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異世界屋さん  作者: 亜弐
第1章世界【グレイドット】
7/7

6話 魔王への一歩

随分長いこと書いてなかったですね


書き始めます

 あれから一週間が経った。

 言語習得は割と順調で俺の生い立ちのほとんどがはっきりした。


 俺は魔族と呼ばれる種族で、名前がルドラーナだと言い、名前がある魔族は強大な力を持ち王の器を持つということらしい。

 だが、俺はそれでも非力な方でほかの兄弟達が次期魔王だったらしいのだが、人間との戦争で魔王と次期魔王達が討たれ、俺はこの乳母である女性、に連れられ逃げたのだそう。


 乳母である女性には名前がないとのことで呼ぶのに不便であると考えて名前をニニャ、とした。

 それは、その女性の種族が魔族でも獣に近く、よく見ると頭に猫の耳のようなもの、鼻が人間ではなくそちらも猫のような鼻をしていること……乳母であることを含めその名前だ。

 決して、変な名前でもない。


「少し、恥ずかしいけどな……」


「何かおっしゃいましたか?ルナ様」


「いや、なんでもない。思った以上に現状が理解でき始めてきたってだけ」


 石をたたきながらそう言う。

 また、打製石器作りのほかにもあの怪生物はゴブリン、というらしいこともわかった。

 そして、その肉が食用に向かず、ゴムを食った方が恐らくマシであることもわかった。


「わからないことだらけの物が、わかってくると面白くなる、そんな感じだな、今は」


 今、そのゴブリンの集落も発見し、大人を皆殺し、子供は教育し労働力にするという方針が決まった。

 勿論今の俺たちではゴブリンの集落へ殴り込みをかけても無駄死にで終わり……だが、集落の中でもやはり狩猟や採取、見回りなどの最低限の知識はあるようで、それを利用する。


 今はその前段階といったところだ。

 まずは奴等の粘性の高い血液で一度切れば使えなくなってしまうことを考慮して20程の石器。

 そして木々の中でも毒性のない葉を集め、それを服代わりに。

 また、枝の先端を尖らせて木の槍も作っておく。



 準備は万全。

  決行は夜、視界が悪く木々が邪魔して足元も覚束ない、前世なら、だが。


 今の俺は夜目が効くからかはっきりと見える。

 それでいてゴブリンが夜目が効かず松明を作り徘徊しているのも確認済み。

 であればゴブリンを誘き出し1匹1匹丁寧に静かに殺す。


 今出来ることはこれだけだが、あると無いとでは大きな差が出来る。

 それにゴブリンはすぐに数を増やすそうで、あまり長く時間をかけるわけにもいかない。


 手っ取り早く子供ゴブリンの檻を洞窟の最奥に作り、4匹までなら使うことができる。

 俺と同じように言語、その次にはモノづくり、と発展していきながら戦力の確保と生活面での確保が急務だ。


「大丈夫ですよ、ルナ様。あの集落にはメイジも、ファイターも、上位職が居ないんですから……」


「ああ、そう言うが準備はしすぎても問題はないんだ。しておいて損はないなら今はなんでもするべきだよ」


 そして主食となった果実、ルビの実を食べ、服を着て集落付近まで歩いていく。

 幸い、拠点の洞窟からも遠くなく、ほかの生物のテリトリーであるということもない。

 絶好の侵略地だ。


「……行くぞ」


「はい」


 静かに、それでいて一匹ずつ消していく。

 奴等は集落にオスしかいない生物で、どこからか捕えてきた他種族のメスを利用して繁殖する生体で、そのメスを孕み肉というらしい。

 食に困れば食い、数に困れば増やさせる、という実に名の通り単純で大いに結構ではないか。


 だからこそ、奴らにとってはニニャが最大の罠になる訳だ。


 まぁ、その前に最低限外に出ている奴等を一匹ずつ片さなきゃいけないんだけどな……


 木々に隠れ、奴らがいつも通っているおかげでできた道の脇で待つ。

 そして通ったところを……


「ッ!?」


 口を抑え、首を切る。

 ブジャっと流れ出る粘性の血をかからないように、また脇へと戻る。

 その繰り返しで5匹ほどを狩った。


「よし、頼むぞニニャ」


「はい、お任せください」


 ニニャがゴブリンの集落前まで姿を現す。

 そしてそれを見つけたゴブリン数匹が「ギャアギャア」と騒ぎながらニャニャを追いかける。

 だが奴等もただバカな訳ではない。

 斥候が帰ってこない内に集落を空にするわけにはいかない為、3匹だけしかついてこない。


「上々だ」


「ギッ!?」


 そうしてやってきたゴブリンの首を狙い木の槍を突き刺す。

 後続は闇夜でも仲間の悲鳴のせいで足を止めてしまうが、それでもニニャを後ろにやることはできた。

 後は、驚き戸惑っているゴブリンをじっくりと嬲るだけの簡単な作業だ。

 だが、それでも油断すれば一瞬で今の俺は殺されるだろうことを考えると、慎重にならざるを得ない。


「ギッィ!?」


 最後の追ってきたゴブリンを殺す。

 体格が今の俺と同じ、大体子供の体格。

 心臓や脳、というよりも人の形をしているのであれば、ある程度似通ったところに重要な臓器があることは解剖せずとも予測でなんとかなる。


 だが、獣や大きな体格を持つ敵は知っていても殺せないし、もし違ったらどうしようもない。

 枝の先端を尖らせそれを喉に突き刺す、それだけでも殺せるならばそれに越したことはない。


 そしてまた次と集落に兵力が無くなるまで同じことを繰り返す。

 幸いニニャは鼻も夜目も、耳も良く、狩りには最適な素質を持っていると言える。


 俺一人ではどうしようもなかっただろうし、未だ力の

 扱い方すらわからない。

 子供ながら鍛えた大人と同程度の物理的な力を出せる、そのぐらいだ。

 というより、こんな非常識的世界であればそのぐらいは欲しかったので、助かるところだ。


「ニニャ、残りの敵数は」


「恐らく捕まえた雌とまぐわっているのが3匹、他1匹が集落に」


「上々だな」


 交尾中の生物は基本的に警戒心を解く。

 油断は禁物だが、戦力として数える必要はない。


「というより、本当に交尾食う寝るヤルの3大欲求に従った生き物なんだな、ゴブリンって」


「はい、恐らく死にながら交尾するとかなんとか言われてますから」


 猿もびっくりな生態だ。

 やはりこう簡単に狩られることや、頭に小さく生えた角のようなものが影響しているのだろうか。

 まぁこれが終わればゴブリンを解剖して、その後一応食肉として、燻製肉や罠にも使える。


 ニニャが仕留めた1匹のゴブリンの肉は確かに食えた物でもなかったし、感染症や寄生虫の恐れもある。

 だが、そういってタンパク質を摂らないというとまた違った弊害が出てしまう。

 背に腹は代えられない。


「よし、行くぞ」


 ニニャが四足で走り出し咥えた石器で、驚いて動きが止まっているゴブリンの首を音も無く切り裂く。

 その次に捕まっている人間らしき雌部屋へと向かって武器も持っていないゴブリン3匹を仕留める。


「なんだ、呆気なかった......というよりはニニャが強かったか」


 捕らえられた雌、もとい女性は恐らく15歳程の少女。

 虚ろな顔で、それでも俺達を認識し、生を諦めているかのように笑っている。


「彼女は人間ですね。殺しますか?」


 さらっと話が通じる相手を殺すという選択肢に少し驚くが、それでも貴重な存在だ、無くすのは惜しい。


「いや、何か使い所がある筈だ。あまり無ければ孕み袋として再利用するから大丈夫だよ」


 死んだらこの世界の人間の解剖をしなくてはならないのだが、それまでに利用価値が充分ある。

 残念ながら人間の言葉と魔族の言葉は違うらしく何を言っているかはわからないが、何かをぼそぼそと言っている。


「あー、なんだ。私の言葉がわかるかはわからないが......すまない、望み通りにはしてあげられない。君は戦利品だ、情報の為モノとして扱う」


 人間の言葉を理解する為、他の人間の強さ、まぁそんなところか、理想的な利用価値と言えば。


「ルナ様、奥にまだ産まれて間もないゴブリンの幼体が2匹、子供が2体居ますが、いかがいたしますか?」


「幼体がいるのか......そういえば幼体ってどのくらいで成熟しきるんだ?」


「300夜程もすれば成熟しきります。恐らく子供の方はまだ産まれてから13夜かと」


 この世界では1日2日ではないし、確りとした年数表示が無い。

 人間側にはあるかもしれないが、大体夜が来て明けるのを1夜と言う。

 週間はない為そのまま何百夜なんて言うそうだ。


 ......一々数えるのも面倒だし、表舞台に立つ前にしっかりとした教育や設備も整えなくてはいけないようだ。


「そうか、子供の方は俺たちに敵意を向けてくるんだろう?しかも言語も通じないときた。捕らえても寝ている最中に殺される可能性すらあるし、幼体が居るなら丁度いいし殺して構わないよ」


 幼体のまま連れ帰り俺達を親だと認識させ、来年頃にはその2匹が捕らえた女を犯せばいい。

 そうすれば2年後にはまた数を増やしていける。


「かしこまりました」


 そのまま石器を持って部屋を出ていく。


「......さて」


 これからどうしようか。

 まずは魔王として、自らの強化は欠かせないが、それと並行して出来ることが多過ぎる。


 この集落は後々に利用させてもらうが、現段階ではそれ程の利便性はない。

 だが石器を結び付けて槍に利用していたり、捕らえた人間の武器(折れた杖とかだが)もあるから荷物を移さなくてはいけない。


 何回か往復する必要もあるし、往復の度周囲への警戒をするのは誰だって疲れるものだ。

 だが、それでも現段階でわかっている適性体はいない。


「明日が楽しみになってきたな」


 ......しかし異世界とやらが、ここまで簡単な訳がない。

 それでもまずまずの楽しさで、退屈はしない。


 俺が求めていたのは、こういう常にヒリついて生と死を感じる場所だったのかもしれない。


「傭兵にでもなればよかったのかもしれないな」


 現世の未練をここで晴らす為、後の魔王が動き出す。

 ただ自分の為に、ただ楽しむ為だけに。

わかる通り魔王サイドは相当グロというか、現実的な視点から異世界を歩きます。

大体魔王サイドは魔王って単語をタイトルに使う予定なので無理だなって思ったら避けることをオススメします。

内容は勇者のだけ見ても面白いように作りたいですね

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