期待と不安
僕は、相手の考えていることがわかる。
どうして、わかってしまうのかは正直僕にもわからない。
相手の表情を伺っているのかもしれないし、超能力の一種なのかもしれない。相手の瞳を見たとたん、まるで僕の頭に語りかけるかのように心の声が聞こえてしまう。
時には人間の醜い部分、時には慈悲深さを知りたくなくてもしってしまう僕の日常の物語。
僕は、立山 涼 晴れて4月から私立桜坂高校の一年生になる。頭は上の下で、受験勉強も人並みにがんばった。運動もそこそこできる。しかし、コミュニケーションをとることが例の能力があるせいで苦手だ。
相手の考えがわかってしまうから、ベストな返答をしようとすると時間がかかってしまう。その間に、挙動不審なんだなと思われることも少なくはない。
そうであっても、僕は高校生になったことから友達も多くほしいし、なんなら女の子の友達だってほしいと思うお年頃なのだ。
「はあぁ、どうすっかなー」
ついついため息をついてしまう。
窓を見ると、黄金色に空が広がっており、なんだか僕の孤独感を強める。
そんな孤独感からか小学校からの唯一の友達で、春から同じ高校に通う柳原 優に電話をかけてしまっている。
「もしもし、優です」
「よう、僕だ」
特に用もなく、かけてしまったので次の会話が思い浮かばなかった。
優が声を大きくして言う。
「おーい、もしもーし用事無いなら切るぞー」
慌てた僕はとっさに「優、お前部活にはいる?」と訪ねた。
「どうしたんだよいきなり、んーと、んー、俺は部活動紹介を見て決めるかな」
「わかった、僕もそうするよ」といい電話を切る。
これが電話越しでなければ、質問しただけで優の返答がわかるのだが、相手の目が見えないことにはなぜか心の声は聞こえない。
日付はが変わって、とうとう入学式の日になってしまった。新しい服独特の匂いと洗剤の匂いが混ざった制服に身を包み家を出た。すると優が「おはよう」と一言。
基本的に僕と優は一緒に学校に行っている。僕が覚えている限り中学校一年生から習慣になっており、待ち合わせ場所は僕の家の門だ。
すかさず僕も挨拶を返す。優は大きくあくびをして、学校に向かう道を歩き始めた。登校中はほとんどお気に入りのゲームやマンガ、アニメの話をするのだが、今日はそれぞれの高校での抱負を語った。ちなみに、優の抱負は地方の大学の医学部に現役合格することらしい。優の頭の中を読んでみると医学部を目指す理由は立派な医者になって一人でも多くの人を救いたいそうだ。なんとも優らしい理由で心がほっこりした。
そんなこんなしてるうちに、高校に着き初々しい制服の生徒たちの一部となり、流れ流されてクラス編成の結果が乗っている大きなポスターの前までたどり着いた。なんと優と同じクラスであったので弁当時間に一人でいることは回避した。
「おっ、一緒のクラスだな。
ご覧いただきありがとうございます。
はじめまして、しおのこんぶです。
今回初投稿ということで、至らないところがあるとおもいますが、楽しんでいただけると嬉しいです。