第39話脳を焼かれる
強烈だった。
金髪美少女の生活は……
完全にあてられた…
いくら決心を固めようと、満足しようと、
俺は今後の人生でこの時のことを振り返るだろう。
俺の後ろ向きな性格も原因をしているかもしれない……
本当に海野うさぎの生活は強烈だった……
最後のライブから2ヶ月後…
無味無臭の平凡な日々を毎日過ごしていた。
仕事と自宅の往復の日々、いつも通りの1日。
時おり、昔を懐かしんで海野うさぎのエゴサをする。
そこでは昔のファン達が、海野うさぎの思い出を語っていた。
そして、その中には決まって
「海野うさぎは復活する!」
「Vtuberに転生か?」とか書いてある。
「もうねーよ。そんなこと…」
吐き捨てるように独り言を呟く。
あれから2ヶ月も経ったのに、寝ても覚めても、脳裏にこびりついている。
海野うさぎの日々…何をしても虚しい…
こんな気持ちになるんだったら…金髪美少女になるんじゃなかった…
俺は完全に脳を焼かれた。
これからの人生どうやって生きていこう…
もう無理だよ…
海野うさぎが、少し悲しくするだけで…周りの人達はこれでもかと心配してくる…
今の俺とは大違い…
おっさんが弱音を吐いても誰も助けてくれないんだ…
海野うさぎだからみんな気にしてくれたんだ…
ピピピッ!!!!
はっ!!っと目が覚める。
起床のアラームが鳴っていた。出勤の準備をしなくては!
しかし、体が鉛のように重い。
起き上がれそうにない。
俺は仕事を休んだ…
正直…明日も仕事を休むだろう。
動かない頭で思考が巡る…
愛されない人間が、誰からも愛される人間になれたら…
もう戻れないよ…
天井を見つめ、時間だけが過ぎていく。
しばらくして、ふと気配を感じた。
布団の傍に金髪美少女が静かに座っていた。
海野うさぎだ。
何も言わず、俺を見つめただ微笑んでいた。
その姿に俺は無性に腹が立った。
「もう止めてくれ!顔も見たくない。お前には分からないだろ。俺の気持ちなんて…」
それでも海野うさぎは微笑んでいた。静かに、優しく、俺を安心させるように。
「何とか言えよ!っくそ!くそくそ!くそ…」
「くそ………」
「ーーーーー戻りたいよ…」
「またお前に戻りたいよ…」
ピピピッ!!
起床のアラームが鳴る。俺はいつの間にか眠っていたんだ。
正直、仕事には行けないだろうと思っていたが、体が動く!
俺は仕事に行けた。いつもの業務をこなし何より心が軽い。
あれほどまとわりついていた絶望も、焦燥も、最初から無かったように消えている。
業務終了後、気がつけば俺は車を走らせていた。目的地は人気の無いあの浜だ。
人が来ない静かな場所、思い出が染み付いたあの場所。
目的地に到着、車のエンジンを止め外に出る。
風の音、潮の匂い、懐かしい。
感傷に浸っていると、少女達の声が聞こえてきた。
「は?」
「ここは穴場で人は来ないのに…いつからメジャーになったんだ?」
と不思議に思いながらも様子を見に浜に下りる。
浜に下りる最中、胸がざわつき始めた…
一抹の期待が芽生えてきた!
しかし、本当にありえないことのため
非現実的なことのため
可能性は0に近いため
「絶対にありえないのに、もうこれ以上はないのに、何で、何で…くそ、くそ!」
足が速くなる。心臓の鼓動が聞こえる。
「だけど、だけど、、、」
気持ちがぐちゃぐちゃになりながら、やっとの思いで浜に下りた。
そこには2人の少女と見慣れた男がいた。
次回最終話です。
ここまで応援して下さりありがとうございました。
読んでいただきありがとうございます。
TSものが好きで今回思い切って書いてみました。
駄文ですが頑張ります。
感想、評価、ブックマークをいただけると励みになります。




