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鴨が鍋に入ってやって来た  作者: さわZ
主人公の感情三色丼。カモの苦労チップス添え
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第四話 おーる ふぉお あぁん

ライツとシュージの取りの裏で。

更に言うのであれば最上階の屋根裏にいた従者Hはライツが明かりを消したと同時にその場から去ることにした。

今の彼女は闇夜に紛れる為に墨というインクとは違った黒い液体を全身に塗布して姿を隠ぺいしていた。全裸で。

服や鎧を着こんでいないので装備している物が擦れる音も生じない。全裸に近いから周りの環境に敏感である。更には墨の断熱性能もあってかライツの索敵魔法にも引っかからなかった。墨を塗っていた、全裸で。

更にはこの墨はミカエリが自分の警護をしている忍者にも融通している墨。消臭作用も高く、周りの空気といち早く同化する。訓練された犬でも発見は難しい。なぜなら余すことなく塗りたくっているから。せっかくの全裸だから。


シュージ達の足取りをいち早く発見したHはFに伝言を頼み、正規ギルド職員の目を盗んで一足先にこの裏ギルドまで辿り着いた。この時点でHはビキニアーマーを外しており、

ライツがかく乱のためにか随分と遠回りしてくれたおかげで逆に彼女たちを追いこすことが出来たHはゴキブリのように息を殺し、音を殺し、気配を殺して裏ギルドの在処を突き止め、一番上等な部屋の天井裏という一番警戒されそうなところにあえて侵入し、そこに来る重要人物の登場を待った。装備品。着ていた服や下着まで魔法で燃やし、唯一持っていた墨の入った紙パックを取り出し、偽装を完了させた。

ギルドマスターか、それなりに腕の立つ冒険者。札付きの極悪人の交わす会話からシュージ達の動向を探れればと思っていたが、来たのはシュージ達本人。

危うくシュージが引き返せない状況に陥りそうだったので、偽装で余った墨の小さな塊を窓ブチに向かってはじいた。

ちなみに彼女のダーツの腕前はミカエリの関係者の中ではビコー。カヒーに次いでの三位だ。その腕前を持って怪しまれない場所に墨を打ち込み、窓を揺らすなどお手のものだ。


そこまでやったお陰もあって有力な情報をつかめた彼女だったが、その顔つきは芳しくない。

今頃、コーテ達のいる所にはもしかしたら今の自分のように追っ手が向かっているかもしれないからだ。


「この辺りから反応が出ているぞっ!近くにいるっ!探せ!」


裏ギルドのある村から少し出た平原。膝上の高さまで生い茂った草が生い茂っただけの、しかも枯草に近いものだから腹ばいになっても隠れきれないHは範囲の網を抜けることは諦め、追っ手を一人ずつ仕留めることにした。

しかし、武器もなく、人を撃退できるほどの威力の魔法を放てばすぐに包囲される。だからこそHは慎重に包囲の輪を最短側からゆっくり円を描くように一人ずつ締め技で意識を奪っていく。

女の細腕と侮るなかれ。こう見えてもHは元凄腕の冒険者。魔法も使えるがメインは接近戦による打撃技を繰り出す女性で、中級モンスターも拳で沈めてきた猛者であった。

そんな彼女をスカウトしたのがセーテ侯爵現当主のカヒーである。


カヒーに出会った当時、冒険者だったHは調子に乗っていた。そしてあろうことか巡回任務を行っていたカヒーに喧嘩を売り返り討ちにあった。その時に踏まれる快感に目覚めた。

自分を制したカヒーの手加減はあるが容赦のない一撃でうつ伏せに大地に沈められた彼女。

最初は踏まれた快感を否定しながらも立ち上がろうとしたが、そんな彼女を押さえつけるように置かれたカヒーの足裏。踏みつぶそうしたわけでもない。かといって起き上がれないように押さえつけたわけでもない。ただHが起き上がれないように添えただけ。

カヒーの立場からだと片足立ちしているような状態だったが、その体幹は凄まじく、まるで万力で固定されたようなものだった。魔法を使おうとしたら固定していた足を下ろして、魔法の詠唱を中断せざる得ないギリギリの圧迫をする。

カヒーはHが一応女性という事もあってかなり手加減して、二度とこんな事はするなよと優しく忠告してその場を立ち去った。

敗北感をたっぷり感じたというのに、充実感も湧き上がっていたHは翌日、懲りずにカヒーに挑み、負けて、踏みつけられ、快感に酔いしれた。

一方カヒーはというと自分のような絶対強者に一度ならず二度も挑んできたHを気に入り、自分の屋敷に努めるようにスカウトした。

この時、ガッツがあるな。くらいにしか考えていなかったが、ミカエリに初見で被虐嗜好があることを見破られ、セーテ侯爵家のメイド研修でその嗜好を『強者に踏まれることへの快楽』へと調教された。


Hは今回の任務が終われば褒美として当主であるカヒーへの挑戦権を得られる。

Hは冒険者を辞めてメイドになったが、その腕前は衰えていない。むしろ、セーテ侯爵家の従者として日々鍛錬に勤しんでいるためむしろ強くなった。そしてまた踏まれる事になるだろう。そしてアヘる。


全てはこのために。


変態的思考のHは全裸で使命感に燃えていた。

そんな彼女をカヒーはまだまだ甘いな。と、思うだけでHの特殊性癖までは知らない。


アヘるためにもここで失敗するわけにもいかない。カヒーに踏まれるから100点満点の快感である。

他の人間。権力的な強者のミカエリに踏まれても50点。実力・立場的にカヒーに似ているビコーなら90点。総合的な実力では同じくらいか少し下のカモ君なら30点。将来の有望さなら上手のコーテなら10点といった具合である。それ以外は0点。全然気持ちよくなりそうにならない。


十人もいた追っ手だが、一人一人。音もなく近づいて、声を上げさせることなく締め落としていくH。

追っても半数になってやっと異常に気が付いた。狩っているつもりが実はかられている立場に切り替わっているのだと。

残った人間はたがいに背中を預けて辺りを警戒する。しかし、その時にはHはその場からサッサと逃げて、追っ手を振り切ったのである。


そして夜が終わり、朝がやってくる時間帯にHはコーテ達のところへと戻ってきた。

朝日を背に、恭しく膝を折り、自分が得た情報を伝えた。全裸で。

逃走中に体中に塗りたくっていた墨はすっかり落ちてしまい、恥部だけは墨が落ちていないという状況だった。

情報は有用。その入手難易度も困難を極める物。

そして、そんな彼女は走ってきたのかその表情は赤らめていた。まるで見られていることに興奮を覚えている様にも見えた。実際に少し興奮している。


「…へ、変態」(確信)


だからHを見たコーテが呟くのも仕方なかった。




その頃のカモ君は、ビコーがスカイドラゴンを撤退させると同時にやってきた武装した国際密輸組織を運悪く発見。スカイドラゴンとカヒーの戦闘から何とか逃れて疲れた体で、そのまま戦闘に入る事になった。


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