【イラストから物語企画】はだかの王様はいつもハダカ
遥彼方様主催、イラストから物語企画の参加作品です。
詩を書いてみました。
リアルにこんなオトナがいるわけないので大いに笑ってください。
勇気ある言葉! 勇気ある言葉!
「リニアコライダーの運転手になれば儲かる」などと言う
最先端の技術に知ったかぶりで憧れる
いかにも王様然としたオトナのこの勇気ある言葉!
勇気ある言葉! 勇気ある言葉!
「ガンの菌が増えて手遅れになってねェ…」などと言う
現代医学にあっけらかんと無知をふりかざす
いかにも女王然としたオトナのこの勇気ある言葉!
自信に満ちたその言葉
仲間のオトナは頷くばかり
そうして彼らは酔うて言うのだ
首をかしげる少女らに
「そんなことは当たり前!」
「感覚で分かるだろう!」
「常識で考えろ!」
少女はしかたなく目をつぶり、ただただ繰り返すあきらめの呪文
『お気の毒さま手遅れです。全くもってつける薬なし!』
勇気ある言葉! 勇気ある言葉!
「降水確率が100%だから今日は土砂降り」などと言う
統計や確率を無視して平然と言ってのける
いかにも王様然としたオトナのこの勇気ある言葉!
勇気ある言葉! 勇気ある言葉!
「消毒はお湯を120度ぐらいに沸騰させて」などと言う
ありえない現象を思い込みで言いくるめようとする
いかにも女王然としたオトナのこの勇気ある言葉!
自信に満ちたその言葉
従うオトナは傅くばかり
そうして彼らは嘲り言うのだ
声を荒げる少年らに
「年長者の言うことを黙ってきけ!」
「年を取れば分かる事!」
「常識で考えろ!」
少年は悔しさに拳を握り、ただただ心に刻む軽蔑の呪文
『お気の毒さま手遅れです。全くもってつける薬なし!』
自信に満ちたその言葉
媚びるオトナはうなずくばかり
そうして彼らは等しく言うのだ
真実を探す善人に
「そんなことをして何になる!」
「人を惑わす真似をするな!」
「常識で考えろ!」
善人は悲しみに唇を噛み、ただただ立ちつくす訣別の呪文
『お気の毒さま手遅れです。全くもってつける薬なし!』
全くもってつける薬なし!
全くもってつける薬なし!