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異世界屋さん  作者: 亜弐
第1章世界【グレイドット】
5/7

4話 もう一人の主役

次の導入部分です

短めですね

 挫折・貧困・苦労……他にもいろいろあるだろう、現代社会の闇というものそれら全てとは無関係で生きてきた。

 生まれた時から勝ち組、何をやっても成功以外したことがない。


 食べたいものは好きに食べれるし生まれて未だ24だが既にそれなりの立場の職に就いてもちろん当然のように業績はトップ。


 そう、俺は生まれてから敗北者になったことがない最高最強の勝ち組だ。


 だからだろうか?高校生になった時には既に心には大きな穴が開いていた。

 何をしてもその穴は埋まることがない。


 退屈だ……


「そんな貴方にとっておきのもの?がございます」


 ふと、そんな声がした。

 気のせいだと辺りを見回してみると細い路地に繋がるだろう道、その奥に明らかにこちらを見る目があった。


 怪しさはあった、十分に警戒するべき相手だと、そう思える。

 だが、俺はその言葉を何故か信じてしまう、信じたいと思ってしまう。


「どこの者だ?」


「私は異世界屋というものをやらしていただいています。怪しいものではございませんよ?」


「……」


 いや、十分怪しいだろう。なんだ異世界屋って……ふざけているにも程があるのではないか?


「いえいえ、ふざけてなんていませんよ。至って真面目、それだけが取り柄の商売ですから」


「……心を読んでいるのか?まぁいい、こんな非現実的なこと、夢に決まっている。俺にもストレスという、こういう非現実的な夢を見るとはな、中々に面白いが」


「なるほど、夢にしましたか。いえいえ、それはそれで間違いではないですが……いかがいたしますか?」


「いいだろう、俺に何を売ろうというのだ?異世界とやらの特産品でも売ろうというのか?」


 財布を取り出し、さぞ面白い商品を取り出してくるのだろうと思いながら、期待していると、異世界屋とやらは「いえいえ」と否定し取り出したのは一枚の書類のみだった。


「私の商売は今いるこの世界のお客様を、お望みの異世界へ転生転移させるという力になります。勿論お代はいただきません。強いて言うなればお代は異世界でのあなたの大切なものをお一つということになります。そしてこの現代には影響はございませんので、ただ貴方が夢見た主人公としての……」


「いや、仮に異世界に渡ったとして俺は主人公にはなりたくないんだが……できれば主人公の相手、敵役がいい。環境は最悪、それで最も不得意な戦いで、だ。私の今持っている力でどれだけ通用するかどうかが気にもなるし、軍団を率いた場合俺が、どこまでいけるのか気になるじゃないか」


「なるほど……」


 と頷きながら少し頭をひねっている異世界屋とやらに、もう一言。


「俺をほかの異世界に飛んだやつの世界へと飛ばせれないか?」


 出来るならば、敵である主人公とは同郷のやつがいい。それでこそただ単につまらない異世界人とのいざこざだけではなくドラマ性をも出せるはずだ。


「うーん……本来であれば異世界は一人一つに絞っているんですが……まぁいいでしょう。その世界に準じたあなたの役割もできるでしょうしね……」


「では可能なんだな?」


「ええ、その際には貴方の大切なものをいただくことは不可能になるかもしれませんからねぇどうしたものでしょうか……」


 さらに頭をひねっている異世界屋。だが、突然「そうだ!」と言い出し……


「戦いのエネルギーをいただきましょう。そうすれば大切なものとまではいきませんが十分な報酬になるでしょうし、私も二人からはエネルギーと大切なもので十分収支は取れますし、何よりあなたが行く世界は剣と魔法の簡単な異世界ですから、戦いのエネルギーは相当量です」


「戦いのエネルギー、だかで納得してくれたのか、なら話は早い。夢だからといって俺の時間は他の者どもよりも価値が違うんだ、早くしてくれ」


「ええぇ……うーん、本来ならここで各種簡単な説明にはいるんですが……」


「いらん。最低保証として生きてこの世界に帰ってこれるか来れないかを死後に確認してくれればそれでいい。言語も向こうで適当に過ごして覚える」


「わかりました」と一言いい、異世界屋がそれまでの人としての物ではなくなるように感じる。

 ……単純な言葉にするならば、そう「神」だ。


「では、準備が整いました。貴方に素晴らしい異世界ライフを……」


 そういうと、俺の意識は途絶える。


 人生をその素晴らしい能力でイージーモードにしてしまった俺「西園寺 成之」のハードモードが始まることを期待しながら、異世界屋というものが本当であったことを喜びながら、夢から覚める。


 最初のこの時、俺はこの選択をして正解だったと、胸を張って言えるだろう。

 現世よりも、何倍も楽しかった、素晴らしかったと。

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