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地味・ボンヤリの伯爵令嬢、俺様系王太子殿下と魔女討伐に抜擢される ~残念鈍感美少女が単にイロイロ巻き込まれるだけの話  作者: buchi


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第31話 親善パーティー当日

親善パーティーの前の日まではヘトヘトだった。


ダンスはスポーツだ。

ローザは結論付けた。


「いいですか? 当日は、早朝に別の建物に行ってください。この建物は、迎賓館なので、当日は朝から王家関係や公爵家などでいっぱいになりますから、入れません」


「パーティーは、夕刻からですよね?」


「準備があります。特に女性は時間がかかります。遅刻厳禁です」


エドワードの威嚇(いかく)が効いて、ローザは珍しく準備万端で、親善パーティー会場へ向かうことになった。


だが、心の中は不安で一杯だった。


ケネスにはあれから会っていない。


ダンスの特訓ばかりしていて、授業にも出ていないからだ。当然、食堂にも行ってない。


それにも関わらず、先生方から無断欠席の問い合わせも来ない。


ナタリーたちには、言い訳しておけとエドワードから言いつけられていた。


「いいですか? 体調が悪いと言っておいてくださいねっ」


エドワードは(にら)みつけてきた。


「間違っても、パーティーに出るとか、ダンスに出るとか、アレク様がどうのとか、絶ーっ対に言ってはなりません」


「あの、でも、パーティーの後は、バレると思うんですよね? そのあと私、どうなる……」


「虐められるとかですか? その心配は、まったくありません。保証します!」


それでもローザが納得しないようなので、エドワードは続けた。


「ご両親のことも、学園のことも、そのレベルでの心配は一切ありません。絶対に大丈夫です」


そのレベル?……って、どういう意味?


「とにかく、親善パーティーで頑張ってくださいませ!」


なにを。なにを頑張ればいいのだ?


当日、ローザは不安でいっぱいだった。


ほんとだったら、きっとナタリーやキャサリン、アイリーンなどと一緒にキャッキャッ言いながら会場入りして、その他大勢のモブになって、そして、もしかすると、ケネスや他の男子生徒にも話しかけられたりして、もしかすると心をときめかせる誰かステキな人を見つけてうっとりするチャンスに恵まれているかもしれないのに。


妄想をぶった切る女官の冷たい声が響いた。


「こちらでございます。学園の生徒さんと混ざってくださいませ」


ローザは裏口から入れられた。


「お戻りもこちらの入り口へ来てください。間違っても、他の生徒さんと一緒になって寮に戻ってはいけません。必ずここへお帰りください」


表情の読めない女官から、冷たい有無を言わさぬ口調で命ぜられてローザはうなずくしかなかった。




「ロ、ローザ?!」


突然現れたローザに、ナタリーやキャサリンは呆気に取られた。


「どうしたの? 欠席するって言ってたじゃない?」


「それが……」


「しかも体調が悪いって」


「婚約のことがあって……」


苦しげに言い訳にすがった。


「ええと、婚約を破棄されてしまって。それがショックで起きられなかったんだけど……」


「ああっ それは、そうよね。悪いことを聞いたわ」


「だけど、えーと、次のご縁を探さないといけなくなって」


「あ。……そうよね」


「両親が何があっても、親善パーティーには出なさいって。でないと、縁談も来ないだろう……」


いやー、我ながら、ものすごく信憑性(しんぴょうせい)のある話だわ。


「それで、このドレスを贈ってくれたのよ」


おー、話がまとまった。我ながら、すごい。


「ごめんね。なんか陰気な話で。みんな、パーティー楽しみにしてたでしょ?」


「あら、嫌だ。楽しみって言うより、緊張してるわ。理由はあなたと一緒よ」


キャサリンが言った。


「だって、どこかで目立って結婚相手を探さないといけないんですもん。私だって、親善パーティーに出ないって、親に言ったら、きっと何のために高い学費を払って学園に通わせてると思ってるんだって、叱られると思うわ」


そう言えば、ウチの親もそんなこと言ってたな。


「うちと一緒ね」


ようやくローザは微笑んだ。


「でも、さすがに伯爵家は違うわね。高いんじゃない? そのドレス」


ローザはドレスを少し広げてみた。


「そうかも……」


「あら、始まるわ」


本格的な社交界デビューの前哨戦(ぜんしょうせん)とも言えるパーティーが、遂に始まったのだ。

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