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地味・ボンヤリの伯爵令嬢、俺様系王太子殿下と魔女討伐に抜擢される ~残念鈍感美少女が単にイロイロ巻き込まれるだけの話  作者: buchi


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第12話 ケネスにローザが冷たい理由

美人が男狂いだ、となどと言う噂は広まりやすい。


ルイ、オスカー、フレッドの三人は、実際のローザを多少は知っていた。だから、男狂いなんて嘘に決まっているとわかっていた。


それどころではない。興味がなさすぎて名前を覚えてもらうのに苦労した。


そして、あのジョアンナとか言う女は、人もあろうにそのローザを淫乱とまで言い切り、その上、ローザを説得して、彼らが楽しみにしていたダンスのレッスンを止めさせた。


「あの女の方がよほどブスだ」


怒り心頭である。


「並ぶとブスに見えるだけです。まあ、美人のうちに入ると思いますよ?」


冷静なルイが訂正した。


「だが、ジョアンナ嬢は好みではない。付きまとわれるのは嫌だな。僕たちまで品位を疑われそうだ」



彼らは、ケネスと同じことをした。ただ、彼らは人数が多かったし、手慣れていた。

ジョアンナの取り巻きたちを探し出すと、それぞれから話を別々に聞いて突き合わせた。


「ちゃんとメモを取って日付と話した内容を全員分記録するんだ」


ルイが指示した。


たったそれだけのことで、全容は簡単に把握された。


「どうして何の証拠もないのに、高慢だとか、虐める人だとか、簡単に信じるんだろうな?」


フレッドは調べた紙を何枚か見比べて、幼稚な嘘だと看破した上で感想を言った。


「どうしてくれよう」


「まあ、取り巻き連中にひと働きしてもらえはいいんじゃない?」


ルイがなんでもなさげに言った。


「取り巻き連中に調べた内容を教えてやればいいさ。全部ジョアンナの捏造、嘘話だ。取り巻き連中に、ジョアンナが全員に『あなたが一番好き』とささやいていたことを教えてやるのは、親切じゃないかな? 俺たちは感謝してもらえるかもしれないし。後になったら、あんな女に関わらなくて良かったと思うだろうからね」



******



翌朝、教室にやってきたローザはあたりを見回して、恐ろしいことを発見した。


あのジョージ・キンブリーが同じ教室にいたのである。


「やあ」


と、彼ははにかんだようにあいさつした。


ローザの方は、大きな目を見張って、ここに変態が……と叫ぼうとしたところを、ナタリーのしっかりした腕に捕まって、廊下に引きずり出された。


「あ、あれ、変態……」


「違うでしょ? あれは、ジョージ・キンブリーでしょ?」


「……誰、それ?」


「クラスメートよ。入学以来、ずーっと同じクラスで一緒だったでしょ?」


「……知らない」


ナタリーはため息をついた。


「いい加減にしなさいよ。覚えたらどうなの?」


「ルイとオスカーとフレッドは覚えた。あと、女子は全員覚えた。あと、ウマの名前は覚えた」


「…………よかったわねえ。よくできたわね」


珍しくナタリーに褒められた……と思ったが、ナタリーの顔は褒めているようではなかった。むしろ、あきれ果てた表情をしていた。


「そして、昨日のあの茶番は今どうなってるの? ジョアンナのことよ」


「あれはねー。まあ、いいんじゃない?」


「どこがいいのよ?」


「だって、あれであの三人と話をしなくて済むじゃない? あとはさっきのキンブリーとか言う男を、ジョアンナに会わせなきゃならなくなったけど。ジョアンナが会ってくれないかも知れないわ」


「あなたに声をかけた男性全員を、あのジョアンナの毒牙にかけたいわけ?」


キャサリンが結構な剣幕で聞いてきたが、ローザはおもねるような微笑みを浮かべた。


「よくわからないけど、四人ともジョアンナ嬢なんか好きじゃないんじゃないかな。キンブリーのことは知らないけど」


ナタリーもキャサリンも、冷静に考えれば、確かにそれはそうだった。


「でも、おかげで魔法学の授業の時間とダンスの練習時間が重なってたのを忘れてたのが、あの三人にバレないで済んだし」


「それ、重要?」


「だって、またぼんやりだって言われるわ。それに、あの3人としゃべるとケネスが怒るのよ。面倒だわ」


「ねえ、ローザ。前から思ってたんだけど、ケネスに冷たくない?」


以前から気になっていたのだ。キャサリンが聞いた。


「だって……ケネスは妹の婚約者だもの」


「え?!」


「ケネス・レミントンは婚約してたの?」


ナタリーとキャサリンは小さい声で聞いた。学園の廊下にいたからだ。そうでなかったら、声の限りに叫びたかったに違いない。


「そうじゃないけど。でも、レミントン家とうちは姉妹のどちらかを結婚させましょうと話を進めていたの」


さすが、大貴族。子供の頃から婚約話があったのか。


地方零細貴族出身のナタリーとキャサリンは、ビックリしてローザを見つめた。

ローザの方は淡々としていた。


「でも、私があんまりボンヤリだから、伯爵夫人は務まらないって、お母さまが妹のヴァイオレットの方で話を進めているの」


あのケネス・レミントンを妹にとられるとは! 


なんて残念な。でも、確かにローザはぬけている。


「ケネスとは小さいころからの知り合いなの。でも、妹の婚約者になる可能性の方が高いの。妹の方がずっと美人だし」


ローザより美人なのか! 上には上がいるものだ。


「もちろん正式に決まったわけじゃないの。だから、この話、ほかの人には、絶対、言わないでね。ケネスが困ると思うの。私もだけど」


ナタリーとキャサリンは首をぶんぶんと激しく振って約束した。


事情はわかった。


ローザはケネスと仲良くできない理由があったのだ。妹の婚約者とは!


「で、でも、ローザ」


キャサリンはあることに気が付いて、おそるおそる尋ねた。


「妹の婚約者にしちゃ、ケネスはあなたを好きそうに見えるけど?」


ローザは困ったような顔だった。


「それがね、私にもわからないのよ。自分の館にいた時は、あんなじゃなかった。だって、妹とばかり会っていたのよ? そりゃ妹の方が美人ですもの。家じゅうの者が皆そう言うくらいですもの」


もしかして、比較の問題か? と、ナタリーとキャサリンは考えた。


伯爵家ではヴァイオレットの方が美人なのでそちらと、学校ではローザが一番美人だから(趣味の問題はあるだろうが)ローザと一緒にいたがる? つまり、顔フェチと言うか、美人好きなだけ?


なんとなーく、微妙に、ケネスの評価がナタリーとキャサリンの中で下がった瞬間だった。

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