Episode.3
山道をゾロゾロと、甲冑や防具を身に着けた屈強な男達が歩くのは少し滑稽だった。その中に一人いる僕が1番滑稽なのだが。よくこんな重いものを身に纏い山道を歩けるものだ。
出てくる時渡された荷物は騎士達が持ってくれている。もう騎士というより僕の下僕だ。どこか勝ち誇った気分だ。
もう5km程は歩いただろうか。未だに上り坂は終わらず、足が疲れてきた。途中で騎士の1人がおぶってくれると言ったが申し訳が無いので断った。
「ちょっと休憩しましょうか」
皆がその一言で立ち止まる。休憩と言ってるのに一向に休もうとしない。これが騎士精神なのだろうか。
そんな時どこからか猫の声が聞こえてくる。下を向くとそこには、毛並みのいい黒猫が座っていた。
「猫ちゃん、どうしたの?」
そう言って近づこうとするが遠ざかってしまう。一定の距離を保ったま一向に逃げようとも近づこうともしない。不思議な猫だ。
「さぁ、そろそろ行きますか」
そう言って腰を上げた時、突如空間に捻りが発生した。
「!?」
「王妃様!こちらへ!」
そう言って騎士達が近づこうと下が、世界は暗転し、真っ暗な世界へと僕を誘った。
「あぁあぁ、本当に使いない騎士達ですねぇ王国騎士団は」
そこにはそこには王冠のマークを模した黒のローブを纏った女が立っていた。
「かわいそうに王妃様...使えない騎士達のせいで死んでしまうのだから...」
あぁ、なんで僕はこんなについていないのだろう。明らかに敵じゃないか...この状況は本当に助かる気がしない。
「みゃ~」
さっきの黒猫だ。
「猫ちゃん、僕の最後はしっかりかんどってね...」
「あらあらぁ可哀想に...最後を共にするのが猫ちゃんなんて...」
そう言うと女は手に持った剣を振り上げ僕に振り下ろしてきた。ここに来て2度目のこの状況...つくづく不幸だ。
覚悟をして目を閉じると、いつまで立ってもなんとも無い事を不思議に思い目を開けると、そこにはネコ耳を付けた小さな女の子が立っていた。
「綾汰、残念だけど最後はルドルフにかんどって貰うにゃ」
そこにはエルメが立っていた。