表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
255/302

8-02.ゲームをしよう(2)

 黒と白のコマを挟んでひっくり返すゲームは前世でいうところのリバーシとか、商標登録されているボードゲームになるね。異世界から持ち込むゲームとしては簡単なんだとか?ここの世界の皆に受けると良いね。

 リサが寝たまま起きない。


 このまま放置して、他の人と元の世界でリバーシと称される「白と黒で互いを挟んでひっくり返すゲーム」を始めると、絶対にリサが怒るよね。


 ん……。

 さて、どうしようかな……。

 暇だから、久しぶりにフウマに念話を通してみようかな?魔族の国にそろそろ到着してるなら、色々と情報が聞けそうだし。


<<フウマ、話しかけても大丈夫?>>

<<ああ、今なら>>


<<元気?魔族の国には着いた?>>

<<つい3日前に着いた。正直、お金が全然足り無い。

 護衛の仕事だけではお金にならない。

 食事を提供して貰えてなければ生活出来ないね>>


<<あぁ~。そうだよね~。物価というか、通貨交換レート100倍だもんねぇ>>

<<姉さん、なんでそれを?>>


<<カサマドさんに聞いたよ>>

<<誰それ?新しい人?>>


<<うん。っていうか、フウマは何処まで知っているんだっけ?>>

<<姉さん、シズクからある程度は聞いているけどある程度しか知らないよ。

 何せ護衛しながらだから、怪しまれずにと長い念話は出来なかったよ。


 僕が出発したのは魔物が溢れたタイミングで、魔族がその情報を入手しているかどうかを確かめるタイミングだね。

 姉さんが王姉殿下を退けたり、植物の栽培を始めたことはシズクから聞いている。あと、カジノと飛竜について調査して欲しいことも聞いてるよ>>


<<そう。シズクさんがフウマに連絡してくれてるんだ。ありがたいね。

 カジノの景品にドワーフ族の斧があるか知りたいんだけど。あと、魔族が行っているらしい、飛竜の研究とか飛竜の卵の盗難についても調べて欲しいの>>


<<姉さん、隊商の護衛として食事が提供されているから最低限の生活はできている。市場や神殿なんかも無償で観光できる。ところが何一つ買い物が出来ないんだよ>>


<<リチャードから借りてる金貨2000枚とか有ったはずだよね。どうしたの?>>

<<北の大陸の金貨2000枚を所持している訳には行かないでしょ!

 まして、冒険者Bランクの実力で大量の金貨を持っていたらおかしいじゃないか!>>


<<そっか。護衛のために冒険者Bランクの資格を偽装したんだっけ。

 それで幾らぐらい必要?>>

<<最低金貨1万枚。それでやっと、カジノで1晩遊べる程度だよ。有り得ないよね>>


<<え?そんなに?>>

<<ああ。入場料で魔族の金貨10枚。最低掛け金が魔族の金貨1枚相当のチップに交換して、そこからゲームに参加できる。最低の掛け金でチビチビと掛けて様子を探るにしても魔族の金貨100枚は必要になるはず。

 って、隊商の人達から聞いたよ。

 色々なゲームに参加したり、景品について調べるには魔族の金貨で1000枚。つまり、人族の金貨で10万枚は必要になるね>>


<<なんだ……。それくらいなら……>>

<<いや、王族が遊びに来てるならともかく、傭兵が大量の金貨を運び込んだら不味いよ。それに金貨10万枚を動かすとなると、船で大量に持ち込むことになるし、その荷主も調べられる。魔族の金貨に交換する前に僕の身元が危険に晒されるよ>>


<<魔族の金貨を直接持ち込んだらどうなる?>>

<<姉さん、幾らドワーフ族の伝手を使っても魔族の通貨の贋金は作れない。だからその考えは止めた方が良いよ>>


<<魔族の鑑定を通っている魔族の金貨で1万枚>>

<<え?>>


<<手元にある。飛べばフウマの所まで1日ぐらいで行ける。

 問題は何が起こるか想像できない>>


<<ん……。姉さん、ゲームは得意そうだよね?>>

<<ん?突然なに?>>


<<カジノはお金持ちとか、一攫千金を当てた冒険者達の遊び場なのさ。

 庶民向けに道端でさ、ゲームに勝ったら賞金を出してる人がいるんだ。

 胴元がいる大掛かりな物はカジノの方が安心して遊べるんだけど、力比べとか、知恵比べとか、ボードゲームで知能を競うような物もあるのさ>>


<<へぇ~。ゲームの種類にも依るけど、モリスとか強そうだよね>>

<<モリスさんはエスティア王国で忙しいではずだろ。

 姉さんで勝てるならそれでいいじゃないか>>


<<ん~。確かにゲームの種類によっては不慣れなゲームとかスピード勝負のゲームだと難しいよね。

 どんな種類のゲームがあった?>>


<<何種類かゲームがあったんだけどさ。簡単にルールを説明出来そうなのは、黒と白のコマを使ったゲームかな>>


<<ん……。

 そのゲームは運の要素はゼロ?

 あと、摩り替えとかのイカサマは無いかな?>>


<<姉さんが何を言っているか判らないよ。僕が見た感じだと、トリックの要素は無いかな。コマを順番に並べて行って、最後にコマの数が多かった方が勝ち。

 周囲の目もあるから、イカサマは出来る様に見えないね。出来るとしたら観客全体を催眠術に陥れるか、勝負をしている二人がそもそもグルになっているとかかな>>


<<フウマ、ちょっとごめんね。

 1つ目として、そのゲームのルールが口で説明できるなら教えて欲しい。

 2つ目として、二人がグルになってゲームしてて、意味がある?>>


<<姉さん、1つ目のルールは単純。8x8のマス目に黒と白で順番に埋めて行って、同じ色で挟みながら相手の色を消していくゲーム。分からなければ、実物をそちらのドワーフさんに作って貰えれば念話でゲームの手順を詳しく説明出来ると思う。


 2つ目なんだけど、これはさ?

 勝負をしている人達だけでなく、勝敗の決着の付き方にも周囲の人がお金を賭けることが出来るんだ。当然、勝負している二人が自分に賭けることも出来る。

 どちらが勝って、その勝利のコマ数を予測して、そこが当たれば掛け金の獲得倍率も増える仕組みなんだよ。

 だから、観客の勝利の逆を行く勝負結果になれば、胴元は観客からの掛け金を沢山回収出来ることになるね>>


<<ふ~ん。実際に勝負で勝つか、外馬で運に身を委ねて賭け事をするかか……。

 フウマが見ていた感じ、勝負したら勝てそうだった?>>


<<ただ単純に並べて、運だけで勝負が決まるゲームではないみたいだね。

 よくわからないけど、単純にひっくり返せるコマの数の多い場所を選ぶのでは無くて、最終的に自分の色に染めるようにコマを配置する必要があるように感じたよ。

 だとすると、こういったゲームの機微を理解して勝負できるのは姉さんが得意かなって思ったんだ>>


<<高校時代の休み時間に鍛えて、友人に嫌われる程度には強かったよ>>

<<高校が何か判らないけど、姉さんが友人にえげつない勝ち方をする性格だということは判ったよ。リサちゃんやシオンくんに嫌われないようにね>>


<<ゲームで手を抜いて勝たせて貰って嬉しい?>>

<<友人として楽しく感じなかったから、嫌われたんだろう?

 ただ、その経験が今回は活かせるかもしれないよ>>


<<勝負に勝っても、1~2倍でしょ?大して増えない。

 フウマが魔族の金貨1枚が手元にあっても、1000枚には増やせないよ>>


<<それがそうでも無いんだよ。

 まず、一ヶ月に1回だけど、大きなトーナメントがあるんだ。そこでの優勝賞金は金貨100枚。参加費も金貨1枚必要だけどね。

 その優勝賞金とは別に、勝負の勝敗に賭けることも出来るから、自分が勝ち続ければ2倍ずつ6回。最後まで勝てば64倍ぐらいまで増えると思うんだよ>>


<<最初の賭け金が金貨1枚として、それが164枚まで増えると……。

 半年ぐらい掛かけて、やっと金貨1000枚だね。

 それだけ勝ち続けたら目立って出場禁止になるし、目立ちすぎると他の任務がこなせない。隊商の護衛として人族の国へ戻って来れなくなる。

 色々とリスクが大きいよ>>


<<姉さん、自分の勝敗だけでなく、「何コマで勝つ」という、高倍率の賭けも行うんだよ。

 例えば「4枚差で勝つ」に金貨1枚賭けて、他の人が相手側とか違う枚数に賭けていれば、自然と「4枚差で勝つ」に掛けた人の倍率が高くなって、状況次第では20倍ぐらいの賭けた金額が戻って来ることもあるんだよ>>


<<なら、えげつない勝ち方をしたり、僅差で勝ったりと、勝ち方を調整して尚且つ勝つコマ数を制御できたら、高倍率で掛け金がもどってくるってことだね?>>


<<まぁ、ピタリで当てることは難しいから、「4枚差以下」とか「10枚差以上」とか、ある幅の範囲で賭けることが普通かな。それでも勝てれば数倍になるよ>>


<<終盤になれば、勝ち筋は見えてくるけど、コマ数の調整は相手次第ってこともあるよね……>>


<<それなら、一ヶ月に一回の大会までは、目ぼしいところの強い人たちへ僕が勝負を挑んでおいて、相手の実力を姉さんが確認すれば良いよ。

 そして、本番で姉さんが初参加して、実力に応じて勝つコマ数を調整すれば良いんじゃないかな?>>


<<フウマ、それ、何か都合が良すぎる。

 それに、私がAランク冒険者として訪問したら、今度は魔族の金貨1万枚を王族として持ち込むときに作戦が破綻する>>

<<だったら、念話が出来る身代わりを僕以外に立てる必要があるね>>


<<もう、面倒だからモリスを送り込もうか>>

<<だからさっきも言ったように、モリスさんは北の大陸だろ?簡単に空飛ぶ卵を使えない訳だし>>


<<モリスは今こっちに来てる。アリアとかも来てる。ついでに空飛ぶ卵の2台目が完成した>>

<<姉さんは何をやってるんだい?>>


<<空飛ぶ卵の2台目を作ったのはニーニャが指導したドワーフ族の人達。

 モリス、アリア、ゴードンがこっちに来ることになったのは、ラナちゃんがコーヒーとカカオ豆の栽培をするために呼び寄せたからだよ>>


<<なんだか全然良く分からないけど、姉さんが何もしていない訳が無いことは想像できるよ。留守番の主役が南の大陸に来るなんておかしいじゃないか>>

<<いや、だって、ステラ達が欲しがると、ラナちゃんも欲しがるし……。ラナちゃんに頼まれたら私は断れないし……>>


<<分かったよ。当面の生活費、物価に左右されない食料とかの持ち込み、あとは念話が出来る人かモリスさんの長期貸し出しをお願いしたいかな>>


<<モリスはこっちで農場とか運河の設計と、各種人事の調整もしてくれてて……。終わったらエスティア王国に戻らないと……>>


<<だったら、僕は調査を進められない。姉さんたちが王族として正面から魔族の国を訪問して、今持ってる魔族の金貨でカジノで遊んで景品に斧があるか確かめればいいじゃないか>>


<<そんな大金を魔族の金貨で持っていたら出所を怪しまれる>>

<<姉さん、会話が支離滅裂だよ。何が言いたいのか判らなくなってきた……>>


<<フウマに穏便に魔族の金貨を入手してもらって、カジノの調査を事前にしておいてもらいたい。

 私はリチャードとカサマドさんを伴って魔族の国を訪問する。そのとき、カサマドさんへ友好の証としてプレゼントした指輪の代償として、魔族の金貨で支払って貰ったことにすれば問題無い>>


<<その話を聞いてもまだ疑問が残るよ。

 まず、僕のカジノ潜入の金貨の入手方法が振り出しに戻っただけ。

 次に、魔族の金貨1万枚を貰えるようなプレゼントって何があるのか想像できない>>


<<ちょっと、モリスと相談する。少なくとも生活に困らない物資は何らかの方法で送り届けるから、もう暫く我慢してて>>

<<分かった。僕も色々動けるようになったら役に立てると思う。期待しているよ>>



 さて……。

 フウマの様子が聞けたけど、確かに物価100倍だと生活していけないし、ましてカジノになんか入場しても何にも出来ないよね……。

 かといって、魔族の金貨があっても解決できない問題があるね……。


 リサが起きるまで作戦会議かな……。

いつもお読みいただきありがとうございます。

ここ最近、金曜日の22時に間に合ってません。

なるべく頑張ります。


いいね!ブックマーク登録、感想や★評価をつけて頂くと、作者の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ