最終話
「ここはどこ?」
問いかけても何も帰ってこない。暗く、どこまで続いているのかも分からない空間だけがそこにある。
「ルドルフは?てか、さっき殺されたはずじゃ」
頭に手をやるとしっかりと頭はついている。なんだ、やっぱり最初から夢だったんだ。
「そう悪い夢だったんだ」
そう思い、目を深く閉じる。しかし、依然として元の世界に戻っている気はしない。
「これは悪い…夢…」
僕は気づけばお腹へと手を当てていた。悪い夢にしてはどこか現実味のある、祝福を感じるそのお腹。
「早く…会いたいな…」
自分で言ってふと我に帰る。僕は何を言っているんだ。でも、本当にそう思った。
「早く会いたいよ…」
早く会いたい。この子に会いたい。その気持ちだけが頭を支配する。こんな暗闇でもこの子と会えたのならば希望の光が差し込む気がする。
「何だか、暖かい」
突然と押し寄せる暖気と光。その光はまるで僕を包み込むようだ。僕はこの光をきっと知っている。
ママ
次はお外で会おうね
「なんだ...これは」
ルドルフは驚愕し、辺り一面を見渡した。そこには、壊れた物全てを包み込むように、光の玉が舞い降りていた。
その光に包まれた物は、たちまち元通りの姿に戻っていく。爆発によって壊された物。そして、それは人さえも例外では無かった。
「こ、これは...」
「あ、アルバ!」
すかさずアルバの元へと走る。さっきまで生気を失っていたアルバが、目を覚ましたのだ。魔王という者が、嬉しさで言葉を失う瞬間だった。
アルバの生還を喜んでいると、後ろからゴソゴソと音が聞こえて、振り返る。
あぁ、そうだよな。アルバだって無事だったのだから、当たり前だよな...
「綾汰...」
「ただいま、ルドルフ」