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鴨が鍋に入ってやって来た  作者: さわZ
カモ肉のサイキョー風御前料理
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第四話 潜伏、待ち伏せ、不意打ち。これで戦いの大体の事はどうにかなる。

武闘大会前日。

王都中心部から東寄りに設置された特設ステージ。武闘大会会場にもなる東京ドームにも似た施設の前には多くの人だかりがあった。民間人。魔法使い。冒険者など様々な職種の人達が集まり、先程張り出された広告を誰もが眺めていた。

シュージは武闘大会が行われる特設ステージに繋がる門の前に張り出された広告に目を通す。

彼は実家であるツヤ伯爵領には戻らず、学生寮に残る事にした。理由は二つある。一つは強くなるために学園にある施設。特に図書館に通ってモンスターや魔法の知識。この国の精度と歴史を学んでいた。

もう一つは友人であるカモ君の詳細を知るためだ。夏休み前に彼の姿を見なくなってからしばらくしたらモカ領を追われているという噂を聞いて驚いたのだ。

自分の家の領地がピンチなので駆け付けた。解決した。までなら理解できるが、追われる身になるとは合点が行かない。気になって学年担任に話してみたが、個人的な事なので言えないとの事。

確かに自分は平民であり、カモ君は貴族。そして貴族間での揉め事に自分が首をつっこめるはずもなく、また突っ込めたとして何かできるわけでもない。と、まごついていたところで解決案を出したのはなんと幼馴染のキィだった。

その解決案とは、武闘大会に出て上位入賞し、王族の助けを請う事である。

金銭に目が眩みやすいキィはカモ君と同じ転生者だ。だからこそ焦っていた。

踏み台となるカモ君がいなければ自分達は強くなれない。特にキィは失敗が続いていたので強くなれたという実感が湧かないでいた。そんな時に聞いたカモ君追放の報せ。

カモ君を何度も打ち倒してレベルアップしなければ自分達に未来は無い。さすがに今回ばかりはキィも採算度外視でシュージに協力することにした。

しかし、自分達に出来ることは武闘大会まで準備を整えることぐらいしかなかった。

試合に出るのはもちろんシュージだ。自分達のステータスを見比べて全体的にシュージの方がキィを上回っている。それに彼の得意な火魔法をアップさせることが出来るマジックアイテムもある。

出来る事ならキィも参加したかったが、自分達の財政力では一人参加が精一杯だった。

これもキィがコノ伯爵領でのダンジョンでミスをやらなければと悔やまれる。

夏休み入ってからは学園に在沖している教師に頭を下げて魔法の訓練をつけてもらっているが、座学が主で実践的な事を教えてくれるのは冒険者である臨時教師のアイムくらいだった。

そのアイムから聞いた話だと武闘大会とあって、名のある冒険者や魔法使いが集まるこの大会では予選を勝ち抜く事すら難しいと言われている。キィはというと、そこは主人公パワーでどうにかなるでしょと考えていたがシュージはそうとは考えていなかった。

何せ、凄腕の冒険者のアイムが其処まで言うのだ。決して簡単な物じゃない。それに王族が観戦に来るのだ。低レベルな戦いを見せるわけにもいかない。開催者にもその自覚があるだろう。きっと予選で厳しいふるいにかけられるだろう。そこは苛烈極まりないものになる。

大会に出ることをアイムに話したシュージは大会前日まで特訓に付き合ってもらう事を願い出た。

アイムもまた、シュージやキィがカモ君をそこまで思っての事だ。彼自身もカモ君の事を好意的に思っていたので特訓に付き合った。しかし、今まで特訓に付き合った彼だからこそ分かる。

シュージはよほど運に恵まれなければ予選を突破できない。その予選内容が今日発表された。

参加者が八グループに分かれ、その一グループ全体でのバトルロワイヤル。大会から支給される護身の札を持って戦う。戦闘不能によるダメージを負ったり、致命傷を負うと試合の舞台から強制転移させられる。勝ち残った一名のみが本戦へ進める形になる。

シュージは運に恵まれた。彼の攻撃魔法は強力な広範囲攻撃を行う事が出来る多数対一の戦いに効果的なのだ。

奇しくもシュージが初めて受けた決闘と同じルールになった事もあってシュージの気合がより一層と高まった。

そんなシュージは対照的に民衆に混ざっているなりきり忍者セットという着物姿のカモ君には気が付かないでいた。まあ、ジャミング効果のあるこの服を着ているカモ君に気づけと言うのも無理があるが。

好戦的な心持ちをしているシュージに対してカモ君はというと、


バトルロワイヤルの乱戦状態ならこの前逃げたように強い光を出して、物陰に隠れて潜伏。残り一人になったところを不意打ちすれば勝てるだろう。と、なればウールジャケットより今着ているなりきりセットの方がいいか?


姿をくらませて、不意打ち、漁夫の利を狙うなどおおよそ主人公とは思えぬ姑息な戦法を思いついたカモ君はそのまま人の目を避けるようにその場を去るのであった。


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