29話:熊本地震とその他の事件
2016年、佐野家では、初詣に行き、今年も家内安全と商売繁盛を祈願してきた。2016年2月12日、早朝、証券会社の担当者から電話でキーエンスの気配値51800円で安いから買いと言われ佐野夫妻で5千株成り行き買い指示し、すぐ2.59億円で買え、残金合計が2.41億円億円となった。4月から佐野民子と佐野良和が横浜の予備校に通い始め。民子は、横浜国大経済学部、良和は、理工学部を目指した。
この年は、4月14日午後21時26分、熊本県を震源とする地震が発生し益城町で震度7を観測。地震の規模マグニチュード6.5で、震度7が記録されたのは2011年3月の東日本大震災以来。16日、午前1時25分ごろにも益城町と西原村で震度7の地震が起き、1995年の阪神大震災と同規模のM7.3を記録した。連続した地震活動で震度7が2回観測されたのは初めだった。
気象庁は14日の地震が前震、16日が本震との見解を示した。地震による直接死と関連死を合わせた死者は150人を超えた。住宅被害は約17万8000棟に上り、うち約8300棟が全壊。熊本城も天守閣の屋根瓦が剥がれしゃちほこが落下するなど、大きな被害を受けた。佐野家の4人も木造の住宅が無残に崩壊してる姿や熊本城の哀れな姿を見て、呆然自失と言う感じで、ただテレビを見つめていた。
早速、飯田商会でも1億円の募金を集めて、被災地に熊本復興のため4月中に募金機関に送った。その後、信じられ様な残虐な事件が起こった。7月26日未明、相模原市緑区の知的障害者施設「津久井やまゆり園」にナイフを持った男が侵入し、19から70歳の入所者男女19人を殺害、27人に重軽傷を負わせた。神奈川県警は殺人などの容疑で元職員植松聖「当時26歳」を逮捕した。
その事件は、知的障害で、まともに動けない人間をいとも簡単にナイフで切りつけ殺害すると言う極めて残忍なやり方に、ニュースを聞いた、飯田商会でも人間やる事じゃないと非難の声が上がった。植松は、同施設に非常勤職員として勤務していたが、2月に「重度障害者を殺す」と話したため施設が県警に連絡、退職扱いとなった。妄想性障害などと診断され措置入院となったが3月に退院していた。
何と「津久井やまゆり園」の元・職員が犯人と分かり佐野家でも衝撃を受けた。しかし逮捕後も「障害者は社会を不幸にする」「国が許可してくれなかったので仕方なくやった」などと常軌を逸した独善的主張を繰り返しており、横浜地検は9月以降鑑定留置して精神鑑定を行い刑事責任能力の有無を調べている。最近、こういう常識では考えられないような事件が起きるが何か悪いのかと佐野良介は首をかしげていた。
その他にも世界から信じられないようなニュースが飛び込んだ。6月の英国の国民投票で欧州連合「EU」からの離脱を決めた。「東欧からの移民流入で職が奪われている」との不満やEUの規制に拘束される事への反発などが背景。EUから加盟国が抜けるのは初めてで経済規模で2位、そして世界の金融センター、シティーを擁する英国の離脱は、経済のみならず政治的に大きな打撃。
来年に大統領選を控えるフランスなどでは反EUの右派政党が勢いた。英国のメイ首相は、来年3月までにEUに離脱を通告し、交渉を開始する方針。労働移民制限はできないものの、EU単一市場からは出ずに自由貿易の恩恵を受けられる形態か、単一市場から離脱し移民制限を徹底する選択肢が検討されている。離脱後の関係は交渉の結果次第で大きく異なりそうだ。
またアメリカでは、米共和党のドナルド・トランプ氏が11月8日投開票の大統領選で、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官を破る番狂わせを演じた。排外的主張を掲げ、暴言も辞さない実業家のトランプ氏は、既存政治への不満を吸い上げて「トランプ現象」を巻き起こし、ポピュリズム「大衆迎合主義」の台頭を印象付けた。トランプ氏は、メキシコ国境への壁の建設を柱とする不法移民対策を唱えた。
更に、在日米軍の駐留経費の全額負担を求める考えも表明。就任初日に実行する政策として環太平洋連携協定「TPP」からの離脱を挙げた。その後も「一つの中国」政策に縛られる必要はないと述べ、台湾の蔡英文総統と電話会談するなど、型破りな言動を続けており、米国の動向をめぐり不透明感が深まっている。こうして、2016年が終わり2017年を迎えた。