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3-20.修道院へ(1)

「クレオさん、ステラ、ユッカちゃん。

 一緒に散歩に付いてきて欲しいです。

 マリア様の許可は貰ってるから大丈夫。

 ニーニャ達が調査から帰って来るまでに終わらせるから、そんなに長い時間ではないと思うよ」


「ヒカリさん、私は大丈夫ですわ。喜んでご一緒させていただくわ」と、ステラ。

「お姉ちゃん、魔族なの?角と翼があるって、本当?」と、ユッカちゃん。

「ヒカリさん、私は道案内以外の役に立てそうにないのですが……」と、クレオさん。


「クレオさん、気にしないで良いよ。

 荷物持ちとか、通訳とか、雑用とかで人手が必要になるから、十分活躍できるよ。

 それに、ユッカちゃんやステラの戦い方を見れば勉強にもなるし」

「そ、そうですか……。承知しました。

 ですが、私は普通のカバンしかない為、皆の荷物を運ぶには少々……」


「ステラ、まだ専属化してない不思議なカバンの残りはある?」

「ヒカリさん、幾つか予備がありますわ。

 専属化もしていない代わりに、収納力も発現させていないものを持ち歩いています。ご入用ですか?」


「クレオさんに1個上げてもいい?」

「私はクレオさんの命を保証できませんが、ご本人は承知しているのかしら?」


「クレオさん、不思議なカバンを渡したいんだけど、大丈夫かな?」

「ヒカリさん、何を言っていますか?」


「私やユッカちゃんのカバンと同じのをクレオさんにあげる。

 だから、大事に使って欲しいの。それと他の人に見つかるとクレオさんの身に危険が及ぶから、その辺りの気遣いと自衛もお願いしたいの」


「そ、それは、責任重大ですね……」

「まぁ、無理に壊したりしなければ、ステラが直してくれるから大丈夫だよ」


「分かりました。責任をもってお預かりします」

「ううん。クレオさんに専属化するから、クレオさんが管理してね」


「え?」

「うん?クレオさん、どうしました?」


「状況が良く飲みこめないのですが……」

「ステラ、私じゃダメだ。説明お願い!」


「承知しました。普通の人向けにヒカリさんに代わって説明させて戴きます。

 クレオさん、宜しいでしょうか?」

「は、ハイ。何でしょうか?」


「私は、とある方のご助力によって、ヒカリさんやユッカちゃんが所有する、収納容量がほぼ無限と言えるカバンを製作する技術を持っています。

 その製作技術は、とある方と私によって秘匿されていますので、私が許可を出さない限り、このカバンが世の中に存在することはありません。

 当然ながら、伝説のカバンとしてのサーガに登場する夢物語で語られる話とは別ですが。


 次に、このカバンについてですが、非常にレアな能力を具備している為、私が認めた者にしか提供しませんし、専属化も同時に行います。

 この専属化によって、万が一にも他人に奪われたとしても、不思議なカバンとしての効能は発揮できません。また、何等かの不具合によって、カバンの機能が破壊されてしまいますと、それまで収納した物は全て失われます。

 それだけでなく、専属化した所有者の意思で収納物を取り出さない限り、取り出せませんので、カバンが無事でも所有者の意識が喪失した状態では誰も中身を取り出すことが出来なくなります。


 クレオさん、此処までは宜しいでしょうか」


「と、とにかく、カバンと自分が生きていないと、特殊なカバンに入れた物は全て失われるということですね」

「はい。その理解で良いです。

 ですので、クレオさんの判断で何を収納しても構いませんし、他人の物をクレオさんの意思で収納しても構いません。

 ただし、預かり物や共有の所有物につきましては、その全責任を負っていることを予め覚えておいてください。


 それと、現時点では、このカバンの開口部以上の大きさのものは収納できない事と、カバンの所有者が『これを入れる』という意思をもって、体で触れた物しか、特別な容量の領域へは収納できません。

 逆に、取り出すときも、『入れた物を取り出す』という意思が無いと取り出すことが出来ません。

 この辺りは使用上の注意点になります。


 何かご質問はありますか?」


「ええと、カバンの能力はヒカリさんに見せて戴いておりました。

 ですので、多少は知っていたつもりですが、その効用の範囲まで正確に教えて戴きありがとうございます。

 

 それよりも、そのような貴重な物を私に戴けるのですか?」


「簡単に言えば、信頼関係があるからかしら?」

「わ、私がですか?ステラ様から信頼を得ているということですか?」


「人には勝ち負け以外のところで、失ってはいけない信念のようなものがあると思っているわ。

 貴方はそれを持っていると感じたからかしら。それを失わない限り、私との信頼関係も崩れないわ」


「わ、判りました。ステラ様の信頼を損ねぬよう努めます」

「フフフ……。そんなにりきむ必要はないわ。気楽に行きましょう?」


「分かりました。それで、私は何から手伝わせて戴きましょうか?」

「ヒカリさん、私の説明は終わったから、作戦の説明をお願いするわね」


「あ、うん……。

 上空から偵察するか、補給物資隊に紛れ込んで村へ潜入するか、どっちにしようか考えてるんだよね……。


 もし、魔族の索敵範囲が広くて、念話みたいな連絡網が発達していると、上空から偵察しにいっただけで、その索敵網に引っ掛かって、警戒されたり、カウンター攻撃を貰っちゃう可能性があるね。

 ただ、そういった要素が無ければ、早くて楽なアプローチ方法だと思うよ。


 もう一つの補給隊に紛れ込むっていうのは、女4人だと、普通に怪しまれるから、商人のコネとか魔族の補給物資や嗜好とかを熟知していないと、その場での対応でボロが出て、いきなり戦闘が始まっちゃう可能性があるね。

 まして、魔族と繋がっている商人がこちらを裏切らない保証は無いし。


 クレオさんは私が倒れてからの一週間ぐらい、いろいろ情報を集めてくれていたと思うけど、何か情報は掴めてないかな?」


「はい。報告させて戴きます。


 先ず補給隊に紛れ込むという作戦についてですが、既にフウマ様が実行されております。冒険者ギルドの伝手つてを利用していることと、ハピカ様の伝手を利用して、隊商の護衛役のメンバーの一人として紛れ込んでおります。『ヒカリ姉さんに宜しく言っておいて』とのことです。

 ご報告が遅くなり申し訳ございません。


 次に、空路からの偵察と接近に関してですが、魔族の人達の索敵方法が判りませんので、私はその作戦が良いのか悪いのか判りかねます。

 お役に立てず申し訳ございません」


「そっかー。フウマが修道院があった村に到着するのはいつぐらい?というか、あと何日ぐらい掛かるかな?」

「3日前に、護衛として採用されて、この王都からのキャラバンが出発するのが明日の予定です。そこから馬車で約10日間の距離に位置しますので、あと11日ぐらいでしょうか」


「うん。フウマには悪いけど私たちの散歩には間に合わないね。空から接近する方法を具体的に皆で考えてみよっか」


「「「「ハイ!」」」」





ーーーー


いつもお読みいただきありがとうございます。

春休みは毎日更新予定。


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