【第七話:その男、うろつく。】
遅くなってすいません。
一話を少し長めにしようとしましたが、ちょっと長そうだったので魔法の説明はありません
(-.-;)
読んで頂けると幸いです!
黒藍は酒場を出て、路地を歩いていた。…カルフと共に。
何故かといえば。
「(買い出しだけ先に済ませておくか。)」
「さて、今夜の仕入れの買い出しに行くかな。」
「…」
黒藍はカルフに次に向かう場所の情報収集を依頼した。そして、今日中に調べておくからまた夜再び来るよう言われ、それならと店を出ようとした。
…が、買い出しに向かおうとした黒藍の心を読んだかのようにカルフも買い出しに行くと言い出し、ほぼ同時に店を出たのだった。
先程酒場で話し込んでいたせいもあるのだろうが、いつの間にか日は少し高い位置に昇っており、屋根の低い家の上から日がさしている。
食料やら日用品を買うのに、手頃な店はないかと街をうろつく黒藍とカルフ。
黒藍はあまり食料や値段には頓着する方ではなく、悪いものや無駄に高いものでなければ何でもいい。
「(だるい。面倒だしその辺で買うかな。)」
「黒藍、二つ先の通りでバザーをやってる。そこへ行こう。」
その横着な性格故に、いつも割りと適当なのだが、普段いない同伴者のおかげ(せい)で、本日はそんなこともないだろう。
「…?」
黒藍とカルフが路地を出て通りに出ようとした時、赤を基調とした鎧を着た人々が目に入った。
先程カルフの話に出ていた魔法軍である。街中をうろついているということは、巡回中か、そうでなければ権力や力をひけらかしたい馬鹿である。
「面倒くさい。迂回するか?」「ちょっと様子を見てみるか。」
ぼそぼそと小声で話し合う黒藍とカルフ。
魔法軍は、黒藍としてもカルフとしてもあまり関わり合いたくない相手だ。
鉢合わせする前に、というか魔法軍の姿を確認した瞬間に黒藍とカルフは元の路地に隠れて様子をうかがっていた。
このような時だけ妙に息の合った二人である。
「(鬱陶しい。)」
黒藍は少々考えていた。
最近の魔法軍は色々と調子に乗っているらしく、大した成果や結果を出していないような奴が大きな顔をしている。
また、馬鹿な不良の如く、珍しい見た目や格好の人間にもちょっかいをかけたり、街中であっても構わず魔法を使うようなやつもいる(流石にそれはごく一部だが)。
地理的に、迂回するのは遠回りになるため面倒臭い。しかし、何やら通りの人間と揉めているようで、素通りするのも静かになるのを待つのも面倒だ、と。
そして何より、
「偉大な魔法使い様に逆らうと言うのか!!身の程知らずめ!」
「「((身の程知らずはお前だろうに。))」」
歩いていた魔法軍の男はどうやら、ひけらかしたい馬鹿の方のようだ。
魔法軍の男と揉めているのは険しい顔をした一人の女。
魔法軍の鎧を着た男は全部で5人。先頭切って喚いている男以外は加勢するか、我関せずである。
「(…誰か止めろよ。)」
黒藍は既に眉間に皺を寄せていて、端正な顔が台無しである。
やはり迂回しようと黒藍がカルフに声をかけようとした瞬間。
「おいおいお前ら、か弱い女性に突っかかるなんて、恥ずかしいと思わないのか?」
カルフは流れるような動作で魔法軍と女の間に立ちはだかっていた。
次話こそ魔法について触れようと思います…。多分。
読んで下さってありがとうございました!