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鴨が鍋に入ってやって来た  作者: さわZ
カモの原作乖離、あぶり焼き
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第三話 没案では彼女を簀巻きにしていた。

モカ領。そこは農耕で成り立つ領地であり、そこの風景はのどかというか牧歌的な領地。そんなのどかな雰囲気とは正反対に荒れていたのは、次期領主であるクー。

クーは激怒した。

どれもこれも全て領主であり、実父でもあるギネが原因だ。

王都でカモ君を貶めようとしているという報せを受けたから。いや、カモ君がモカ領から追い立てられた時から憤っていたが、王都まで追いかけて害を成そうとした。

ダンジョン攻略後の監視も怠り、自身の怠慢を棚に上げながら、逆ギレを起こし、兄を追いたてたギネに対してクーは怒りしか浮かばなかった。

領主がいない間。二つのダンジョンの同時発生という異常事態解決後の支援に対して何の対策もせずに領地を飛び出したギネの代わりに幼いクーと衛兵長が出張る事になり、書類整理にはメイド長のルーシーと執事のプッチスに手伝わせながら幼い領主に判を押させるという所業に従者達、衛兵長は心苦しそうにしていた。

ギネの妻であるレナはというとカモ君がギネに拳を振るったという報せを受けて倒れこんだ。気分が落ち着いたらカモ君と話そうとしたが、ダンジョン攻略という荒事にはほとんど関与することが出来ない彼女は、ダンジョンが攻略された後に話そうとしたらカモ君を追放&犯罪者として追いかけたギネを見て再び倒れこんだ。

レナは基本的にギネのイエスマンだ。彼が言う事には大体付き従う。息子娘がいたぶられようと黙って事が収まるのを耐えるしかない。そんなレナはふさぎ込み、クーが領地の管理を行うことになっても自室にこもった。

ギネが飛び出して一週間。王都の人間が厳選した人材が送られてくるまでクーが執務に追われていた事も知らなかった彼女は未だに部屋にこもっていた。

そしてつい先日、王都の命令でモカ領に早馬に乗って派遣された人間。それはクー達とも少しだけ縁のある人間だった。

今現在、クーは執務から解放されてその手伝いをしているレベルに落ち着いたが、それでも子供らしい生活は送れていなかった。


「クー君。落ち着きたまえ。エミール君とコーテは早ければ今日。遅くても明日にはこの領に戻って来るよ」


「…ローアさん。すいません」


「心配することは無いさ。その為に私が来たのだから」


クーに話しかけてきたのは薄緑色の髪の頭を刈り上げたアスリート然の出で立ちをしていた青年だった。

ハント領の次期領主であり、コーテの異母兄のローア。ハント領の次期領主である彼が何故来ているのかと言えば、いわば練習のようなものだ。

ハント領での執務に就く前にモカ領で経験を積めというものだ。

王都にも初等部卒業するまでに必要な学問を収めた彼は専門的な魔法の学問を収めることは選ばず、領地に戻り、父であるグンキの手伝いをしながら領主になる為に努力していた。

そんなローアの元に王都からの勅令が下る。

グンキから家督を継ぐか次期モカ領領主が成人するまで代理領主を務めるようにとの報せだ。

これは王族がカモ君兄妹に恩を売る為でもあり、カモ君をコーテに。ハント領。リーラン王国に縛り付ける為の借りを作る為でもある。

義理の息子になる予定のカモ君に恩を売るのもやぶさかでもないと考えたグンキはローアを送り出した。ローア自身も義弟になるカモ君の事を快く思っていたので喜んでモカ領にやって来た。

そんな彼がモカ領にやってきて思った事は領内のダンジョン対策があまり進んでいない事へのショックだった。

農耕領地というのんびりした風土だから、ギルドの使用回数は少ないとはいえ、そのギルドが領地内に無い事にめまいを覚えるくらいだ。

何代か前のモカ領領主が冒険者は野蛮で魔法使いの自分達と並ぶにはふさわしくないものだと追い出したらしい。

その上、その代わりに駐屯兵を王都から呼び込むまではいいが、彼等の福利厚生が最低限より少しましという状態だ。文句が出るか出ないかのギリギリのラインまで切り詰めていた状態。

ダンジョンは田舎領地でも年に一、二回発生する危険事態であるにもかかわらず、駐屯兵だけで戦わせていた。しかも強力な解決策でもある魔法使いの自分達は参加しないという堕落ぶり。

カモ君が私欲にまみれていたとはいえ、冒険者ギルドの再設置や駐屯兵の待遇改善が行われていたが、どれも叶わないまでも、駐屯兵への待遇は少しだけよくなった。それでもローアから見ればまだ少なすぎると感じるほど荒れ放題だった。

モカ領領主であるギネが鉱山送りと聞いた時は信じられなかったが、この状態を見れば納得だ。

就任初日にしてローアは王都に冒険者ギルドの再設置を要請した。設置費用・維持費などはモカ領の税金で払われるのだが、ギネがカモ君を追い詰める為にその税金の大半を冒険者のゴンメの契約金に使ったためあまり残っていなかった。

無い袖は振れない。まだ七歳。もうすぐ八歳を迎えるクーに伝えるのは心苦しいが借金という形でモカ領はハント領にギルド支所の設置費用を出してもらった。

この金額はモカ領の税収五年分になる。はっきり言ってスタート地点でマイナスを振り切っているクーだが、これもギネの息子という宿命だと思い了承した。

従者達にもこの事はよく相談したが、今後ダンジョン発生といった緊急事態に対応するためと思えば仕方のない事だった。この日からモカ領の食事からオカズが一品減る事になる。

それから三日もしないうちにカモ君達が重大な知らせを持って戻ってくると言う報せを聴いたクーは喜んだ。

何を知らされるか分からないが尊敬する兄と好印象を持つ未来の義姉がやってくることを素直に喜んだクーは妹のルーナと従者達にも伝えた。彼等は喜び、二人を歓迎する準備を今も行っている最中だ。

ローアもそれを微笑ましく見ていたが重大な知らせとは何なのかと不安を感じていた。

はっきり言ってモカ領は借金苦だ。これ以上貧しくさせては領内から餓死者が出てしまう。リーラン王国では浮浪者やならず者といった職無し・親無しといった事情を除けば滅多な事では餓死者を出さない非常に肥沃な土地であり、国ではあるが、モカ領ではその餓死者が出てもおかしくないほどの財政難でもある。

領民に重税を課すわけにもいかない。そんな事をすれば領民は他領に逃げることになり、税収は減る。財政がさらに苦しくなるスパイラルに陥る。

出来る事ならば義弟と妹が持ってくる情報が良い情報であることを願うローア。そんな彼が見た物とは。




無理矢理寝かしつけられた妹に子守唄を謳いながら空飛ぶベッドに乗ってやって来たカモ君の姿であった。


「え?なに?空を飛ぶベッド?軍事機密?侯爵家からの借りもの?何でコーテは寝かしつけられているの?」


「(性的に)縛られそうだったんで眠ってもらう事にしました」


カモ君から道中の事を知らされたローアは金銭面以外の事でも悩まなければならないのかと頭を抱えるのであった。


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