15話:不景気の連鎖と猛暑、北海道へ
景気対策の効果もあり、米国経済は7ー9月期にプラス成長に回復した。オバマ大統領は、景気対策を通じて2年間で350万人以上の雇用維持・創出を目指すとしたが、11月の失業率は10%と、高止まりしたまま。二番底懸念がくすぶる中、経済の約70%を占める個人消費を中心とした本格的な景気回復への道のりは依然として厳しく長いと考えられた。
追い打ちをかけるように、この年、メキシコや米国で豚に由来する新型インフルエンザが発生、多くの死者を含む感染者が出ていることが4月に明らかになった。感染は瞬く間に世界中に拡大した。世界保健機関「WHO」は同月末、新型インフルエンザに対する6段階の警戒レベルを「フェーズ3」から「4」「5」に立て続けに引き上げた・
6月11日には世界的な大流行「パンデミック」を意味する「フェーズ6」を宣言した。WHOの発表によれば、11月29日時点での世界全体の累計死者数は8768人。これには、佐野夫妻も驚き、12月に箱根と熱海に2泊3日の温泉旅行に行った。そこで、熱海の来宮神社で、景気回復を祈願し、大楠の木の周りを、祈りを込め、ゆっくりと、景気回復を念じながら回った。そして2010年を迎えた。
日本航空が2010年1月19日、会社更生法の適用を東京地裁に申請、経営破綻した。負債額は約2兆3000億円と事業会社では過去最大。京セラ創業者の稲盛和夫氏を会長に迎え、政府が出資する企業再生支援機構の下で再建を目指している。事業規模を3分の2に圧縮するとし、内外45路線からの撤退やグループで約1万6000人の人員削減など抜本改革に着手。
パイロットや客室乗務員の退職数は目標に届かず最大200人を整理解雇。更生計画は債権放棄に応じた銀行団などの合意を得て11月末に確定。支援機構は公的資金3500億円を出資。11年3月末に更生手続きを終結し、12年中の再上場を目指す。欧州16カ国で構成されるユーロ圏では、財政赤字急拡大に見舞われたギリシャが5月、アイルランドも11月に欧州連合や国際通貨基金などの緊急融資を仰いだ。
その後も信用不安はぬぐえず、ポルトガルなど南欧諸国への波及が懸念された。金融危機をきっかけに財政が悪化した一部ユーロ圏諸国では、国債利回りが急上昇。中でも、財政赤字統計の大幅修正を繰り返したギリシャと、銀行危機に陥ったアイルランドが市場の信頼を失い、支援要請に追い込まれた。危機への対応をめぐり各国の足並みの乱れも明らかになり、欧州単一通貨ユーロは円や米ドルなど主要通貨に対して急落した。
それに加え、この年も日本列島は梅雨明け以降、広い範囲で猛暑に襲われた。7月22日に岐阜県多治見市で最高気温となる39.4度を観測し、8月の平均気温はほぼ全国で戦後最高を記録。6-8月の平均気温も平年より1.64度高く、統計を始めて以降で最高。熱中症により高齢者ら多数が死亡した。
総務省消防庁によると7-9月の3カ月間に熱中症のために救急車で病院に運ばれた人は5万3843人と前年の4.2倍。気象庁の異常気象分析検討会は「30年に1回の異常気象」と指摘。北半球中緯度の気温がエルニーニョ現象に続くラニーニャ現象で上昇したところに、勢力の強い太平洋高気圧の影響を受けたのが主因と発表した。この予報を聞き、佐野達夫は、夏休み北海道旅行を企画した。
今年は、8月10日から2週間、北海道で一番涼しいと言われている都市、釧路を中心に長期滞在を考えた。そして、ハイエースの乗って新潟からカーフェリーで新潟から小樽港へ行くルートを選択した。8月10日、朝5時に、横浜を出て16号線を北上し鶴ヶ島インターチェンジから関越自動車道に入った。その後、赤城山パーキングエリアで朝食を食べトイレ休憩を取った。
その後、越後川口パーキングエリアで、時間調整の休憩を取った。そして10時に新潟に入り、飲み物、食べ物、お菓子などを買い込んで、11時に新潟港のフェリー乗り場に入り、12時、新潟発のフェリーに車を入れてた。その後、和室と洋室の2室を借りて部屋に入った。それ以降は、ラジオを聞いたり、甲板を歩いたりして、時間を過ごし、買ってきた食料品を食べた。