3話 坂本宗司の世界②
短いです。
お久しぶりです……忙しくなんか書けていませんでした
忙しいのにツイッターはやってます
異世界へと転生して数年が経った。
歳もこの異世界では半大人といわれる15歳になった。
この世界は元居た世界に似ていて、四季や月(2つあるのだが)。
氷の大地や砂の大地等行ってしまえば北極や砂漠があったり……他にもわかったことがたくさんある。
例えば、魔法が存在している世界であっても、科学技術を研究する勢力がおり、電気を使った発明品があるのだとか。
船は魔法で動かす魔法船というものと普通に帆を張り進む帆船がある。
このことから魔法に適正がある人は意外とこのには世界少ないようで、生活様式に魔法を組み込んでいる家はそれなりにお金を持っていて生活には困らないような位の立場であるということだ。
もちろんそれは魔法以外でもそのようで、剣術等の武術を学ぶ立場には農民等は入れないという。
せっかくの異世界転生だというのに、そういう支配階級じゃないがそういった現実はなんか悲しさを覚えてしまう。
「夢がねえよなぁ……」
例えば、これで俺が農民の出で、それで初めて剣を持ったのに大きな魔物を倒したりする、そんな英雄譚の主人公になれたら……なんて思えばこの世界とは別の異世界にでも飛ばされていたのだろうか?
そんな夢のない異世界だが、俺はこの世界……というより今生を気に入っている。
父と母ははっきり言って英雄。そんな英雄の元に生まれた俺だが、過度な期待を背負わされている訳でも、過度な訓練がある訳ではない。
暖かい、いい家庭に生まれ育ったものだ。
だが、そんな家族と少し離れ離れにならなければならない時というのは、異世界でも同じだ。
半大人になった子供達は一度冒険をするのだという。
もちろん、それをしない人もいるのだが、やはり冒険やそういった異世界の醍醐味を期待して転生したのだ、しなければ罪というものだろう。
そうして、両親に頼み込んで1年程の冒険を楽しむことにしたのだ。
「魔物とか……出てこないかなぁ」
父からもらった剣と、母からもらった杖を見ながら街道を歩く。
もちろんこの世界は現在、平和だがもちろん魔物もまだ生息はしている。
何年も家で過ごし、その間魔法と剣術武術は一通り修めた。
恐らく、この世界での同い年達では俺は最強なのかもしれない……自惚れではないと思いたいのだが。
「しかし平和だな。街道とか町からも結構離れてるはずなのに獣道ってのが一切ないぞ……なんなら舗装までされてるし」
今自分がいて生まれ育った国はダルニア王国。高い城壁に囲まれ、国境には幾つもの砦が連なり、元居た世界で例えるなら万里の長城だ。
そんな国であれば、平和なのも頷けるというものだ……しかも、魔物を統べる魔族の王、魔王も討たれたというのだから、殊更世界は平和なのだ。
人間同士の争いも各国の魔王討伐の前に条約を定めているので起きるはずもないという。
少々平和ボケしているのではないかと思うが、未だ各国は各地の復興で忙しく、平和といってもその爪痕は確りと残っているのだから、そんな人同士の争いで労力を割けないのだろう。
俺がまだ3歳の頃から復興は続いていたのだから、相当酷かったんだろうことは、容易に想像がつく。
そして、俺が今行こうとしているところは、国境を越えてすぐ近くに魔物が生息する大森林がある。
そこでは低級の魔物が生息しており、騎士見習いや国境警備隊が定期的に入っては魔物を間引いているらしい。
もちろん殲滅も簡単なのだろうけど、それをしてしまうと見習いの為の訓練にならないしその森の生態系を崩すとかなんとからしい。
詳しくはわからないが、まぁそんなところだろうなと自分の中で出た答えと合致したので、なら自分も利用してしまえばいいのだから。
「お、砦が見えた」
考え事をしながら少し丘になっているところを超えてそこからは長い壁に一定間隔で門とその兵士達が寝泊まりする用の宿舎が見えた。
……現代じゃあ絶対見えない程遠いが、異世界じゃスマホもパソコンもないのだから、無駄に視力が悪くなることもない。
そして早く行きたいと逸って自分では普通に歩いているようだが体は正直と言ったところか、小走りに砦に向かう。
「通行許可書の提示を」
「あ、ああはい。どうぞ」
「ん?アロード……?あんたエスパーダさんのとこの息子さんか?」
「ええ、そうです。父はエスパーダ・アロードです」
「おお!やっぱりそうか!いやぁエスパーダさんには俺もお世話になったもんだよ。何度命を救われたか……」
兵士の中でも歳をとっている、おそらく熟年の50前半の兵士が感慨深く語り始める。
「エスパーダさんは本当にこの国の英雄だよ。あの人のおかげでこの国が平和だって言っても過言じゃねえからなぁ……息子、アンソルード君もあの人のようにきっとものすごい剣士になるんだろうなぁ」
「あははは、もちろんですよ。僕は父を超える剣士、母を超える魔法使いになりますから……」
「お!そりゃ期待するしかねえな!この先は魔物が出るから、気を付けるんだぞ!」
「ええ、ありがとうございます、お仕事、お疲れ様です」
今生の目標は父を超える剣士で母を超える魔法使い……我ながら無理難題だと思うが、それでも俺が目指した異世界転生はこうでなくちゃいけない。
それに、父と母を超えるなんて漫画じゃよくあることだったんだ、それができて初めてこの世界の主人公だって、そう思う。
そして、門をくぐり抜けて「外」の風を感じる。
また、領内とは違った冒険の風だ。ドキドキとワクワクっていうんだろうか、そんな期待の気持ちが湧いてくる。
そして、俺はこの世界で、最も重要な出会いを果たすことになる。
外に出て初めての冒険、そしてこの世界で俺が主人公になる原因という出会い……
今はまだ、そんな大事になるなんて思いもしなかったのだから。