第七話
「ルドルフどこいってたの?」
「ん?あーちょっと仕事にな」
「え、ルドルフって仕事するの」
「いや、俺これでも魔王だからね?そりゃ仕事くらいするからね?」
「そういえばそうだったね」
横で、俺ってそう言うキャラなの?とか、俺に対して最近冷たくない?などと言っているが、気にしずにそのままメルの元へと行く。
「ねぇ、メル。ここって僕ら以外に誰かいないの?」
これはかねてからの素朴な疑問だった。もうここに来て、2週間も経つのに、僕ら以外の存在を感じたことがない。
「え?いませんよ。この城には私達だけです。たまに来客が来るだけで 」
「え、いや、でももし攻められたりしたら…」
「城の周りは全てを囲むように街が続いていますからね。それに魔王様に勝てる者なんてそうそう現れませんよ」
「いや、まぁそうかもしれないけど…いや、そうか…」
いや、そうなのか?そんな適当でいいの?魔王様なのに?王様なのに?やっぱり、あんまり人望が無いのかな。
「王妃様、突然どうしたのですか?」
「いや、なんか、他の人達見てみたいなーって思って」
「なるほど。では、また今度すぐ近くの街で祭りがあるのですが…良ければ行きますか?」
「あ!行きたい!凄い楽しそう!」
「凄い楽しいですよ。魔王様にお伝えしときますね」
「うん!お願い!」
どうやらこの世界にも祭りはあるようだ。どんな祭りなのかなぁ。屋台があって、りんご飴とかあるのかなぁ。楽しみ。楽しみすぎて庭を走り回っちゃう程だよ。
そんなくだらない事を考えていたらエルメを見つける。
「エルメー!エル…メ?」
呼びかけた所で、誰かと話をしている事に気づく。上手く聞き取れないが、僅かにだけ聞こえてくる。
「あぁ、分かってる。上手く…てる。もうじき…だ。祭り…決行だ」
祭り?決行?何やらきな臭い臭いがしてきた。