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地味・ボンヤリの伯爵令嬢、俺様系王太子殿下と魔女討伐に抜擢される ~残念鈍感美少女が単にイロイロ巻き込まれるだけの話  作者: buchi


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第23話 ぼんやりの理由

「何かありましたか?」


呼ばれて、急いで駆け付けてきたローゼンマイヤー先生がドアを開けた。


「レオ殿下!」


ローゼンマイヤー先生は、薄笑いを浮かべている男の顔を見て叫んだ。




「役者がそろったようだから紹介しよう。私は、そこにいるアレクの叔父のレオだ」


ローザは真剣な顔をしていたが、まるで分っていなさそうだったので、エドワードが耳元で囁いた。


「レオ殿下は、王弟殿下です」


ローザははっとして振り返った。


「王弟殿下ですか?……王弟殿下って、いましたっけ?」


後ろ半分はエドワードにこっそり聞いたのだが、運悪くレオ殿下の耳にしっかり聞こえてしまったらしい。殿下は機嫌を損ねたらしかった。


「四十年ほど前からいるよ。君は伯爵家の娘だったな」


「ローザ・ウォルバートと申します」


今更ながら、ローザは深々と礼をした。王弟殿下と言う言葉の意味は分かる。王様の弟だ。王族だ。


「おい」


たまりかねたアレクが声をかけた。


「私は王太子なんだが」


「え?」


ローザは振り返って、まじまじとアレクの顔を見た。


「王太子殿下……ですか?」


「そうだ」


「知りませんでした」


ローザは呆然とした。王族だらけだ。どうしよう。


アレクも機嫌を損ねたらしかった。だが、エドワードが注意した。


「アレク殿下、殿下は身分を隠して学園に通っておられますので、ローザ嬢にわかるはずがないではありませんか」


大抵の生徒はうすうす知っているだろうけど、この令嬢はかなりのボンヤリなんだから気が付くわけないじゃないですか、と注釈をつけたいところをエドワードは我慢した。


「黙っておけとローザ嬢にお言いつけにならないと……バラしてどうするんですか? てか、なんでバラすんですか?」


「この娘は相当のボンヤリだな」


レオ殿下は、それでは都合が悪い、みたいな顔をして言ったが、肝心のローザは一生懸命うなずいていた。ボンヤリ結構。過大評価されるのは困る。


「魔法力はすごいが、大丈夫かなー?」


「多分、大丈夫でございますよ。さあ、ローザ嬢」


ローゼンマイヤー先生が出てきて、装身具の入った箱をローザに差し出してきた。


「好きなものを取ってごらんなさい」


指輪が五つ、イヤリングが三組、ネックレスは二本、腕輪が三つ置いてあった。


ローザが先生の顔を見ると、山羊ひげのローゼンマイヤー先生がうなずいた。


細い指で銀の指輪を選びだし、それをはめてみた。


指輪をはめた途端、細かい霧が指輪から広がって行き、彼女の全身を包みこんだ。


「!」


視界がはっきりするような気な気がした。

こんなことってあるんだろうか?


「くっきりするわ?」


次に指輪を外して、イヤリング、ネックレスと順番につけてみた。


どれも視界をはっきりさせる効果があったが、最も効果の高いものを一組ずつ手にした。


「選んだね? 全部つけてごらんなさい」


ローゼンマイヤー先生が優しく言った。


指輪とネックレス、腕輪、イヤリングとつけていって、ローザは言った。


「はっきりする。落ち着くわ」


ローゼンマイヤー先生はうんうんと頷いた。


「ローザはボンヤリじゃないんです。まあ、元々の性格はのんきな方かも知れないが、彼女には干渉が働いてしまうんです」


「干渉? どういう意味ですか?」


エドワードが尋ねた。


「とても魔力に敏感なのです。魔法学の授業を受けさせたら寝てしまった」


レオ殿下はダメじゃないかと言う顔をした。


ローゼンマイヤー先生は首を振って否定した。


「彼女は白の魔女だ。魔法学の教室には魔女が嫌う魔道具を集めてある。ローザほどの魔力持ちになると耐えられない。寝るしかなかったんでしょう」


「なんでまた、教室なんかにそんな魔道具を置いておいたんだ」


レオ殿下が聞いた。ローゼンマイヤー先生は山羊ひげを振って答えた。


「まさか本物の魔女が見つかるとは思っていなかったんです。置き場所がなくてね」


レオ殿下が一挙に不機嫌そうになった。


「私が必死で魔女を探していたのを知っているだろうに。見つからないと思っていたなんて。魔道具だって、さんざん探して、見つかったらお前に大切に保管を頼んでいたのに」


「いやいや、役に立つかも知れない魔道具は大事に保管してありましたよ」


ローゼンマイヤー先生は少しあわてたように、さっき開けた箱の山を指した。それから、ローザに話しかけた。


「この装身具は、他人から受ける干渉を遮断する。ローザ、気分がいいだろう?」


ローザはうなずいた。


「すっきりしました」


「白の魔女の体質ですよ。ほかの人間ならわからない程度のわずかな気……魔力とも言えないほどの気を感じ取る能力がある。だが、それが彼女の集中を邪魔するんです」


「じゃあ、そこまでのボンヤリじゃないってことか」


レオ殿下がそう言うと、ローザの顔を見た。


「あんまりバカは困るからな」


ローザの方は困惑した。何か自分に期待することでもあると言うのだろうか。


レオ殿下はじっとローザを観察しながら、ゆっくりと言った。


「君は国の秘密だ。やって欲しいことがある。準備が整ったら連絡しよう。白の魔女殿」

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