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7-31.後始末 マリア様

 さて、あとは……。

 マリア様と妖精の長達かな?

 城外で色々なことをしている拠点に私専用の小屋が出来ていた。この拠点がマリア様が借りてる商館と同じレベル機能になるためにはもう少し時間が掛かるかな?

 とりあえず私の小屋の中からマリア様に念話を通すことにしたよ。



<<マリア様、今念話を通しても大丈夫でしょうか>>

<<ヒカリさん、何か緊急な用事かしら?>>


<<あ、もし忙しければ無視して頂いて大丈夫です。

 意識も回復して、城外の拠点ですごしていますので、そのご報告と留守中の対応へのお礼の挨拶になります>>


<<そういう挨拶なら歓迎するわ。また別の問題でも起きたのかと思ったわよ。

 ヒカリさんが意識を取り戻したという連絡は少し前にステラ様から念話を頂いているわ。無事に回復して何よりね>>


<<あ、はい。ありがとうございます。

 ただ、予定外にリサが気にしていたらしく、上級迷宮の訓練メンバーが変わったり、マリア様がご同行されると伺いましたて、念話でお話をさせて頂きました>>


<<そうね。カタコンベの初心者用迷宮で感触は掴んだから、ヒカリさんの言う所の『上級迷宮の資源化』これの難易度を実際に確かめたかったの>>


<<もし、マリア様がこのまま念話を続けても良ければ、そういった感触は何か掴めたでしょうか?>>


<<今、収集品を拾い集めて皆を追いかけているところ。迷宮で出る魔物も特に強く無いから問題ないわ>>


<<地図とかがありませんと、前を行く討伐チームとはぐれませんか?>>

<<ああ……。

 ラナちゃん達に『これを持っていきなさい』と指示を受けて、加護の印と妖精の子を頂いたの。私が目に見える位置に加護の印がることを気にして背中などの服で隠れる位置に施してくれたわ。

 だから、前を行くナーシャさんの操る光の妖精と私が頂いた光の妖精の子が通話できるらしく、私の行先を照らして導いてくれるのよ>>


<<念話で対話では無くてですか?>>

<<ヒカリさん、何のことを言っているのかしら?

 ひょっとして、ラナちゃん達妖精の長と念話が出来るのかしら?>>


<<はい。妖精の長達と念話で会話はして貰えます。

 今の話は迷宮の中での、マリア様が頂いた妖精の子との対話です>>


<<身振りというのかしら、点滅や大きさ、明るさなんかを変えて、私に情報を提供しようとしてくれているわよ。念話は試していないわ>>


<<そうでしたか。お互いな慣れると色々とできることが増えるみたいです。

 既にお聞きかもしれませんが、マリア様から少しの魔力を流すことでその子達はマリア様と繋がっていられるそうです。マリア様が完全な魔力切れを起こすと妖精の子達は独立して活動できなくなってしまうそうですので、ご注意が必要かと>>


<<ヒカリさん、ありがとう。大事に育てることにするわ。

 魔力切れに関しては、私はヒカリさんみたいに無茶はしないから大丈夫よ>>


<<マリア様が妖精の子らと上手く過ごせている様で何よりです。

 それで、マリア様の感覚では収集品を集めてお小遣いを稼ぐことは出来そうでしょうか?>>


<<まだ何とも言えないわね。さっき地下5階のボス部屋という物を初めてクリアしたところよ。特に目立った収集品を落とさなかったわ>>


<<あ、まだ訓練と散策を始めたばかりだったのですね>>

<<ええ。もうすぐ1日が経過するぐらいかしら。ユッカちゃんがタイムキーパーをしてくれているので、大体の経過時間を知ることが出来ているわ>>


<<何か、大きなトラブルでもございましたか?>>

<<地図を見ながら、敵を倒して、罠を解除して、丁寧に歩いているわよ。私は落ちている収集品を拾いながらついて行って、たまに皆で食事や休憩、睡眠をとっているわ。だから、ヒカリさんが心配するようなトラブルは無いわよ>>


<<ええと……。ユッカちゃんとクレオさんとナーシャさんの3人が同行されているのですよね?>>


<<ええ。あと、魔族のカサマドさん、エルフ族のスチュワートさん、うちのリチャードの3人が訓練生で私はオマケという扱いね。合計で7人よ。

 どうかしたかしら?>>


<<割と慎重なペースかなと……>>

<<見たことも無い魔物が居て、見たことも無い罠があって、日差しもなく、見通しが利かない道を進むのだから仕方ないのでは無いかしら?>>


<<はい。そうだとしますと……。

 準神器級のこん棒が出てくる地下15階のボス部屋まで4~5日掛かるかもしれませんね。あと、ボス部屋のボスの魔獣が必ずしも収集品をドロップする訳ではありませんので、何回も待つ必要がありますので……>>


<<つまり、このペースではお小遣い稼ぎにならない?>>


<<その階層の収集品ですと、小さな革袋一杯に詰め込んで金貨1~10枚になるぐらいです。

 丸一日掛けてギリギリ金貨10枚がマリア様の考えるお小遣いになるかどうか……>>


<<ヒカリさん、何が悪いのかしら。ズバッと言って頂戴>>


<<単純に浅い階層では、倒した魔物がドロップする物が少なかったり、貴重な物が少ないです。そのくらいの階層では魔石が落ちても、精々小指の先の大きさぐらいなので、銀貨1枚になるかどうかです。

 例えば、ナーシャさんが人族との合同パーティーで投入した地下15階層のボス部屋ですと、準神器のこん棒がでたり、魔石も大き目の鳥の卵ぐらいのがドロップします。これくらいですと、金貨に換算して20枚~1000枚ぐらいになります。ただし、魔石は落ちますが、こん棒はそこでは1回しか確認していません>>


<<私は暗くてジメジメして臭い中で、銀貨1枚程度の収集品を1日中拾っていたということかしら?>>


<<そうかもしれません……>>

<<収集品を拾うなら地下15階層のボス部屋。できれば最深部が良いと……>>


<<金銭効率を求めるなら、そういうことになります。

 最深部ですと、ボス部屋以外の敵でも魔石や武具を落とすことがありますので、荷物に空きがれば、1日の収集品の成果としては金貨100枚以上が狙えます>>


<<他に注意点はあるかしら?>>

<<あの、ええとですね……。

 革の小袋のような普通の鞄であれば問題ありませんが、ステラ様が作ってくれている鞄となりますと、収容能力はほぼ無限に詰め込めますが、その分、取り出すときに忘れてしまう可能性があります。

 そうならない様に、詰める物のリストを作成しておくと良いです。マリア様の様に、小分けの革袋を用意している場合でも、その革袋の中身や番号ををメモしておいて、あとでその革袋を同定して取り出せる必要があります。仕舞った物を入れた人が忘れてしまうと、二度と取り出せません>>


<<あとは、詳しく調べた訳ではないのですが、魔物は死体や収集品を放っておくと地面に吸い込まれるようにして消えてしまいます。ボス部屋の仕組みは分かりませんが、その他の階層では、魔物を倒したら溜め込まずにその都度拾っておいた方が良いです>>


<<そうすると、帰り道に皆で拾うとか、後から収集品だけ集めに来るというのは止めた方が良いわけね>>

<<はい。その一方で、冒険者達が迷宮内に残したものは残ってしまうようです。外部から持ち込んだ水分、食料、糞尿などは迷宮が持つ浄化作用の適用範囲外の様です。

 ですので、マリア様の「こんな臭い中での作業」ということになります>>


<<なるほどね。魔物と人では迷宮への吸収のされ方が変わるということね。

 そうだとすると……。

 迷宮で倒れたり、手足を失った場合にはその残骸がこの先転がっているのかしら?>>


<<私が見かけたときには、冒険者の死体や欠損した部位を見つけることはありませんでした。罠の中まで確認した訳ではありませんが、迷宮が支配する魔獣が何らかの形で清掃していると思います。

 その最たるものとしまして、迷宮内のスライムに我々の糞尿を処理させています。最深部まで下りるときに予めスライムを捕獲しておいて、最深部で袋から出して処理をさせました。そのような処置をすることで最深部での清潔さと悪臭の抑制を図りました>>


<<ヒカリさん、とても参考になる情報だわ。

 ユッカちゃんはともかくとして、クレオさんもナーシャさんもそういったことは教えてくれなかったもの>>


<<ええ、まぁ……。そういった管理は私が行っていましたので……。

 普通の冒険者パーティーは自分たちの生存が最優先になりますので、それ以外の悪臭とか環境保全に関する考察は進んでおりません。

 つまりは……>>


<<悪臭対策まで考えて長期滞在する考え方を持ちあわせていないということね。分かったわ>>


<<はい、まぁ……>>


<<ヒカリさんでないと、「上級迷宮の資金源にする」という考えに至らないことが分かったわ。

 それで、私はこの先もこの銀貨1枚に満たない小物の収集を続けた方が良いのかしら?放っておくと消えてしまう訳だけれど>>


<<私の場合ですと無視して進みますかね……>>

<<でも、何もせずに見てるだけになるわよ?>>


<<ユッカちゃんやクレオさんは何をしているんでしょうかね?ナーシャさんは多分サポート役に周っているので進行速度は管理出来ないでしょうけれど……>>


<<リチャードとスチュワートさんとカサマドさんの3人で地図を見ながら進んでいるわ。自分たちが納得が行くときに進むし、罠の解き方が判らないときは罠の解き方を学習してから自分たちで解除して、一歩ずつ進んでいる感じかしら>>


<<索敵や戦闘はどのような感じでしょうか……>>

<<3人で前衛をローテーションして進んでいるわね。まだ誰が前衛になっても進める程度の敵の強さということね>>


<<その……。それは訓練になっているのでしょうか……>>

<<クレオさんがそれとなく、指揮を執ろうとしたのよ。

 『浅い階層は無視して、私がリードしますが宜しいですか』って。

 訓練者3人が全員一致して却下したわ。

 『それでは迷宮を自力でクリアしたことにならない』って。

 だから、ユッカちゃんもクレオさんもナーシャさんも何も言えなくなっているわ>>


<<クリアすることは目的でも無いし、そんなレベルの作業してくれても訓練にはならないのに……。まして、ゴミ拾いをマリア様にさせているって……>>


<<結局、これはゴミなのね?>>

<<あ、いや……。

 ゴミでは無いですが、マリア様が辛い思いをしてまで拾う価値のある物ではございません。その苦労は地下15階層のボス部屋一回の戦闘で賄えてしまうので……>>


<<ヒカリさん、どうしたら良いのかしら?>>

<<ん……。マリア様を含めて皆様身体強化LV2は体得されていますよね?>>


<<ええ、大丈夫なはずよ。ああ、スチュワート様とカサマド様は判らないわね>>


<<でしたら、訓練の必要を知る意味を含めて、ユッカちゃん、クレオさん、ナーシャさんに先行してもらって、訓練者3人を挟んでマリア様が殿しんがりを務めるの如何でしょうか。

 その隊列で地下15階層のボスを倒して一旦小休止。

 小休止を終えたら無言でそのまま最深部の地下25階層のボス部屋まで到達。そこで迷宮のリセットを掛けてからミーティングと訓練内容の通知。


 その様なメニューで如何でしょうか?>>


<<ヒカリさん、それは可能なことかしら?>>

<<危険はありませんよ。A級冒険者パーティーも同じことが出来ましたので。

 最深部から自力で脱出することを考えたら、自分たちが現在どのレベルにいるかを実感できるでしょう。

 「護衛が居て地図を見ながら着実に」では訓練ではありません。観光です>>


<<そうね……。来ているメンバーに話をしてみるわ。

 私も、『おばあちゃん、ゴミ拾いお疲れさまでした』とか、いわれたくないもの>>


<<いや、マリア様の活躍に対してシオンもリサもその様な言い方はしないと思います。無理せずに行動してください>>


<<わかったわ。こちらで考えることするわ。また何かあればこちらから連絡をいれます。楽しみに待っていて頂戴>>


<<はい。ご武運をお祈りします>>


 ふぅ~~~~。

 なんか大変なことになってるな……。

 上級迷宮の資源化は考え直した方が良いかな?

いつもお読みいただきありがとうございます。

暫くは、毎週金曜日22時更新の予定です。


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