【第四話:その男、現る。】
現れます。
最後まで読んでいただけると幸いです。
「な…、なんだお前は!!」
「あーはいはい。こんばんは。」
「挨拶の問題じゃない!」
取引を行っていた男の一人が口を開くが、黒藍はまともに取り合う気は皆無。
それに対し、生来が真面目なのか、動揺しすぎたのかは知らないが、男は何故かツッコミを入れている始末。
「おい、何なんだお前は。」
男達の中にも冷静な者がいたらしい。
黒藍の首筋にはひやりとしたナイフが突き付けられていた。
「言え。言わんと今すぐ首をかっ切る。」
「…ハァ。」
両手を上に挙げてヒラヒラと振り、黒藍は面倒臭そうに息を吐いた。
「…無駄だと、思うがね。」
「何!」
「しかしまあ、俺ももう少し有名かと思ってたんだがな。」くるり。後ろにいた男と目線を合わす為に、黒藍はゆるりと振り返った。その際、黒藍の藍色の双眸が薄く細められたが、それに気付いた者はその場にはいなかった。
狐の面のアップと、ナイフを突き付けていたにも関わらず黒藍が躊躇なく振り返ったことに驚いた男は数歩後ずさる。
「首、切れてるし。」
首筋を擦りながら黒藍は後ろにいた男を見据え、淡々と言葉を紡ぐ。
「情報屋の銀狐と申しまっす。依頼でこの取引、潰しに来ましたー。」
取引だけで何話使うんだという罪ツッコミは無しの方向で。
ありがとうございました!