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1話:佐野達夫と黒田智子は算盤が得意

 佐野達夫は1964年11月生、妹の佐野菊代1966年12月生の2人兄弟で、黒田智子は、1965年1月生で、兄、黒田光彦1960年11月生の2人兄弟。橫浜西部のいずみ野の古い農家の集落に生まれた。近くに親戚もあり助け合って生きていた。山里で田んぼと里山の自然に恵まれて山菜、キノコ、タケノコなど食べられる野草も多く、どじょうもとれた。


 春には里山に多くのタケノコが、夏に自然薯、秋に多くのキノコがとれた。しかし丘陵地が多く宅地造成には不向きな場所で開発が遅れ新興住宅街はできずに、多くの人口をかかえる橫浜の野菜、果物、米の供給基地。佐野達夫の父、佐野良介は、上飯田で、地元と歴史ある自治会の自治会長を長い間をして佐野商店を経営して食料品、お菓子、洋服、電化製品など多くの商品を取り扱っていた。


そして小型トラックで、依頼された品物を届けたりしていた。そのため佐野家は、富豪とまでは行かないが比較的、良い生活をしていた。一方の黒田家は、下飯田で黒田商店として雑貨屋商売をしていた。この辺の農家は、まばらで、商売は、客から電話入り家まで届けた。そのため黒田家でも小型トラックで注文を受けた商品を注文先の農家に届けることが多かった。


 しかし、家庭電化製品、農機具、トラクター、自転車、原付バイク、自動車、電球、ヒューズ、電化製品の簡単な修理の要請が多かった。そのため修理の知識が必要であり、商店の若手で器用な若者が自分の得意な分野の製品の簡単な修理、部品交換をして儲けていた。また、売れ残った野菜、果物などの農産品の加工商品を古くから販売して好評を博していた。


 それというのは、形が悪い桃、なし、リンゴ、ミカン、イチゴ、さつまいも、ジャガイモ、葉物を超安値で大量に農家から買い取って、ジュース、キャンデー、缶詰、干し芋、ポテトフライに加工して、売っていた。実は、その利益率が、最も高く、儲かったので、その後、自分の所で食堂まで始めた。そうなると餅、蕎麦、ラーメン、カレーライス、親子丼なども販売しだした、


 そのために商店では、多くの若者を納屋を改造した大きな家をいくつもの部屋に間仕切り、学生寮のようにして地方からの働き手も集めるようになっていた。こう考えると佐野家と黒田家は、ライバル関係のように映るが、決して、そう言う事はなかった。むしろ情報を交換してお互いに、売れ筋商品の時代の流れ、流行を教え合った。


 戦後の始めの頃は、物不足で、お互いの補完していた。そして、自分の地域の上飯田と下飯田は、離れていた。また、商店の数は少なく、その地域の居住者にとっては、役立つ存在で、むしろ頼りにされていた。特に、自転車、バイク、農業機械、電化製品の修理部品交換は、本当にありがたがられていたのであった。そして黒田智子の父の黒田浩三が自治会の副会長をしていたので佐野家と黒田家は親しかった。


 そのため佐野達夫と黒田智子は幼なじみで小さい頃から遊んでいた。2人は同学年で、地元の小学校、中学校を卒業して佐野達夫は理科、数学が得意。特にソロバン、暗算の腕前は素晴らしかった。黒田智子も計算が早く記憶力が良く、暗算と得意で佐野達夫と競い合っていた。しかし、それ程、学問に興味がなく、大学には、興味がなかった。


 黒田智子の兄、黒田光彦は、地元も名門の希望ヶ丘高校を卒業し、横浜国立大学経済学部に合格。1979年4月から電車とバスで30分かけて通い始めた。将来は、商業の道を目指そうと考えていた。一方、妹の智子は、手っ取り早く金を稼いで、新しい商売でもしたいという気持ちであり、その点では、佐野達夫も一緒で、中学時代から夢を語っていた。


 佐野も黒田も同じ中学で陸上部に入り2人とも専門は短距離。土曜日には、橫浜駅で待ち合わせて、中華街で一緒に食事をしたり、山下公園、元町のカフェでデートするのを楽しみにしていた。その後、佐野と黒田は、横浜商工高校の商業科を目指した。1980年2月の受験で2人とも合格して自宅からバスで15分で通い始めた。

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