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君の大切なもの

作者: 虹音

「さぁ…次の世界にいくのだ。目覚めの時がきたぞ」

そういうと白い服を身にまとった仙人は、グミでもない光でできたような粒を8角形の入れ物から取り出し手のひらに乗せた。

白い煙がたつどこにつながっているかわからないところで。

「おまえはこれから生まれ変わるのだ。どこの星の、どこの国の、どの親の子供になりたいのかおまえ自身が選ぶのだ。ただし、おまえが生まれるまでの間、遊びにいく時は背中からいくようにな。そして出入りする時、必ず鍵をかけることをわすれるんじゃないぞ。分かったな。あとはおまえ自身が、どう生きて何を大切にして何を学んでいくかだがな…。」


光に包まれて向かった先は地球という星だった。


ある愛し合う男女の二人がいた。


(そこにしよう)


とくんとくん…心地よく耳に響く一定のリズム。

優しい声が聴こえる。時々目を開け、閉じる。仙人様がおっしゃった通り、僕は時々背中から外の世界に遊びに行った。そう、ちゃんと鍵をかけ忘れないようにね。

どうやって飛ぶかって?僕の背中に小さな羽根が生えて自由に飛ぶ事ができたんだ。

そして僕は生まれた。

僕がこの目を開いて、一番に入ってきた光。僕に名前が付けられた。カイト。

僕が生まれた記念に丘に埋められたハッピーブルーの木。

カイトが一歳になるとハッピーブルーの果実が一個だけ実った。そして毎年一個ずつ誕生日がくると増えていくのだった。カイトはきがつくとよくベランダから外を眺めていた。沈む夕日や闇に浮かぶ月を眺めていることが多かった。


ハッピーブルーの果実が18個なる年を迎えた。

それはあの木で月を眺めて虫の音をきいていたとき。

神風がふいた。

びゅん…。

思わず目をつぶった。じわりと目を開けると先に見知らぬ女の人がたっていた。腕を後ろにくみ、髪をなびかせ、にっこり笑ってこっちをみていた。

カイトは驚いて言葉に出来なかった。

女の人は近づいてきた。一歩ずつ。近づいてくるたび身体にほわんとする温かさが伝わってくる。

ミルク『こんなところで寝ていたら風邪をひくよ』

カイト

「あなたは…」

ミルク『私の名はミルク。私はここにいる。』

カイトは首を傾げた。

ミルク『いつもここにきていたよね?』

カイト

「えっ?どこかでみていたの?」

ミルク『風がそう教えてくれた。』

カイト

「不思議なこという人だな。僕を知っている?」

ミルク『知らないよ。今、初めてきたの』

知らないのが当たり前だと思った。

ミルク『あなたお名前は?』

カイト

「カイト。呼び捨てでいいよ」

ミルク『カイトね。』

カイト

「僕はよくここにきたよ。生まれた時から誕生日にだけ実がなるという果実があってね」

ミルク『そしてその果実は毎年歳を重ねる度に一個ずつ増えていく…』

カイト

「えっ?何でしってるの?」

ミルク『そういう話を聞いたことがあって私は信じていたの』

カイト

「それが本当にあるんだ」

ミルク『何か意味はあるの?』

カイト

「教えてくれないんだ。なにがあるのか。」

ふたりが話している空はうっすらと月明かりで明るく見えた。

朝方近くまで語り合った。

ハッピーブルーの果実が18個なる年を迎えた。

それはあの木で月を眺めて虫の音をきいていたとき。

神風がふいた。

びゅん…。

思わず目をつぶった。じわりと目を開けると先に見知らぬ女の人がたっていた。腕を後ろにくみ、髪をなびかせ、にっこり笑ってこっちをみていた。

カイトは驚いて言葉に出来なかった。

女の人は近づいてきた。一歩ずつ。近づいてくるたび身体にほわんとする温かさが伝わってくる。

ミルク『こんなところで寝ていたら風邪をひくよ』

カイト

「あなたは…」

ミルク『私の名はミルク。私はここにいる。』

カイトは首を傾げた。

ミルク『いつもここにきていたよね?』

カイト

「えっ?どこかでみていたの?」

ミルク『風がそう教えてくれた。』

カイト

「不思議なこという人だな。僕を知っている?」

ミルク『知らないよ。今、初めてきたの』

知らないのが当たり前だと思った。

ミルク『あなたお名前は?』

カイト

「カイト。呼び捨てでいいよ」

ミルク『カイトね。』

カイト

「僕はよくここにきたよ。生まれた時から誕生日にだけ実がなるという果実があってね」

ミルク『そしてその果実は毎年歳を重ねる度に一個ずつ増えていく…』

カイト

「えっ?何でしってるの?」ミルク『そういう話を聞いたことがあって私は信じていたの』

カイト

「それが本当にあるんだ」

ミルク『何か意味はあるの?』

カイト

「教えてくれないんだ。なにがあるのか。」

ふたりが話している空はうっすらと月明かりで明るく見えた。

朝方近くまで語り合った。

ミルク『そろそろ帰るね』

カイト

「うん。きをつけてね」

カイトが

「また逢え…」

といおうとしたと同時に

ミルク『いつかまた逢おうね』

ドキっ

どこかできいた言葉。

遠い昔…あれはたしか小さかった頃…

しかし思い出せないでいた。

それからカイトは毎日ハッピーブルーの木に行き時々やってくるミルクとの時間を過ごすのだった。カイトは不思議な雰囲気をもつミルクと話していると夢の世界にいるようで毎日楽しくいられた。

ある日ミルクはハッピーブルーの果実を18個かごにいれて置いていた。

カイトの父親はたべてはならぬといっていたが、眺めているうちにこの果実がどんなものなのかがしりたくなってきた。食べたら死んでしまうものなのか…。果実を手にすると両手のひらにのせた。

ミルク『まぁ、きれい。たべてみようかしら 』


ミルクは果実に爪を引っ掛けると

一気に果実の皮がむけた。 中は透明でみずみずしそうだった。一房たべてみた。

ぱくり。

おいしくて一気にたべた。こんな美味しいものをどうして食べてはならないというのだろう。と疑問におもった。

一個たべたら急に誰かに恋したくなった。

ワクワクしながらやってきたカイトの先に見えるミルクは誰かを見つめているように見えた。

ドキッ…。

胸に痛みが走った。(胸が痛い。)

僕はどうしたんだろう。あの人にあいにきた自分なのか、よくいくあの落ち着ける唯一の場所ハッピーブルーの木にきたのか考えたら…わからなくなった。

僕はただミルクを遠くから眺めているしかできなかった。僕はあの人といると楽しくて落ち着けて…きっとこれは…好き…という感情かもしれないが。


ミルクは魔法にかかったようにすきでもない通りすがりの人を目でおっていた。

カイトは気分が沈んだまま家にかえった。

ふと目にしたのはオルゴールつき宝石箱だった。

ネジをまわしてふたをあけた。

またならないのだろうな…といいながら。

どこからともなく流れ出すメロディー。目をまるくしくいるようにみつめた。

それはオルゴールから流れ聞こえてきたものだった。

部屋じゅう綺麗な音色が響く。目を閉じ音に耳を澄ます。

まだそんなに流れていないはずなのに ぴたりと曲はならなくなった。

あれっ?故障かな?

みてみるがどこも壊れているようには見えなかった。仕方なく宝石箱のふたをとじた。

はぁ。つくのはため息ばかりだった。

あの人にとって僕はどう思われているんだろう。あの男はだれなのかな。イヤだな。胸が痛いよ。


ミルクは意識が戻ると見知らぬ場所に居た。(ここになぜいるのかしら)

町を歩いていると遠くにカイトを見かけた。

ミルク『あっ!カイトだ』

いそいでかけていく。

息を切らしつかんだ腕。

ミルク『カイト! 』

カイト

「ごめん…人違い」

腕を振り切って歩きだすカイト。

ミルクは少し胸が痛くなった。

ミルク『カイトだよね? 』

カイト

「僕のことはほうっておいて」

ミルク『どうしたの? 』

カイト

「すきなひといたんだね」

ミルク『えっなんのこと? 』

急ぎ足で行こうとする。


カイトは口数が少なくなってきてミルクの方をふりむこうともしない。どんどん離れていくカイトに

ミルク『待ってるから!あの木の下で待ってるから! 』

あの日から幾月日がたった。

僕はミルクのことを忘れていると思っていたのに。

もうすぐ19歳の誕生日を迎えようとしていた。

部屋に母親がやって来た。

母親

「カイト、今年の19の誕生日にはあなたがすべてあのハッピーブルーの果実を食べなさい。19個すべてよ。そして目を閉じ…ゆっくりとあけたときあなたの大切な人が現れるでしょう…。きっとその人があなたを愛してくれて一緒に歩んでくれるわ。信じなさい」


カイトは19歳の誕生日の今日、いわれたとおりオルゴールつきの宝石箱をもちあの木の下へいった。

いつ以来だろう。

懐かしい記憶がうっすら頭に蘇る。

カイト

「もう果実が実る時がきたんだな。」

木にちかづきみあげた。(19年もたったんだな)

木によじ登り19個の果実をもぎ取った。かごにいれると…一つ一つむいてたべていった。

味わってたべるよりあまりにおいしくて無我夢中でたべたのだった。

果実を全部食べ終わった頃神風がふいた…。

いつかこんなことがあったっけ?

つぶった目をあけたとき目の前に女の人がたっていた。

その人をみるなり心臓がどきっとなった。

ミルクだった。

カイトはミルクにちかづき抱きしめた。

ミルク『カイト(照)。どうしたの? 』

カイト

「果実たべたら好きっておもって…ごめんこんなことして」

ミルク『カイト、私カイトが好きよ。あれから毎日ここにきてあなたを待っていたの。でもきにしないで。私が勝手に待っていただけだから。あなたにきらわれても私は好きだから待ってることしかできないから』



カイト

「僕はミルクが他の人が好きなんだと思って忘れようとしたけど…忘れたつもりだったけど…無理だったみたいだ」

ミルクは泣きだしカイトは抱きしめた。

ミルク『嬉しいよ。私はずっとあなたを待っていたから。』

カイト

「嬉しいよ…。果実の意味がなんだかわかったよ。恋する力をくれるんだこの果実は。でも僕は果実の力で君に恋したんじゃないよ。君と出会ってからいつのまにか僕の心には君がいたんだ。」

ミルク『私も果実の力であなたがすきといってるんじゃないの。夢でここにこいとお告げがあったの。運命の人と出逢えると。』

お互い強く抱きしめあう。

カイト

「これならないんだ」

パカッと宝石箱のふたをあけると、メロディーがながれだし何もはいっていないはずの宝石箱の上段にオーロラに輝く19面体の宝石が現れた。

とても綺麗で二人でのぞきこむようにながめていた。

メロディーはネジなしに流れつづけた。止まることなく。

今ゆっくりカイトとミルクの二人の歯車がかみ合い動き始めた。この先も止まることなく。

永遠に二人だけのメロディーはおわらない。


「愛してる…」


ハッピーバースデイ カイト!

これからもずっと…

fin

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