職人街ができている付近の測量と主要位置へのマーカーの設置が完了。ついでに運河沿いにも、モリスの指示で要所要所にマーカーを設置しながら移動。あとはステラとアリアが作ってくれていた農園付近の未開墾エリアにもマーカーを設置。

 朝になれば、この領地マーカーを起点に中間点とか分割して行って、碁盤目状に整備された街づくりができるし、開墾作業もモリスが一々細かく測量してから指示を出す必要もなくなったね。


 ただ、まぁ、広域の地図を完成させたから夜が明け始めて来ちゃったけどね。

 リサが起きるまで一寝入りできるかな……?


「ヒカリ様、リサ様がお目覚めになるまでお時間がございますね?」


 と、モリスが時間を確認してくる。まさか、今からゲームを始める気じゃないよね……。寝ようよ?寝た方が良いよ?


「ヒカリさん、モリスさんが此処まで真剣に取り組むゲームってどんな内容なのかしら。私も興味が湧いてきたわ」


 いや、ちょっと待って。

 ステラは不味いよ。

 まず、いきなりリバーシとか始めても付いてこれないと思う。次に、丁寧に説明をして、面白さが判るぐらいまで理解が進んだら、今度は私がリサに怒られる……。


 と、私が黙って考え込んでいると、モリスとステラから同時に声が掛かった。


「ヒカリ様、誰かと念話ですか?」

「ヒカリさん、私に言えない内緒事があるのかしら?」


「あ、二人ともちょっとまってね。

 ゲームを教えることは出来る。でも、リサも楽しみにしてるの。だから私を入れて4人で一緒にゲームを始めるのはどうかな?ルールを教えるのも1回で済むし」


「ヒカリ様、フウマ殿がお金が無く困ってられるのですよね。そして、飛竜族の卵やドワーフ族の斧の調査を進めるためにも魔族の国で活動するための資金が必要と。

 リサ様とは別に、我々が並行して活動しても良いのではないでしょうか」

「ヒカリさん、皆を訓練に向かわせておいて、貴方は魔族の国を訪問するつもりだったのかしら?私に何の連絡も無く?」


「あ。あ。二人ともちょっと待ってね。

 モリスのその情報はフウマと直接念話した話が含まれているよね。だから保留。

 ステラはリサが一緒にゲームしたい希望を持っているから、一緒にゲームを楽しんで貰えると有難いの。

 だから、リサが起きるまでみんなで仮眠をとろう?」


「「本当にその言葉を信じでも大丈夫ですか?」」


「うんうん。心配なら3人で一緒の部屋で寝よう。結界張って私が勝手に出られない様にしても良いから。そういうのステラが仕込んでおけば良いよ。

 だから、元気にゲームするためにも寝よう?」


「「絶対に逃がしませんからね?」」


 いや、二人とも怖いって……。

 なんか、話が大ごとになってるって……。


 リサとゲームしてただけだよ?

 なんで、こんなことになった……。

いつもお読みいただきありがとうございます。

なるべく毎週金曜日に、マイペースで継続更新させて頂きます。

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