表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地味・ボンヤリの伯爵令嬢、俺様系王太子殿下と魔女討伐に抜擢される ~残念鈍感美少女が単にイロイロ巻き込まれるだけの話  作者: buchi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/62

第35話 魔女退治の依頼

「なーにが、シンデレラよッ」


怒り狂ったローザは、そこらで拾った小枝を殿下に投げつけた。小枝は殿下に届く前に地面に落ちた。


「いや、なにすんだ。俺は王子様だぞ?」


「なによ、そんなモノ」


白の魔女は、黒の騎士に向かって、次はもう少し大きい小枝を投げた。


「それに、永遠の別れみたいなこと言って、翌日には会ってたじゃないの」


殿下はふくれた。


「俺にわかる訳ないじゃないか。スケジュール決めるのは叔父上だったんだから」


「じゃあ、わからないって言えばよかったじゃないの。あんなにもったいぶらないで」


殿下は目を輝かせて聞いてきた。


「え、でも、ワクワクしなかった?」


「全然!」


わかってみれば、そんなロマンチックな話ではなかった。はっきり言ってろくでもなかった。

もう二度と会えないとか言われると、ちょっと寂しいかなと思った自分がバカだった。二度と会えないなら厄介払いだ。今、ローザは本気でそう思っていた。



********



親善パーティーの翌日、早々に呼び出されたローザは、アレクの叔父の王弟殿下から、今後の魔女退治の要領とスケジュールの説明を受けた。


「魔女退治??」


「さよう。魔女を退治する」


魔女? ローザは顔面蒼白になった。


「え? 私にできる訳ないじゃないですか? そもそも魔女って誰ですか?」


「それがわかれば苦労はしない」


なんだとぅ? 正体がわからないだと?


「そんなものの退治は出来ません!」


ローザは、キッパリはっきり断った。


他に誰か適任がいるだろう。

冒険者とか、勇者とか、騎士団とか、何のためにそう言う単語が存在すると思ってるんだ。


「わからないのには理由があってね」


レオ殿下は、ローザの拒否が聞こえなかったかのように話を続けた。


「見えないんだ」


「見えない?」


ローザは露骨に嫌な顔をした。


「余計にお断りです。私が何かの役に立つとはとても思えません!」


「いやいやいや。何のために君を呼んだと思ってるんだ」


「もうちょっと、筋肉質だとか、頭が働くとか、いろいろ素質があってもいいと思います。どこ行くのかわからないなら、キャンプに慣れてるとか、アウトドアのプロとか」


なぜかここでレオ殿下の顔が緩んだ。


「いいこと言うね! そうなんだよ。もう一人、そのための人材を用意した」


ローザはどうしてか、第六感が働いた。きっとロクな人材じゃないに違いない。


部屋の外から数人がゴソゴソやってくる音がして、誰かが叫んだ。


「行きたくない!」


聞いたことのある声だった。

ヤバい。

あれは、役に立たない気がする。



案の定、連れてこられたのは、アレクだった。


「俺は(だま)されたんだ! 王家の隠された宝を探しに行くって言われたんだ! なら、いいかって」


「アレク様だけですか? エドワード様とかは?」


有能エドワードの方が、このわがまま王子より、よっぽどマシだ。


「二人きりです。いいですか、アレク。こちらの美人を美人だからって、途中で襲ってはいけませんよ」


「俺はそんな真似はしない!」


いや、わからない。


なんだか知らないけど、この王子は、ちょっと危ない気がする。昨夜も調子に乗ってペラペラ訳の分からない事をしゃべっていた。


「ほら、ローザ嬢が怪しそうな目付きで見てます」


「あ、ですから、私は遠慮します! 学園で一生懸命、勉学に励みたいと思います」


「却下」


レオ殿下が一言で片付けた。ものすごく模範的回答だったのに!


「ダメです。あんたがいなきゃ話が始まらないんだ。魔女が見えるのは、あんただけだし、地図が読めるのも、あんた一人だからね」


何の話?


「ちょっと、アレク様、地図が読めないのですか?!」


ローザは思わずアレク殿下に食ってかかった。もったいぶって、いろいろ出まかせ言うくせに地図記号を知らないだなんて、どういうこと?


「バカにするな! 地図くらい読めるに決まっているだろう! ただ……」


彼が指したのは、この前、ローザが引っ張り出してきた魔道具の地図だった。


「こんな白紙のどこが地図だ」


何を言ってるの?!

ローザは呆れかえって、アレクに説明を始めた。こんな簡単な記号さえわからないのかしら?


「これが城で、こっちが森。この地図によると、この森を超えて山に入って少し行ったあたりに、目的地がある」


「へえ」


レオ殿下とアレク、ローゼンマイヤー先生、エドワードまでが、感心した。


「森のマーク、城のマーク、わからないの?」


「だから言っている。この地図は白紙だ」


アレクがキレ気味に主張した。


「説明しましょう」


エドワードがさわやかに引き取った。


「つまり、全員、あなたが地図だとおっしゃる羊皮紙に何が書かれているのか、インクの色が見えないのです。真っ白です。ま、黄ばんでますがね」


「え? 嘘。なぜ?」


「もちろん、わかりません」


エドワードが優雅に微笑みながら答えた。わからないのを自慢するな。


「一事が万事、そういうことだ。あんたは人には視えないものが視える。だが、地図は特に重要じゃろう。これで、ようやく目的地がわかった。これまで行き先がまるでわからなかったんじゃから」


ローザは、ぞーっとした。


「行き先もわからない魔女退治なんか、出たくありません!」


「いや、今、行き先がわかったのじゃ」


「冗談もほどほどにしてください!」


さっとエドワードが、現在の地図を出してきた。


「なにしろ、三百年は前の地図と思われます。現代の地図と照らし合わせないと、たどり着けないでしょう。町の名前も変わっているかも知れませんし、森は伐採されているかも知れないし、橋なんかは確実に掛け替えられていると思います」


全員が熱心に新しい地図を覗き込み、それから、ローザの顔を期待を込めて見つめた。彼女が何か答える場面なのか?


「え? ……えと。では、まず、お城の位置ですが、それは変わっていないのですね?」


「三百年前、城の中心は今より二十キロほど北ですね」


「北? 北ってどっち?」


「地図の場合、普通は上です。つまり、この位置より昔は上に城はあったということですね。逆に今の城は、羊皮紙の地図の場所より下になるでしょう。ただし、三百年前の地図が今と同じ決まりで書かれているとすればですが」


あいにくローザには、理解不能だった。


「要するに目的地は城から見て、どっち側なんだ?」


いらだったアレクが聞いた。


「こっちよ!」


勢いこんでローザは羊皮紙の一点を指したが、全員が沈黙した。


「その地図が見えないって、今、説明したとこだろ? 新しい方で言えよ」


アレクがキレた。


「新しい方の地図だとどこになりますか?」


エドワードが優しく尋ねたが、ローザは沈黙した。城の場所がずれている? どれくらい?


なんとなく沈黙がその場を支配した。


「わかりました。三百年前の地図を探してみましょう。その間に、レオ殿下から、今回の旅の概要の説明を受けてください」


要領のいいエドワードが話を回収した。


「こいつ、やっぱり、バカだ」


アレクが口の中でつぶやいた。

おもしろいかなと思えたら、広告の下の☆をクリックして★にしてくださるとうれしいです。

楽しんでもらえたと思えるので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ