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鴨が鍋に入ってやって来た  作者: さわZ
カモの頬肉の叩き揚げ(物理)
51/205

第八話 これが主人公(疑惑)パワー

カモ君達が東のダンジョンに向かっている最中、彼の弟クーも北のダンジョンへと向かっていた。

クーは最後列で王都から来た魔法使いを隣に、戦闘を歩いているカズラを含めた冒険者数名が先頭に立ち、彼等の梅雨払いを行っていた。

カズラは今まで会ってきた冒険者の中では一番強いとカモ君から聞かされている。

確かに兄の言うようにその素早い動きと、細腕から繰り出されているとは思えないほどの膂力を持った剣の一閃でモンスター達を切り払っている。

やり方としては斥候職の冒険者が、罠が無いか。モンスターがいないかを確認してモンスターがいる場合、素早くカズラに伝えてカズラがモンスターに気づかれないうちに剣で切り払うという作業を繰り返している。その動作だけで十階層まで辿りついた。もしかしたらダンジョンコアがある。ゾンビモンスターで埋め尽くされているフロアまでこの作業の繰り返しだけで行けるかもしれない。

時折、休憩を入れてはいるが、どちらかといえば冒険者の休憩というよりも、体力がまだない子どもである自分や王都から来た魔法使いの為に休憩を入れているみたいだ。

その証拠に自分の額から汗が流れ続けている。息も少し荒くしていた。ダンジョンという閉鎖的で命の危険がある空間は二ヶ月近くいるのに未だに慣れない。

ハント領でダンジョンが発生した時に攻略に参加したカモ君について行って、ダンジョンに入らず地上で訓練していた時に比べてずっと集中力を使いプレッシャーを感じながらスタミナを削る。

カモ君はアイテム欲しさという物欲も手伝っていたためにそれほどプレッシャーも感じずに攻略に参加していた事を知らないクーは何度もダンジョンに挑んでいるカモ君を改めて尊敬していた。そして目の前にカズラを含めた冒険者達にも。

そんな彼等をどうして下に見ることが出来たのか未だにギネの事が分からない。分かるつもりもないが。

そう考えていると休憩中の冒険者の輪を抜けてきたカズラがクーの前にやってきて片膝をついて目線を合わせてこう言ってきた。


「君の妹さんの出してくれた水のおかげでこうやって休憩できるよ。ありがとね」


そう言って微笑むとカズラはクーの元から離れて再び冒険者達の所へと戻っていった。

彼女からすれば恩人であるカモ君に恩返しの一つとしてクーの梅雨払いくらいやってあげようと思っていた。その上、清潔な水を生成してくれたルーナの水の魔法には助けられたのも事実だ。

清潔な水というのは緊急事態。ダンジョン攻略といった異常事態程貴重になる。ダンジョン突入前に魔力が空になるまで魔法で水を作り上げたルーナはそれを冒険者達の持つ水筒に入れて今頃疲れて眠りに就いているだろう。

その働きにもカズラは感謝をしているとクーに伝えたかったのだろう。

カズラはカモ君に恩返しのつもりで、いつものように協力者に自分の美貌を使った感謝の言葉を述べたに過ぎない。だけど、その微笑みは現在七歳になるクーには刺激が強すぎた。

美人で中性的なその微笑み。その健康的な肉体美。活動的な髪の色。そして、カモ君が認めるほどの実力。

クーは初めて異性への意識を持った。

母親はネグレクトで、妹は保護対象のような物で、メイド長のモークスやメイドのルーシーは自分の家族みたいなもので、コーテは姉。カモ君と一緒にやって来たミカエリはまだ綺麗なお姉さんくらいにしか考えていなかった。

そんな風に考えていた所にカズラのような魅力的な女性が現れた。外見も中身もクーが意識してしまうには十分に魅力的なカズラにクーはダンジョン攻略での行進以外の動機を感じた。

休憩中も彼女から目が離せなくなったクーはそれが恋だと自覚していなかった。

そして休憩が終わり、行進が始まる。

休憩をしたのになんだか息遣いが少し荒い気がした。それなのに体には力が溢れるような妙な充実感に似た何かを感じた。

それから問題無くダンジョン攻略は進んでいき、報告のあったダンジョンコアが、ゾンビの群れとその王がうろついているフロアの手前までやって来た。

今まで出てきたモンスターや罠の解除にカズラ達、冒険者が尽力してくれたおかげでクーと王都から来た魔法使いは魔力を温存できた。ほぼ満タンの状態だ。

ここからが自分の出番だ。ゾンビ達との出合い頭に最大威力の魔法を放つ。このために冒険者達は尽力してくれたのだ。ここで応えなければ自分は、カモ君の弟を。いや、男を名乗れない。


クーはカズラに恋をした。


惚れた女の前で男を魅せる時だ。自然と体に力が漲る。

カモ君が弟妹達の為にテンションやパフォーマンス力が上がり、実力以上の事を発揮できるように、クーもまた力が、魔力が滾っていた。

この精神的な成長。昂揚感により、クーの火属性レベルが2から3に昇格した事をその場にいる誰もが気づかなかった。未だにカモ君が辿りつけないレベル3の領域に七歳のクーが足を踏み入れたのだ。

だが、王都から来た魔法使いだけは。同じ魔導を歩んでいるからこそクーの練り上げられる魔力に驚愕した。だが、冒険者達の合図で詠唱開始の合図が出る。今はクーに驚いている暇はない。

クーの詠唱する魔法はレベル3。上級魔法。一般の魔法使いが使える最高レベルの魔法を詠唱する。そして、今回の北のダンジョン攻略のリーダーを務めるカズラの合図でそれは放たれた。


「エクスプロォオオオオジョン!!」


次の瞬間。

フロアいっぱいにたむろしていたゾンビ達は人が生み出した小さな太陽に呑みこまれ、ダンジョンコアと共に爆散するのであった。


クーの潜在能力は某白い魔王少女以上。その理由はあります。

少し前まではぐれメタルス○イム的な兄貴とほぼ毎日訓練をしていたから。その時の経験値が土台になり、今のクーになります。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 字下げと改行の霊圧が…消えた…? [一言] 魔王並みに成長した弟と約束させられた勝利の模擬戦(ガチ)を続けなければならないカモ少年に合唱。
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