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鴨が鍋に入ってやって来た  作者: さわZ
カモ出汁の策謀スープ。ジャングル風味
129/205

序章 不注意にも筋肉な踏み台の恋人の髪に触れてしまった

リーラン王国にしては珍しい人の手が入っていない地帯がある。

そこは多種多様なモンスターが表れる森林地帯。混沌の森と呼ばれている場所。

シャイニング・サーガというゲームでは主人公が最後に訪れる教養の場所。

ここまで来た主人公ならエンディングも固定されている。

主人公の相棒となるキャラが二人一組のパーティーを(強制に)組んで攻略する。

それが魔法学園の人間なのか、それとも冒険者と組むのかは主人公のフラグ管理によって決まる。

そんな場所にカモ君と十数人の魔法学園関係者がいた。


そして、主人公と思われるシュージの攻略パーティーはと言うと、


シュージ・コウン。初等部一年生。男主人公。イケショタ。

カモ君。初等部一年生。踏み台男キャラ。筋肉。

ネイン・ナ・ボーチャン。中等部二年生。巨乳で金髪ドリルなTHE・お嬢様。

ウェイン・ニ・イーチャ。高等部二年生。いかにも人生楽しんでいる大学生染みた男子学生。

ギリ・ノ・モラ。高等部三年生。物静かで、大事そうに魔導書を持った根暗な文系を思わせる眼鏡をかけた男子学生。


・・・あれ?これって乳の人の逆ハーレムパーティー?


カモ君はもう一度メンバー確認をする。

魔法学園から三台の馬車で三日かけて辿り着いた混沌の森。その近くに昔から設置されていたセーフティーゾーン。モンスター除けの結界が張られたキャンプ場に自分達はいた。

そこに向かう前。

正確には出立前に魔法学園で用意してくれた馬車に乗り込んだのはここまで誘導してくれた引率の先生が三名に、身の回りの世話をしてくれる日雇いのメイドが五名。馬車の業者が六名。そしてカモ君を含めたシュージのパーティー五名といった大人数。

そのメイドの内の二名はカモ君とシュージ。それぞれ気心の知れた女学生であるキィとコーテ。二人はメイド服を身に纏っていた。

混沌の森にいる間は、生徒一人につきメイド一人がつく。

当然、カモ君にはコーテ。シュージにはキィが付いた。他の先輩達も同様だが、カモ君達のように既知の間柄ではない。


そのためか、乳の人ことネインは混沌の森に到着次第、メイドに紅茶を入れるように命令していた。

ウェインはずっと自分のお付きになるメイドをナンパしていた。

ギリ先輩は神経質そうな顔に声で予備のマントの皺取りアイロンを要求していた。


なに?この横暴貴族を絵に描いたようなメンツは?


確かにメイド達は自分達のサポートをするためにいるのだが、だからと言って自分達の雇っている従者ではない。

と、いうかだよ。なんだよ、先輩たちの名前。


それぞれ並べ替えるとボインなねーちゃんに、ウェーイ兄ちゃんに、裏切り者って…。

名を体で示しすぎだ。というかギリ先輩。あんた、裏切るんか…。

いや、そうとは限らんだろうけど、ギリ先輩は警戒するようにコーテとシュージに伝えておかないと。キィ?あいつはいいよ。だって、敵国のスパイに常夜の外套がこの森にあると仄めかしたという大罪がある。あいつがどうなろうと知ったこっちゃねえ。


そう、ここには『常夜の外套』というキーアイテムがあった。

ライツの兄を名乗っていたライナがキィと複数の女子学生と共にこの混沌の森で起こった厄介ごとを解決するアルバイト。

本来なら主人公が受ける必須イベントをライナが受けて、彼女達の目を盗んで、この森に隠されていた『常夜の外套』をゲットして、すぐに姿をくらませたのだ。

本来なら複雑に木々が生い茂ったジャングル染みたダンジョンだが、貢がれ、煽てられたキィが原作知識を生かしてスイスイとこの森の奥地へと進み、トラップや奥へと行かせないギミックや謎かけを解いて行き、『常夜の外套』がある直前のフロアまで行ってしまったのだ。


どうしてそんな事をしてしまったのか?

答えは明白。キィが金目の物目がくらんだ。

なにせライナは高レベルな魔法と剣術を扱うことが出来ており、道中に出てくる強力なモンスターを討伐して出てきたドロップアイテムや混沌の森でしか手に入らない換金アイテムである『芳醇な木の実』をキィや女子学生達に渡していった。

それによって、キィを含めた女子学生たちの信頼とご機嫌を勝ち取り、『常夜の外套』まで道案内をやらせてアルバイトをこなしていたように見せかけて、それを奪取した。


はっきりいってキィは大戦犯である。殆ど弁護のしようがない。

弁護が出来るとすれば、そんなキーアイテムなら国が宝物庫とかに保管していろよ文句をつけるだけだ。

だが、『常夜の外套』を手に入れるためには強力なモンスターを倒し、難解な謎を解き、天然のダンジョンを攻略しなければならない。力と知識を持った人間にしか手に入れることが出来ない手はずだった。

そして、キィには力と知識があった。ただ、注意力が極端に無いだけだ。この後どうなるかと考えていないのだろう。


出来る事なら、『常夜の外套』をここに保管と言う名の放置を決めた王族と持っていかれたキィをしばき倒したい。


主人公という強キャラはいるが、その強化アイテムであるシルヴァーナは折れ、四天の鎧のデータは流出、常夜の外套は奪われた。

これって、敵国のネーナ王国にも自分同様に原作知識を持った転生者がいるんじゃないかと思う。だとしたらまずい。ゲームに比べて功績は少ないが、その成長性から確実にシュージがこの世界の主人公だと敵国は気が付いている。


「…どうしたもんかなぁ」


思わず零れてしまった弱音を慌てて手を当てて抑える。

幸いなことに誰も気が付いていないようだ。

シュージはキィにドロップアイテムの皮算用を、ネインはメイドの入れた紅茶に文句をつけ、ギリはぶつぶつ何かを言いながら魔導書をめくっていた。

そしてウェインはコーテにも声をかけているところだった。コーテは無表情ながらもウェインから距離を取っていた。彼からして見ればコーテは学生ではなくただのメイドだと思っているのだろう。


止めなきゃ。


とりあえず、彼女の許可なく、その髪に触れた右手を粉砕するつもりで握って止めようと行動に出るカモ君であった。


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