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地味・ボンヤリの伯爵令嬢、俺様系王太子殿下と魔女討伐に抜擢される ~残念鈍感美少女が単にイロイロ巻き込まれるだけの話  作者: buchi


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第33話 王子様とのダンス

ホールの真ん中あたりはダンス会場だった。


親善パーティーのメインイベントは、このダンスだ。

もちろん表向きは自由参加だが、それなりに条件が整っていないとダンスに参加などできない。

着飾った上級生たちが、すでにカップルで組になっていて、準備は出来ているように見えた。


ローザは近づくにつれ、足が震えるような気がした。緊張する。


上級生たちは、まるで誰かを待っているようだ。


そして真ん中は、みんなが遠慮したかのように空間が丸く空いていて、そこにはアレクが一人で立っていた。


彼は満面の微笑みだった。


「さあ」


アレクが手を差し伸べた。


「待ってたんだ。本当によく似合う、そのドレス」


侍女はいつの間にか影も形もなくなっていて、ローザはアレクと二人きりになってしまった。


他の上級生の顔は誰も知らなかったからだ。

知っているのは、アレクだけ。


だから、二人きり……

と言っていい状態だった。


知らない周りのカップルたちは、新しくやってきた少女と、彼らを待たせていても当たり前のような顔をしている若い男に注目していた。


アレクがにっこりと笑った。


黒い髪と、薄青い目は対比していて、本当に殿下は美しかった。


彼がむぞうさに着ているダンス用の服も、体にぴったり合った素晴らしい上質のもので、ローザが思わずきまり悪くなるくらい、意外に細マッチョだった。


アレクがローザの手を取り、顔を上げると、パーティーのメイン行事のダンスが始まった。



ダンスのリードはとてもうまかった。


これは、どう言うことなんだろう。

まるで夢のようなダンスだった。


アレクが王太子だと言うのは本当で、だからこそ大勢の上級生たちがローザの到着を待っていたのだ。


そして、ドレス好きの王子は、それは得意げに嬉しそうに彼女を見ていた。


アレクは、ローザを、横目で眺めた。

夢のような儚げな髪色と目の色。そしてなんと細い身体。華奢で美しい。

腕を回すと、こんなに細くていいのか不思議だった。

モノにしたいと言う奇妙な欲望が湧いてきた。

誰にも触らせない。自分だけのものにしたい。


ダンスの時間は永遠のようだったが、すぐに終わり、アレクは微笑んでローザをほめた。


「とってもきれいだ。それにダンスができないなんて嘘じゃないか。相当うまいよ。あんな短時間でどうにかなったレベルじゃないな」


彼はお付きの誰かに飲み物を取って来させた。


「お酒はダメだよ」


彼は決めつけたが、注文は聞いた。


「オレンジ? レモン? 炭酸の入ってる方がいいかい?」


アレクは打ち解けてローザを自分の横に座らせた。


「あの、他の方たちは?」


「今日は、生徒の会だからな。私より偉い人間はいないから、気にするな」


アレクは気にしていなかったかもしれないが、ローザは気になった。


「アレクが王太子様って、みんな知っているのかしら?」


ローザが身を寄せてこっそりアレクの耳元で囁いて聞くと、内緒話の体勢にうっかりアレクの口元が緩んだ。


「あ、まあ、大抵の連中は見当をつけてると思うな」


アレクはあっさり言った。


「と言うわけで、君は今日はシンデレラだ」


「シンデレラ?」


「そう。文字通り、王子様と一緒」


「自分で王子様って言うかしら?」


「王子だよ。そして、シンデレラのあまりの美しさゆえに、その王子が魔法使いも兼任さ。ドレスを贈ろう。馬車も。帰り道のことは忘れていないよね?」


ローザはコクリとうなずいた。


「来た道から帰るんだ。忘れたらダメだ。馬車を用意しよう。僕は魔法使いだから。知ってるよね」


ローザはちょっと不安になった。何を言ってるんだろう。


「十二時になったら、全部終わる」


「終わる?」


「そう。今日は僕に取っては卒業式なんだ」


「え?」


冗談を言っているのかと思って、ローザはアレクの顔を見た。


彼は笑っていなかった。


「事情があって、僕は学園をやめる」


ローザは彼の顔を見つめるだけだった。

王太子殿下の事情は、ローザなどではわかるはずもない。


「では、今日でお別れですか?」


アレクは笑った。


「寂しいかい?」


「ちょっと」


「ちょっとか! 少ないな」


「あ、でも、きっと一生の思い出になります」


「一生の思い出か。僕にとっても、一生の思い出になるだろう」


ローザが懸命にアレクの顔を見て、事情とやらを推察していると、アレクが優しく彼女の髪を撫でた。


「君の母上と妹がきてるんだろう? 会っておいで」


「でも、アレク様ともう二度と会えないのなら、今は一緒にいたい……かも」


アレクの目が大きく見開かれ、それから彼は嬉しそうに笑った。


「今は母上と妹に会ってきなさい。君も十二時までしか、自由に動けないのだから」


「どういう意味ですか?」


「あとで教えてあげる」


もう、二度と会えないのに?


「シンデレラは、王子に再会してるよ」


いつの間にかさっきの女官が来ていて、彼女を連れてその場を外させた。そして、家族のところへ連れていった。

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