プロローグ
よろしくお願いします。
幼稚園児の頃はあまりよく覚えていないが確か仮面ライダーとかウルトラマンみたいな正義のヒーローなりたいと思っていた。
大きくなるにつれ当然そんな架空のキャラクターになれるわけないと知りその夢は自然消滅した。
小学生の時はプロ野球選手になりたいと思い野球を始めた。
でもやっていくうちに自分には才能が無いと悟り諦めた。
中学生になりYouTubeで、あるバンドのライブ映像を見てミュージシャンになると心に決め軽音楽部に入部した。
だけど自分には圧倒的に音楽のセンスが欠けているとわかり、退部するころにはその夢もまた姿を消していた。
高校に入学してからはもう夢の欠片も掴もうとせずただ漠然と毎日を過ごしていた。
今考えると諦めだらけの人生だと思う。
このまま普通に就職して一生を終えるものだと思っていた。しかし人生は何があるかわからないものである。
「動くな!動いたら殺す」
目の前に立つ黒服の男が物騒な事を言ってくる。
しかし男の顔からは焦りの色が見える。
恐らく俺の溢れ出るオーラに圧倒されている……わけではなく俺の下半身が丸出しだからだろう。
こっちだってなりたくてこんな格好になったわけじゃない。
すぐにでも逃げ出したい。
だが後ろを見れば今しがた必死の思いで登ってきた崖が広がっている。
まさに八方塞がりだな。
前までの俺ならここで諦め座り込み、好きにしてくださいと両手を挙げていただろう。
でも今は違う。
仲間がギルドの為に必死になって戦ってくれている。
あいつらが戻るまでやられるわけにはいかない。
俺は大きく深呼吸してから相手を見据え口を開く。
最後まで読んでいただきありがとうございました。